大昔から、読心術というものがある。今は、その原理はかなり理論的に解明されてきてはいるが、必ずしも昔の人より上手くなった訳ではない。ただ、誰でもレベルの差はあれ、利用できるようになったと言えるかもしれない。
私は、特に親しい訳でもない若い女性と話しながら、彼女の部屋の様子を言い当てて見せ、半分冗談だが、私が彼女の部屋に密かに侵入したか、彼女の部屋には隠しカメラでも設置されているのかと訝られたことがある。
催眠術師の松岡圭祐さんの小説の中には、そのような技術がさりげなく織り込まれていて、そのことを知らなくても、無意識的に面白く感じる。まさに催眠術的な小説だ。

ただ、技術的、理論的なことを知らなくても、人間の感覚というのは読心術のような働きをするものだ。それは、多くの人と深く関わるほど磨かれる可能性が高い。
それで、下手な役者の演技は嘘っぽく感じるが、名優となると文字通り視聴者を騙すのである。
しかし、政治家や経済の大物が、必ずしも名優であることはない。
それで、冷静に見れば、彼らが嘘を言っていることも感じるかもしれないが、彼らの多くが、特に緊急事態では、妙に本当のような嘘を言う。自分の意志で嘘を言っているのではないからだ。
それが、脅されて嘘を言っている場合もあるし、何らかの事情で、善意を隠して本当でないことを言っている場合もある。
あまり具体例を言うのは気が引けるが、石原都知事などは、善意でやむなく嘘を言うのが多い人かもしれない。善意であっても、あまり本当のことを言えないのだろう。
例えば、オリンピック招致にしても、負けることは初めから分かっていた。しかし、東京が立候補しなければ、リオ・デ・ジャネイロになることはなく、別のあるところになることは決まっていたが、それはまずいことだった。
新東京銀行にしても、あそこに金をつぎ込まないと、その金以上の金が、別のあるところに流れていたのであるが、それは日本にとって困ることだった。
プロ野球の開幕日のことに関して、世論に逆らって強硬に早期開幕やナイター実施を主張する者は、善意ではないかもしれないが、自分の考えで言っているのではない。半ば脅されて言っていると見るべきだろう。
今回の原子力発電所事故や、あるいは、少し前の日本の金星探査衛星のことでも、関係者は善意で本当ではないことも言っているのかもしれない。

ただ、大切なことは、人の言動をあまり悪意に取らないことだ。悪意に取ると、本当のことが見えてこない。何でも悪意に取る者ほど騙されやすい。批判癖が付いた者は、残念ながら正しい判断は出来ないのだ。
しかし、我々は、幼い頃から、人の言動を悪意に取るよう習慣付けられてしまっている。神様にさえ悪意を感じている者も多いくらいだ。
だが、神に悪意が無いのと同様、人の場合も、ほとんど悪意はないのだ。
それを悪意と取った場合にだけ、本当に悪意になるのである。
そして、人の言動を悪意にさせない力を持った人間が本当の大物であり、真に貴いこの世の光なのである。







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