1967年(昭和42年)の特撮ドラマ『ウルトラセブン』を見ていたら、本ストーリーとは何の関係もないのだが、とても良いものを見た。
当時のアニメや子供向けドラマを見ると、いくら子供向けとはいえ、あまりに現実離れしたことも多くて呆れるが、その現実離れした中にも良いものがある。
こんな内容だった。
ウルトラセブンの人間体であるモロボシ・ダンが所属する地球防衛軍である「ウルトラ警備隊」の基地でのことだ。
そのウルトラ警備隊基地本部に1本の電話がかかってくる。
電話の主は、フルハシ隊員の母だった。
地球防衛軍の基地本部の電話番号を、いかに隊員の家族とはいえ、一般人が知っているというのは、とりあえず置いておく(笑)。
フルハシ隊員の母は、北海道から上京して来て、近くの駅から電話していた。
目的は、フルハシ隊員に家の牧場を継いでもらいたくて、連れ戻しに来たのだった。
実は、その電話がかかって来る直前に、フルハシ隊員は、ウルトラ警備隊専用の小型ジェット機で北極に飛ぶよう命じられていて、まさに出発しようとしていたのだった。
フルハシの母からの電話だと知った男性隊員は、即座に「では僕が代わりに」とジェット機搭乗場所に向かう。そんな男性隊員が3名もいた。これもまあ、子供向けということで目をつぶろう(笑)。
だが、北海道に帰る気は微塵もないフルハシ隊員は、他の男性隊員の好意を拒否し「任務は任務」と言って、自分がジェット機に乗ると言う。
だが、そこでフルハシ隊員が、いくら子供番組でも無茶としか思えないことを言う。
「アンヌ!おふくろの方は頼んだ!」
アンヌとは若い女性隊員だが、それを勝手に私用で使うフルハシ隊員。
許可が得られるはずもないが、上司である隊長の許可を得ようともしない。
しかも、その隊長はそこにいて、状況を完全に把握しているのに何も言わない。
そして、何と、アンヌだけでなく、ダンも一緒に、ウルトラ警備隊の車でフルハシの母の出迎えに行き、ホテルに連れて行き、喫茶店でもてななす。

視聴者の子供達に、いくら何でも大人の仕事がこんなに緩いものだと思わせてはいけないだろう。
まして、ウルトラ警備隊は、警察や自衛隊以上の力を持つ組織である。
まあ、ウルトラ警備隊は架空の組織であるが、警察や自衛隊でも、たとえ子供向け番組でも、こんなことはあり得ないことだろう。
だが、見ていて思うのだ。
「これでいいのだ」と。
こんなことが当たり前の世の中で良いのではないか?
そうなったら組織の力が損なわれるかというと、案外によりうまく回るのではないかと。
私の親戚に、とっくに引退したが、警視正(けいしせい)という、警察官の上から4番目の役職まで行った人がいて、昭和や平成の頃に活躍していたが、昭和の頃は、似たようなことが警察でも時たまあったらしい。
当時の警察は人情があり、そんな親が来ても、冷たくあしらわず、ちゃんと応対しそうな感じだったらしい。
警察はともかく、会社であれば、大企業であっても、奥さんや子供から、緊急でもない全くの私用の電話があるなど、そう珍しいことではなかったらしい。
上の私の親戚の警視正も、親戚のただのおばちゃんに、用があったら、別に署でも構わないが、出来るなら携帯の方に電話をしてと言っていたのである。
そんな、公私混同があって、しかもそれを大目に見る時代が良かったかもしれない。
確かに、男性社員が若い女子社員にタバコを買いに行かせるなんてのが当たり前の時代であったが、女子社員が平気で「嫌です」と言えるなら、とても良いのではないかと思う。女子社員だって、尊敬する男性上司のタバコなら喜んで買いに行った者もいたはずである。

尚、この『ウルトラセブン』のお話(24話『北へ還れ!』)は感動的な最後となる。
フルハシ隊員は自爆装置を作動させたジェット機から脱出が出来なくなり、後僅かで死ぬ運命となる。
さすがに、ウルトラ警備隊本部へ母親を入れることは許さなかった隊長が「私が許可する。フルハシ隊員の母親を至急連れて来い」と隊員に命じ、無線機を通した、フルハシ隊員と母親の最後の会話をさせる。
結局、命が救われたフルハシ隊員が基地に戻ると、母親は北海道に帰った後で、フルハシ隊員を北海道に連れ戻すことは諦めたようだった。
フルハシ隊員は、緊急の状況を母には言わなかったのだが、母は何かを感じたのだ。

昭和の良いところを生かしてこそ、良い世の中になるのではないかと思うし、いずれはそうなると思う。

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