アメリカで1985年に設立され、2010年に廃止された「サターン」という自動車ブランドがあった。
これは、GM(ゼネラルモーターズ)の完全子会社であるサターン・コーポレーションが製造・販売する車だった。
設立した時期、GMブランドの多くの車の販売店で「店の対応が誠実でない」という悪評があり、サターンでは、誠実さを大切にした販売・サービスを心掛け、セールスマンに接客マニュアルを徹底させた。
1997年にサターンが日本に進出した際にも、「礼をつくす会社、礼をつくすクルマ」というキャッチコピーをテレビCMでも発言した。
礼をつくすについては、たとえば、来店客に店側からは積極的に声をかけないようにした。これを「ノープレッシャー営業」と呼んで徹底し、誠実さを打ち出した。
これは、アメリカでも好評であったようだ。
しかし、車自体が良くなかった、あるいは、アメリカ的な車が日本人好みでなく、何よりディーラーが少な過ぎたこともあり、日本で成功しなかった。
そして、親会社のGMの経営破綻もあり、結局、サターンは消えていった。
そりゃ、業績が悪いのに、トップが自家用ジェットで通勤するほど強欲に給料を取ってたら破綻もするだろう。

「礼をつくす会社、礼をつくすクルマ」は良い言葉であったが、サターンでも、それは一部でのみの実践で、全体としては礼をつくしていなかったのではないかと思う。
だが、客に積極的に話しかけないノープレッシャー営業は良いものだと思う。
今、自動車販売店に行くと、駐車場に車を止めた時に営業員が出て来て、ずっとくっついて来る。
ちょっと見に来ただけという客にとっては、プレッシャーだし迷惑だ。
そして、自動車もだし、他の携帯電話の会社がどうか分からないが、auの店では、「とにかくちゃんと予約を取ってから来てくれ」という態度が凄い。言い換えれば「迷惑だから予約せずに来るな」という雰囲気いっぱいである。
ある中古車の販売店では、「予約せずにいつでも来て下さい」と宣伝するなど、一般のお店が、店の都合を押し付けていることを逆手に取って好感度を上げている。
まあ、人手不足と言うより、コスパを重視するあまり最低限の人しか雇わないので、それでないと仕事が回らないということもあるだろう。

会社も役所も、不況で人を雇えないので、コスパを上げるために、音声案内の電話やWeb対応を充実させているが、これが使い難く、客は膨大な時間を浪費させられ、また、Web対応は、ほとんどの高齢者には手も足も出ないような難解さだ。
しかし、人が少ないのだから仕方がない。
役所では、大昔から客がたらい回しされることで批判が多かったが、それは今も全く変わらず、しかも、役所の都合を押し付けて、客に二度手間三度手間を押し付け、走り回らせることも平気だ。
なぜそんなことになるのかというと、根本的には、上の者があまりに多くの報酬を取り、必要なお金が必要な所に回らないからである。日本が滅びるたった1つの理由がそれであると思う。

礼をつくす基本は平等な分配である。
世界的に、そして日本も、それと真逆の方向に突っ走っている。
自分だけ沢山取ることと礼は決して両立しない。
そんな国なら滅ぶべきかもしれない。

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