ITスペシャリストが語る芸術

「残酷な現実」というものがある。
その中で、スポーツで成功するには才能が必要だということは認識されてきたと思う。
簡単な話で言えば、どれほど努力しても、才能がなければプロの野球選手やサッカー選手にはなれず、オリンピックでメダルを取ることは決して出来ない。

一方、認識が拒否されているように思えるのが、学力は生まれつきのIQ次第で、知的な職業で成功するか、さらには、そんな職業に就けるかどうかも、それに見合ったIQを持っているかどうかということだ。
いくら「IQよりEQが大事」と言ったところで、それは、必要なIQがあることを前提に言うことである。
一流大学に入れるかどうかもIQ次第だし、大手企業の正社員や、条件の良い公務員になって高い給料を取り、将来は高い年金を受け取れるようになるのも、必要なIQがあることが絶対条件である。

そして、IQの件を薄々感づいている人が増えているとしても、一種タブー視されることもある残酷な現実がある。
それは決して、「結局は美人が得」という分かり易い話ではない（これも残酷な現実かもしれないが）。
それは、「平和な一生を送れるかどうかは、誰とでも仲良くやっていける能力、友達を作れる能力次第」ということだ。
アニメなどで「友達いないキャラ」は多いが、結局、重要人物には極めて親密な友達が出来てしまう。だが、やはり特殊過ぎ、自然さに欠ける。つまり、現実的ではなく、「私も友達いない」という視聴者に、「私もあのように」という妄想の楽しさは与えるが、やはり妄想でしかなく、そのままでは辛い現実は永遠に変わらない。

スーパーマンというのは、元々は完全に孤独なヒーローで、ロイス・レインという女性は、単に、スーパーマンの仮面であるクラーク・ケントの同僚に過ぎなかったが、1980年代に、ロイス・レインはクラーク・ケントがスーパーマンであることを知り、さらに恋人になるという設定に変えられてしまった。
これは何を意味するのだろう？
スーパーマンほど強大な力があれば、孤独でもやっていけると考えられたが、実はそうではなく、スーパーマンですら仲間が必要だということがバラされたということである。
近年では、スーパーマン同様、孤独なヒーローであった者達がチームを組み、友情を育むという作品も出て来る始末だ。

表向きに言えば、友達を作るのに必要なことは、相手をいい気分にさせることだ。
いい気分になるとは、自分の好きなことに集中することだ。
だから、友達がいない人間というのは、自分のことや、自分が好きな話ばかりを一方的にする。
だが、本質的には、友達になれるというのは、相手に本当の関心を持つことだ。
相手が美人だからイケメンだから興味を持つという表面的な関心しか持てなければ、友達は出来ない。
この「相手に本当の関心を持つ」ということは、出来ない者には決して出来ない。そんな者は決して友達は出来ない。
「相手に本当の関心を持つ」能力が、スポーツの才能やIQ同様、生まれつきの才能・能力であるかというと、それは違う。これは主に母親の育て方次第だ。
つまり、母親が自分に本当の関心を持っていたかどうかなのである。
「主に母親」と書いたが、実は母親でなくても、自分に本当の関心を持ってくれる人がいれば、その能力を持つことが出来る。しかし、母親以外が、自分に本当の関心を持ってくれる可能性は低い。

自分に本当の関心を持ってくれる者・・・つまり友達がいない者は、自分に本当に関心を持ってくれる者を渇望する。
いわゆる「本物の母親の代わり」を欲しがっているのだ。
そんな者達が宗教に簡単に騙されるのは当然だ。
宗教の勧誘というのは「私はあなたに本当に関心があります」というフリをすることだからだ。

では、友達がいない者はどうすれば良いかと言うと、どうにもならない。
今生では諦めるしかない。
どうせ、美人でもイケメンでもない他人に関心など持てないだろうから。
悲惨な老後が待っていることを覚悟しないといけない。たとえ金持ちでも、そして、金持ちでなければ一層。
なんと残酷な現実だ（笑）。
それでも、神様仏様はあなたに本当の関心を持ってくれている。
まあ、これも宗教が騙す手ではあるが、本当でもある。宗教団体にはくれぐれも関わらないことだ。
法華経の『「長者窮子の譬え」（ちょうじゃぐうじのたとえ）』を読むと良いと思う。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
（１）サンスクリット版縮訳　法華経　現代語訳
（２）改訂版　新法華経論
（３）言ってはいけない―残酷すぎる真実―（橘玲）
（４）ものぐさ精神分析　増補新版（岸田秀）


AIアート2166
「友達の関係」
Kay