数学者、児童心理学者、教育者、コンピューター科学者、AI研究者として高い実績を上げたシーモア・パパートは、自分の能力は平凡だが、次のような理由で成功したと言う。
彼は、4歳の時に、自動車のエンジンの中で動く歯車に魅了され、その後、いかなることも、頭の中で歯車をイメージして考えたと言う。
そして、それぞれの人が、私にとっての歯車のようなものを持てば良いと言う。

だが、大人が自分にとっての歯車が何かと考えるのを見ると、つくづく頭が固いと思う。
子供の時に、何か大切にしていたものがあるはずなのだ。
だが、そのことを大人に言うと笑われるし、それが形あるもので身近に置いていると、大人だけでなく、周りの子供達にまでからかわれたり、馬鹿にされたりしたかもしれない。
そうでなくても、いつのまにか、すっかり忘れてしまうのだ。
それはおそらく、ぬいぐるみやサッカーボールや変身ベルトや魔法のコンパクト、あるいは、ゲーム機やスマートフォンや、さらには水晶のようなものではないだろう。

芸術家の横尾忠則さんは、子供の時の自分にとって、ターザンと南洋一郎の冒険小説が非常に大切だったらしい。
だが、どう大切なのかは分からない。
パパートが、歯車を頭の中でどう動かしたか分からないように。
私は子供の時、亀が単に好きだったが、亀を魔法のアイテムにした人は、『バガヴァッド・ギーター』でクリシュナ神が言ったように、頭と手足を甲羅の中に引っ込めるがごとく、五感を外界から引っ込め、内側に向けるのだろう。
ある優れた哲学者は、世界は一次方程式で出来ていると感じ、ものごとを一次方程式で考えるようになったと言う。尚、世界は一次方程式で出来ているという考え方は、数学の線形代数でしばしば語られることであると思う。
岡本太郎は、赤という色が、パパートの歯車のようなものだったかもしれないと思う。彼は、いつも赤い色を思い浮かべたと言う。
こんなふうに、いろいろなのだ。
作家や芸術家の中には、美少年や美少女がそうである人もいると思うことがある。
まあ、もし今、そんなものがないなら、あせらず気長に探すことである。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)マインドストーム(シーモア・パパート)
(2)美の呪力(岡本太郎)
(3)見えるものと観えないもの(横尾忠則)
(4)まずはこの一冊から 意味がわかる線形代数(石井俊全)
(5)バガヴァッド・ギーター(日本ヴェーダーンタ協会)

天使の絵
AIアート1723
「天使の絵」
Kay

  
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