ホリエモンの講演の動画で、私が憶えてるのは、彼が「日本は既にベーシック・インカム状態です」と言った部分だ。
ベーシック・インカムとは、国が国民全員に最低限生活出来るお金を無条件に提供する仕組みだ。
ホリエモンの発言で思い出したのが、落合陽一さんが何かの本(昔、書店で立ち読みしただけでタイトルは憶えていない)の序文で、やはり「日本は既にベーシック・インカム状態だ」といったことを書いていたことだ。
この2人は、影響力はあると思うが、言うことはあまり信用出来ないと思う。その理由は以下の通りだ。
彼らは、よく印象的なことを言うが、その発言、主張は前提条件付きなのである。だが、その前提条件を(意図的にだろうが)言わないことが多いので、特殊なことを一般的なことであると、(これもおそらく意図的にだろうが)誤解させることが多いのである。
彼が言う、「日本は既にベーシック・インカム状態である」という発言の前提条件は、だいたいこんな感じであると思う。

・非常に頭が良く、かつ、積極的、活動的、創造的。
・世の中の役に立つ事業や創造活動に取り組む、優れた計画と意欲がある。
・国の制度、法律に精通している。

そりゃ、これだけの条件に合えば、ベーシック・インカム状態になれるが、これを言わないのだから、詐欺みたいなものだが、彼らは「いや、こんなの当たり前でしょ」としれっと言いそうだ。
つまり、彼らは本当は凡庸な人間は相手にしていないのだが、そこも言わないので、凡人が彼らのファンになるという、何の意味もないことが起こっている。

上の(ベーシック・インカム状態になる)条件に合う、分かり易い例が、作家・詩人のハンス・クリスチャン・アンデルセンだ。
彼は、若くして作家として名声を得たことで、デンマーク国王から年金の受給を受けることが出来、一生働かずに食べていけた。当時は印税制度がなく、アンデルセンは文筆ではほとんど収入を得ていなかった。
アンデルセンは、自分では国の制度や法律に精通していたわけではなかったかかもしれないが、「国王に謁見した時に、どう言えば年金を貰えるようになるか」を適切にアドバイスしてくれる知人がいたのである。
そのラッキーがなければ、アンデルセンはこれほどまでに成功しなかったはずだ。

ベーシック・インカムの支給金額として、よく言われるのが、月に7万円だ。
しかし、月に7万円でやっていけるわけがない。
やはりインフルエンサーのひろゆきさんは「やっていける」とよく主張しているが、彼もまた超特殊な前提条件がある発言をするところは、ホリエモンや落合陽一さんと同じだ。よって、無視した方が良い。
4人家族だと、親と子供2人で7万円×4で28万円だから、やっていけなくもないが、あまり希望がある状態ではない。
まあ、恐ろしいのは、現在、これ以下の家庭が多いということだ。
単身でも、持ち家、あるいは、実家暮らしなら、ほぼ食べていくだけならギリギリ可能かもしれないが、文化的な生活とは言えないと思う。
つまり、ベーシック・インカムは、働く人の収入アップが狙いの場合は良いことだが、才能ある芸術家や事業家等を支援するという意味では、あまり効果的でないだろう。
まして、本当に働かずに1人で生きていくという希望は叶えられない。

ベーシック・インカムにある意味近いのが生活保護であるかもしれない。
よく、生活保護では月13万円くらいもらえると言われるが、正しくは、家賃プラス7万円くらいもらえる・・・である。
だから、家賃が6万円なら13万円くらいもらえるかもしれないが、家賃が2万円なら9万円だ。持ち家や実家暮らしは、ほぼ駄目である。
生活保護はあくまで、労働者の生活支援が目的で、芸術家、学者・研究者、作家、事業家を目指す者のためのものではないので、そういった者が受給をすると、詳しい話は割愛するが、いろいろ不都合が生じる。

志ある者が働かずに生活するには、邱永漢さんも言っていたが、ゴッホのようにパトロンを持つ(ヒモもその1つかもしれない)ことだろう。
私も、パトロンの申し出はいくつか受けたことがある。
天才ではないから、超好条件とは言えないが、たとえば、事務所とそれとは別に月20万円とか、それに対抗し「秘書もつける」などである。
額が少ないからではなく、それほどの事業意欲があるわけではないので全部断ったが。
ただ、こういった申し出を受けるのも運である。
いつも言うが、運を磨かないといけない。
運があれば、アンデルセンのようになれ、それでこそ、ベーシック・インカム状態なのであり、制度としてのベーシック・インカムや生活保護はどうでも良いのである。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)アンデルセン 自伝(ハンス・クリスチャン・アンデルセン)
(2)運は実力を超える(植島啓司)
(3)あなたも金持になれる(ジョセフ・マーフィー)
(4)信念の魔術(C・M・ブリストル)

おとぎ話の時代
AIアート1722
「おとぎ話の時代」
Kay

  
このエントリーをはてなブックマークに追加   
人気ランキング参加中です 人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ