過酷な鍛錬によって大きな力を得たという漫画アニメがある。
『鬼滅の刃』の炭治郎が有名で、最初の方のお話で、彼のハードトレーニング振りが描かれるが、それは人間に出来ることではない。
『地獄楽』というアニメの画眉丸(がびまる)も幼い時からの過酷な修行で超人的な力を得たが、あり得ない特訓である。
私は、こういったものを見ていると、馬鹿らしくなって見るのをやめてしまう。
いかに漫画アニメとはいえ、非現実的にしてはならないところがある。

一方、やはり鍛錬によって超人的な力を得たのだと思うが、こちらはあまりに鍛え方が足りないと思うものが、実に多いと思う。
『リコリス・リコイル』というアニメのヒロインで、犯罪を取り締まる秘密組織の隊員の錦木千束(にしきぎちさと。17歳)がそうで、おそらく凄い訓練を積んで超人的能力を得たのだと思われるが、悪い意味で凡人過ぎ、天才・超人の鋭さを欠片も感じない。それに、普段、全然訓練していない。
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の主人公の少年ベル・クラネルはどんどん強くなるし、ヒロインのアイズ・ヴァレンシュタインは剣姫(けんき)と称される超人的剣士だが、あまりに訓練をしていない。せいぜい、アイズが毎朝、ちょろっと素振りをしていることが示唆されるだけだ。
私は、ここらの違和感が強過ぎて、途中から全く見なくなった。
悪い意味で非現実的なのである。

事実から言えば、特訓は必要ない。しかし、常に鍛錬していないと、力は得られず、得た力をすぐに失う。
この部分は極めて重要であるが、我々はこれをほとんど教わらないし、上のような変な漫画アニメで恐ろしく歪んだ観念を植え付けられる。
正しい姿を示すものの1つに、アメリカのプロ野球選手だったテッド・ウィリアムズがいる。史上2人だけの2度の三冠王、最後の4割バッター、出塁率史上1位という、名前がそれほど知られていないのが不思議な選手だ。
彼は子供の時から、いつでもどこでもバッティングの練習をやり、夜は親がベッドに押し込まない限り練習をやめなかったという。
これは特訓ではなく、彼は好きでやっていたのである。
私が毎日やっている佐川幸義流四股を作った、大東流合気柔術の超人だった佐川幸義は、毎日数千回の四股を始め、非常に長時間の鍛錬をしたが、本人は「僕は特訓なんかしない」と言ったようだ。無理にやっていたのではなく、やはり、好きでやっていたのだろう。
日本プロ野球史上唯一の三冠王を3度獲得した落合博満さんが中日ドラゴンズのゼネラルマネージャー時代のことと思うが、若い選手が指導を請いに来た時、落合さんは5時間素振りをやらせたというのも、そんなことを教えたのだと思う。
北野武さんが若い頃、落合さんのことかどうかは知らないが、一流のバッターについて、「あいつら、一晩中でも素振りやってんだ。あれは好きでやってんだぜ」と言っていたが、全くその通りだろう。
ネドじゅんさんが、毎日「エレベーターの呼吸」をやって悟りを開いたというのも、好きでやっていたはずで、悟りを開こうと必死にやっていたのではないだろう。
政木和三さんは、小学3年生の時、毎日腹式呼吸を1時間やって1か月で超人になったが、これは吃音を治したいという目的があって始めたらしい。しかし、やっているうちに、そんな目的は忘れ、好きでやるようになったのだと思う。
呼吸法というのは、毎日やっていたら面白くなるものだ。ただ、あまりに執着が強いとそうならないので、気楽さも必要と思う。
お気に入りの呼吸法を見つけ、それを行うだけで良いと思う。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)深淵の色は 佐川幸義伝(津本陽)
(2)佐川幸義 神業の合気(「月刊秘伝」編集部)
(3)残酷すぎる成功法則(エリック・パーカー。橘玲)
(4)左脳さん、右脳さん。(ネドじゅん)

花のささやき
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「花のささやき」
Kay

  
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