悪い意味で衝撃的だったから、タイトルも何も憶えていないアニメ映画がある。
ギャグ映画ではなく、「いい映画」を目指して作られた映画だと思われるが、私がこれを見たのは、岡田斗司夫さんが、この作品をYouTubeでかなり酷評していたので、どれほど駄目な映画なのか興味を持ったのだが、岡田斗司夫さんが言うのとは全く違う意味で酷いものだった。
何が悪いかというと、モラルが最悪なのである。
うろ覚えだが、それを示す2つの場面が最初の方にある(最初の方しか見ていないが)。
主人公は女子大生の女性(女の子という雰囲気だったと思う)だが、大学の広い講義室に行くと、初めて見る男子学生が居た。
その男子大学生は、落ち着いた雰囲気のイケメンで、真面目に講義を聞いていた。
講義の後、女性は、その男子学生に声をかけると、彼は、自分はこの大学の学生ではないが、その講座に興味があったので受講していたといったことを言う。
おそらく、大学の許可を得てのことではない。それなら、不正受講で、違法、犯罪であるはずだが、そこは全く問題にされない。
スティーブ・ジョブズがリード大学を中退し、寮の部屋を出たが、寮の友人の部屋に転がり込んでいたというのは、おそらく寮の規則に反するだろうが、それよりも、ジョブズが、その後もリード大学の講義を受講していたのは大問題だ。
ジョブズは、成功してから、スタンフォード大学で行った「名講演」と知られるようになった卒業講演で、「その時(大学中退直後)、(リード大学で)カリグラフィー(文字装飾技術)の講義を受講したことが、後にマッキントッシュパソコンを開発するのに役立った」と、良い話のように言うが、やはり違法である。
アメリカの私立大学であるリード大学の学費は高く、今なら年間約46000ドル(660万円)で、当時も高かったので罪は軽くない。いや、公立の大学であっても、国や州が負担しているのであるから、やはり無断聴講は許されない。
昔、加藤泰三さんが、『大学で何を学ぶか』という本で、ある大学の教授が、自分の講義に、自校の学生でないと分かっていた者が受講していたのを放置し、「やる気のない自校の学生より、自校の学生でなくても、やる気のある者に講義する方がやりがいがある」みたいなことを言っていた話がある。
これを、いい話だと誤解する読者がいると思う。いや、実は私がそうだった(笑)。
だが、この教授は、無断聴講の者を排除する義務があるし、(無断聴講者がいると)気付いているのに放置したら、大学に対する背信であり、そんなことを教授が好きなようにする権限はない。
今は、インターネットで講義を無料公開している大学も多く、それは学問的に好ましいことかもしれないが、ジョブズやそのアニメのその男性の行為は許されない。

また、このアニメ映画で、主人公の女性と、その違法受講生の男性は親しくなるが、その中で、信じられない行為をする。
2人重なって駅の改札を一人分のチケットで出入りし、それがうまくいったことを喜び、はしゃぎ合う場面があったと思う。いや、見間違いであったことを祈る。それを、楽しいことのように描かれていたと思う。
この場面に対し、炎上したという話はないが、もしそうなら、日本という国のモラルは終わっている。

前にも述べたと思うが、『とある科学の超電磁砲』という人気アニメで、ヒロインの1人である超人的な女子中学生が、飲料水の自動販売機に回し蹴りを叩き込み、その衝撃で飲料水が1つ出て来ると、それを飲む場面がある。
何か理由があったのかもしれないが、犯罪にしか見えない。
その女子中学生は、愛される性格の正義の味方キャラとして描かれているのだから恐ろしい。

私が知っている範囲で、こんなものがあるのだから、他にも、致命的にモラルや道徳に反する有名なアニメ、映画、ドラマ、漫画、小説などは沢山あると思う。
一説では、これらは、共産主義国家が民主主義国家の国民のモラルを低下させ、国力を低下させる目的で、学校、メディアを利用する戦略であるというが、これらを見ていると、納得しそうになる。
あるいは、こういったこともまた、『エイリアン・インタビュー』にある、宇宙人が太古の地球にしかけたマインドコントロール装置の影響なのかもしれないと思う。
さらに、レイ・ブラッドベリのSF短編小説『ぼくの地下室においで』で、大学生ロジャーが感じていた「何か恐ろしいことが起こっている」と言っていた、おそらく、宇宙人の地球人に対する精神的侵略と同種のことかもしれない。

モラルが破壊されると、良い意味での常識がなくなる。
そうなれば、アメリカの前大統領が、女性と自己申告さえすれば、女性のスポーツ競技に参加したり、女性施設を利用する権利を認める大統領令を出すといったことが行われる。これは、実際に、世界最強の国の最高権力者によって行われたことだ。
他にも、十代の人が性転換手術を受けることを金銭的に支援したり、それを止めてはいけないという法律まで作ったとも聞く。
世界中でおかしなことが起こっているようだ。
モラル、常識、思いやりを消す、つまり、利己主義、自分さえ楽しければ良いという性質に導く力が、おそらく、ずっと前から働いているのだろうと思う。
私も、そっち方面にひっぱられそうにもなるが、あっちの世界は見かけはともかく、実質は醜いので好きではないから、行く気にはならない。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)ハングリーであれ! 愚かであれ! (スティーブ・ジョブズ講演録)
(2)大学で何を学ぶか(加藤諦三)
(3)エイリアン・インタビュー(ローレンス・スペンサー)
(4)ウは宇宙船のウ(レイ・ブラッドベリ。萩尾望都)

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