『俱胝竪指(ぐていじゅし)』という禅のお話で、倶胝(ぐてい)というお坊様は、何を聞かれても、人差し指を1本立てたと言う。
いや、それは違うと私は思う。
本当は、倶胝は、しょっちゅう人差し指を立てていただけで、何か尋ねた時も、たまたま人差し指を立てていることが多かったので、それが質問の答のように感じた者がいただけだ。
だが、それは答でもある。

人差し指を立てると、不思議なことに、荒い呼吸がし難く、大抵は、呼吸が静かになる。
そして、呼吸が静かになると、心が静かになるが、それは、思考が消えているということだ。
呼吸法も何もしなくても、これだけで思考が消えるのである。
武道では、人差し指は「師匠預けの指」と言われ、使わないことになっている。
剣道でも、人差し指は開くものらしい。
剣術家が剣を振る時や、剣を持たずにシャドー素振りをする時は、はっきり人差し指が立っていることも多い。
人差し指を立てると、肩の力が抜け、緊張が解け、思考が消える。

呼吸法には、思考を消すと共に、気を取り入れる働きもあるので、行うことが好ましいが、頭の中のおしゃべりを止め、思考を消し、引き寄せの力を十分に発揮したい場合は、単に、人差し指を立てるだけでも良い。

尚、倶胝のお話では、倶胝は、倶胝の真似をした小坊主の人差し指を刃物で切断する。
その後、倶胝は人差し指を立てる。
それを見て、小坊主は悟りを開く。
ミラーニューロンと言って、人の動作を見ると、見た人の脳は、その動作と同じ動作をしているように働く。
特に、手の動きでミラーニューロンはよく働く。
つまり、倶胝が人差し指を立てると、それを見ている小坊主も、人差し指を立てているに等しい。
すると、小坊主は思考が消えてしまい、痛みも驚きも消えてしまった。
それを感じた時、小坊主は悟りを開いたのである。
(ただし、あくまで道理を分かり易く示しただけである)
実際に人差し指を立てなくても、人差し指を立てることを想像するだけでも効果がある。

ミラーニューロンについては、神経科学者のジェームス・ファロン博士の『サイコパス・インサイド』に面白い記述があると思う。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)サイコパス・インサイド(ジェームス・ファロン)
(2)数霊のメッセージ(佐々木将人)
(3)宮本武蔵「五輪書」
(4)私の声はあなたとともに ~ミルトン・エリクソンのいやしのストーリー~

共生
AIアート1629
「共生」
Kay

  
このエントリーをはてなブックマークに追加   
人気ランキング参加中です 人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ