これからは、悟りを開いたという意味の覚醒者が増えるかもしれない。実は、もう増えているのかもしれないが。
一般的な宗教ではなく、密教だとか、修験道といった隠れた神秘集団の中にも覚醒者が多くいるのかもしれないが、それは情報公開されないので分からない。
私が分かる、一般の人で覚醒した例としては3人いる。
1人は、一般人と言っても著名で特別な人間であるが、脳神経科学者のジル・ボルト・テイラー博士だ。TEDで講演するくらいだから、超特別な人間ではあるが、別に覚醒を目指していたわけではなく、脳卒中を起こして左脳の機能が停止したことで覚醒状態に「たまたま」なったのだから、覚醒ということに関しては一般人と言える。
彼女は脳の研究の専門家で、また、TEDで感動的な講演をしたことから信用されたが、そうでなければ、あくまで自己申告の覚醒者だ。
その意味で、あくまで自己申告に過ぎないが、覚醒した(悟りを開いた)という人が、ネドじゅんさんである。
彼女は、「普通のおかん」を自称するが、かなりのスピリチュアルオタクを10年とか20年やっていたのだから、果たして一般人と言って良いのか迷うところもある。
彼女が覚醒したのは、主には、彼女が考案した「エレベーターの呼吸」を熱心にやっていたからであると思う。
3人目は、ちょっと古い話であるが、英国の作家コリン・ウィルソンの『右脳の冒険』の中で取り上げられていた若い男性で、私には、彼の例が最も興味深い。
彼こそ全くの一般人で、覚醒にも脳科学にも無関係であった。
彼は、妻が心神喪失(無意識状態)に陥ったのであるが、よほど妻を愛していたのか、可能な限り、妻が回復するのを待ちながら、妻の様子をずっと観察していたのだと思う。
そして、妻が回復した時に覚醒が起こったようである。
ウィルソンは、彼が覚醒した理由を、「長い緊張状態が妻の回復で解放されたから」としている。
ウィルソンは、ミニ覚醒と思える至高体験の原因を緊張からの解放と考えていたようなので、覚醒についても、そう見なすのだろう。
しかし、それは明らかに違う。彼は妻を観察していた時、緊張していたわけではない。
おかしなことに、この話を取り上げた『右脳の冒険』の最初の方で、T.E.ロレンス(アラビアのロレンスとして知られる)のミニ覚醒体験を、「思考のフィルターを通さずに見る」ことによると述べているのだが、その、心神喪失の妻を観察した男も同じである。
つまり、妻の様子を観察することに意識が向くことで思考を停止した彼が、無思考でものを見たことが、彼の覚醒の原因である。
『荘子』の中で、「視線を自然にし、思慮分別をせずに見ろ」と述べられている通りである。

上の、覚醒した3人に共通するのは、左脳が停止したことである。あるいは、左脳が眠ったと言っても良いかもしれない。
左脳が停止するとは、一般的には思考が停止する、あるいは、思考が消えることで、頭の中のしゃべりが消える、頭の中で言葉が消えるということだ。
文明国では、左脳の使い過ぎ・・・普通に言う頭の使い過ぎで、世の中がおかしくなってしまっていて、覚醒しないと、つまり、悟りを開かないと危うい状態であると思う。国家もだし、個人も危ないが、個人は今すぐ危ないのである。いや、国家もかなりすぐであるが。
覚醒するには、テイラー博士のように脳卒中を起こすことは推奨出来ないので、呼吸法か、思考のフィルターを通さずに見る方法がある。
具体的なやり方などは、いずれも、ここでずっと書いている。
簡単に言えば、「大きく吸って止めてゆっくり吐く」と「夢の中だと思って見る」である。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)奇跡の脳(ジル・ボルト テイラー)
(2)右脳の冒険(コリン・ウィルソン)
(3)左脳さん、右脳さん。(ネドじゅん)
(4)新釈 荘子 (PHP文庫)

夢の中
AIアート1628
「夢の中」
Kay

  
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