合気道の達人として有名だった塩田剛三が、7年間、金魚を観察して武道の神髄を掴んだ話を何度か述べた。
では、金魚の何を観察したのかというと、水中で静止した状態から、どの方向にでも、何の予備動作も無しに一瞬で移動することだったと思う。
金魚のこの素晴らしい動きを、日本の武士はトンボに見ていて、トンボを「勝ち虫」と呼んでいたらしい。
金魚が水中なら、トンボは空中において、同じような動きをすることをご存じと思う。
空中でじっと静止しているトンボが不意に、360度どの方向にでもさっと移動する。
そして、トンボの飛行は実に滑らかで、ドローンをはるかに上回る。
そのトンボの飛行原理を2023年に東京工科大学が世界で初めて解明し、論文発表している。
地球上で最も成功した捕食者と言われる理由である進化を遂げたトンボの飛行能力は、他の飛行する虫を上回る。
ハチドリやカワセミ等、鳥の中には、ホバリングと呼ばれる空中で静止する種もいるが、それらも、トンボと似たところもある。つまり、羽ばたいているというより、羽が振動しているといった感じである。
人間で、金魚やトンボに近い動きをするのは、ボクシングやフェンシング、あるいは、剣道等の武道のフットワーク、足さばきであると思われる。
近松門左衛門の浄瑠璃(三味線で伴奏する語り物)『鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)』の現代語訳を読んだ時、私が非常に印象に残っている箇所がある。
それは、槍の名人である笹野権三が、いよいよ浅香市之進と決闘する時だ。
元より、権三は討たれるつもりで、「形ばかりお相手いたそう」と言うが、権三の太刀は竹光で(生活困窮のため太刀は売った)、脇差しか持っていなかった。
そこで、「せめて竹槍でもあれば、槍の権三の異名を取った槍さばきを見せられたものを。せめて足さばきを披露しよう」と言うが、やはり槍も足さばきが重要なのだろう。
だが、もっと素晴らしい足さばき、フットワークを見せるのがダンスだと言われることがある。
バレエに限らないが、優れたダンサーの動きは滑らかで、金魚やトンボを連想させる。
有名な空手家の大山倍達が、「空手の動きとダンスの動きは似ていて、私はダンスも得意だ」と言っていたらしいが、本当かもしれないと思う。
ブルース・リーが監督・脚本・主演を務めた映画『ドラゴンへの道』で、リー演じるタン・ロンがコルトと決闘した時、最初、タン・ロンはコルトのパワーに押され劣勢になるが、タン・ロンがフットワークを活用することで形勢を逆転するのも非常に面白い。
究極的に自在な飛行を行うのがUFOだと言われることがある。
もちろん、UFOの飛行原理は公式には分かっていないことになっているが、いろいろな考察の中には、馬鹿らしいものもあるだろうが、興味深いものもある。
そして、UFOの飛行原理が、究極的には、上にあげた、金魚、トンボ、武道の達人、ダンサーの技と共通すると思われる。
それは、言葉で言えば、「気が充実している」とか「波動が高い」とでも言うしかない。量子力学的な解説も出来るかもしれないが、分かり易く、しかも、汎用的に説明出来るかは疑わしい。
また、気功や合気道的な説明も、独断や偏見が混じる場合が多い。
だが、原理を述べずにいきなり言うと、気を充実させ、波動を高める有効な方法は、呼吸においてゆっくり吐くことであることは、おそらく間違いない。
ゆっくり吐くには、ある程度、多目に吸う必要もあると思うが、大切なことは、やはりゆっくり吐くことなのである。
『弓と禅』では、その効果が劇的に現れることが書かれている。
そんなわけで、私は「ナ・ダーム呼吸」を熱心にやっているのである。
「ナ・ダーム呼吸」とは、「ナ」と心で唱えながら吸い「ダーム」で長くゆっくり吐くのである。
「ナ・ダーム」とは、なるべく思考を起こさない言葉として考案された、何の意味もない言葉である。
◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)弓と禅(オイゲン・ヘリゲル)
(2)ドラゴンへの道〈日本語吹替収録版〉 [DVD]
(3)気の言葉 ~宇宙のエネルギーはバラの香りがする~(望月勇)
(4)塩田剛三の世界

AIアート1606
「誇らしさ」
Kay
では、金魚の何を観察したのかというと、水中で静止した状態から、どの方向にでも、何の予備動作も無しに一瞬で移動することだったと思う。
金魚のこの素晴らしい動きを、日本の武士はトンボに見ていて、トンボを「勝ち虫」と呼んでいたらしい。
金魚が水中なら、トンボは空中において、同じような動きをすることをご存じと思う。
空中でじっと静止しているトンボが不意に、360度どの方向にでもさっと移動する。
そして、トンボの飛行は実に滑らかで、ドローンをはるかに上回る。
そのトンボの飛行原理を2023年に東京工科大学が世界で初めて解明し、論文発表している。
地球上で最も成功した捕食者と言われる理由である進化を遂げたトンボの飛行能力は、他の飛行する虫を上回る。
ハチドリやカワセミ等、鳥の中には、ホバリングと呼ばれる空中で静止する種もいるが、それらも、トンボと似たところもある。つまり、羽ばたいているというより、羽が振動しているといった感じである。
人間で、金魚やトンボに近い動きをするのは、ボクシングやフェンシング、あるいは、剣道等の武道のフットワーク、足さばきであると思われる。
近松門左衛門の浄瑠璃(三味線で伴奏する語り物)『鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)』の現代語訳を読んだ時、私が非常に印象に残っている箇所がある。
それは、槍の名人である笹野権三が、いよいよ浅香市之進と決闘する時だ。
元より、権三は討たれるつもりで、「形ばかりお相手いたそう」と言うが、権三の太刀は竹光で(生活困窮のため太刀は売った)、脇差しか持っていなかった。
そこで、「せめて竹槍でもあれば、槍の権三の異名を取った槍さばきを見せられたものを。せめて足さばきを披露しよう」と言うが、やはり槍も足さばきが重要なのだろう。
だが、もっと素晴らしい足さばき、フットワークを見せるのがダンスだと言われることがある。
バレエに限らないが、優れたダンサーの動きは滑らかで、金魚やトンボを連想させる。
有名な空手家の大山倍達が、「空手の動きとダンスの動きは似ていて、私はダンスも得意だ」と言っていたらしいが、本当かもしれないと思う。
ブルース・リーが監督・脚本・主演を務めた映画『ドラゴンへの道』で、リー演じるタン・ロンがコルトと決闘した時、最初、タン・ロンはコルトのパワーに押され劣勢になるが、タン・ロンがフットワークを活用することで形勢を逆転するのも非常に面白い。
究極的に自在な飛行を行うのがUFOだと言われることがある。
もちろん、UFOの飛行原理は公式には分かっていないことになっているが、いろいろな考察の中には、馬鹿らしいものもあるだろうが、興味深いものもある。
そして、UFOの飛行原理が、究極的には、上にあげた、金魚、トンボ、武道の達人、ダンサーの技と共通すると思われる。
それは、言葉で言えば、「気が充実している」とか「波動が高い」とでも言うしかない。量子力学的な解説も出来るかもしれないが、分かり易く、しかも、汎用的に説明出来るかは疑わしい。
また、気功や合気道的な説明も、独断や偏見が混じる場合が多い。
だが、原理を述べずにいきなり言うと、気を充実させ、波動を高める有効な方法は、呼吸においてゆっくり吐くことであることは、おそらく間違いない。
ゆっくり吐くには、ある程度、多目に吸う必要もあると思うが、大切なことは、やはりゆっくり吐くことなのである。
『弓と禅』では、その効果が劇的に現れることが書かれている。
そんなわけで、私は「ナ・ダーム呼吸」を熱心にやっているのである。
「ナ・ダーム呼吸」とは、「ナ」と心で唱えながら吸い「ダーム」で長くゆっくり吐くのである。
「ナ・ダーム」とは、なるべく思考を起こさない言葉として考案された、何の意味もない言葉である。
◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)弓と禅(オイゲン・ヘリゲル)
(2)ドラゴンへの道〈日本語吹替収録版〉 [DVD]
(3)気の言葉 ~宇宙のエネルギーはバラの香りがする~(望月勇)
(4)塩田剛三の世界

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黒田鉄山先生の著書には、回転するコマのように不安定でありながらで静止した状態からこそ最速の動きが可能になる、みたいなことを書いていたと思います。
私の先生は確か釣り合いの取れた天秤のようになれと言っていました。これもまた不安定な状態で安定しています。