「貫禄」と言ったら、ある程度の年齢の威厳ある男性に対して使われることが多い。
若い人や女性に対して「貫禄がある」と言ったら、否定的に取られる場合も多いと思う。
それはともかく、真に威厳がある人は少ないだろう。
高い地位にある人に貫禄を感じるのは、実際にはその人に貫禄がなくても、その地位に対する劣等感や羨み、あるいは恐れから恐縮して、貫禄があるように感じてしまうことも多いと思う。
貫禄を示そうと、やたら肩書きをアピールしたり、高い服を着たり、高級な腕時計をする人もいる。
だが、肩書きや外見と関係なく威厳を感じさせてこそ、本当の貫禄だ。

笹沢佐保さんの時代劇小説『木枯し紋次郎』で、2人組の、剣の腕は達人であるが人間的には非道で、特に町人などは虫けらのように扱う浪人達が登場する話がある。
その浪人達が紋次郎(やくざ者の町人)を見て言う。
「その貫禄、只者ではあるまい」
人間的には下種でも、剣の修行を極めただけあり、人を見る目はあるようだ。
紋次郎は、そう言われても「とんでもございやせん」と軽い愛想笑いをする。実際に紋次郎は、自分を全く重要視していない。
しかし、紋次郎には実際に貫禄があるのだろう。大物ほど、紋次郎の貫禄に気付く。
では、紋次郎の貫禄はどうやって出来たのかというと、厳しい世の中で、生まれた時から不利な立場にいながらも、独立独歩の精神で生き抜いてきたからだろう。特に、否応なく、何度も命のやり取りを迫られ、最悪のピンチに陥りながらも生き抜いてきたことが、特別なオーラ(雰囲気、威圧感)を彼に与えたのだろう。

純粋な貫禄はオーラと言えるかもしれない。
オーラとは、「微風」「朝の爽やかな空気」を意味するギリシャ語のアウラーや、「風」「香気」「輝き」を意味するラテン語のアウラに由来するらしい。
一般的に、霊的な雰囲気や、なんとなく感じる威圧感といった意味で用いると思う。
環境学博士の講演で聞いたが、アウラーは古代ギリシャ語で「膜」という意味なのらしい。
ところで、最もオーラを感じるのは、実は海ではないだろうか?
海は、太古の昔からの生物の遺骸の集積と共に生命に満ちているからである。
最もオーラを・・・つまり、真の威厳や貫禄を感じさせるのは、海のような人だ。

世界的人気アニメ『俺だけレベルアップな件(英タイトル:Solo Leveling)』では、ハンターの力量をオーラで表すことがよくある。
主人公の水篠俊が、超一流ハンターの向坂雫(こうさかしずく)を初めて見た時、その並外れた美貌よりも、「これほどのオーラを放つ人がこの世に何人いるだろう」と、彼女の輝くオーラに目を奪われた。
実際、若い女性でも、あるいは、十代の少女でも、強いオーラを感じさせる人がいるはずだ。
『老子』に、赤ん坊は気が充実していると書かれているが、この気もオーラで、エマソンの『自己信頼』で、大人は赤ん坊に従うと指摘するように、オーラこそ、真の貫禄であると共に、真の力である。
本当のオーラがある者は、地位や見かけがどうであろうと、敬われ、人を従える。

では、どうすれば、紋次郎や旬や向坂雫らのような強いオーラをまとうようになるのだろう?
紋次郎や旬のような、命懸けの戦いを積み重ねるというのは、あくまで手段の1つである。
そんなことをせずに、強いオーラを持つ人もいる。
『マスターの教え』の中で、マスターと呼ばれる人物は、どこに行っても、丁重に扱われる。
そして、マスターは、この本の中で示した一種の修行をすることで、そうなると明かしている。

だが、最も簡単に言えば、思考が消えれば消えるほどオーラは強くなる。
そして、その最も簡単な方法の1つが、静かでゆっくりとした長い呼吸をすることである。
思考を消す方法はいろいろ述べたが、熱心に行うことでオーラをまとうようになるだろう。
ヴァジム・ゼランドの『タフティ・ザ・プリーステス』では、自分の状況に気付いている者は、なぜか人々に親しみを感じさせるということが述べられている。これもオーラの力だろう。
ヴァーノン・ハワードの著作でも、実質同じことが書かれている。
これらも参考になると思う。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)なぜあなたは我慢するのか(ヴァーノン・ハワード)
(2)スーパーマインド(ヴァーノン・ハワード)
(3)タフティ・ザ・プリーステス(ヴァジム・ゼランド)
(4)マスターの教え(ジョン・マクドナルド)
(5)自己信頼(ラルフ・ウォルドー・エマソン)
(6)木枯し紋次郎(一)(笹沢佐保)
(7)俺だけレベルアップな件 ※Amazon Prime Video
(8)老子 (岩波文庫)

サイレンス
AIアート1538
「サイレンス」
Kay

  
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