思考を消すことで、かなり早く状況が変化するのを体験する人がよくいる。
ただし、思考を消したつもりで、実際は消えていないので、変化がないという場合が多いかもしれない。
もちろん、これまでも、あまり思考をしなかった者なら、それほどの変化はないかもしれないが、ほとんどの人は思考まみれになっているので、思考が消えれば、ガラクタで溢れた部屋がきれいに片付いたように、大きな変化があると思う。
通常の思考はガラクタのようなものであるに違いない。

中島敦の『名人伝』で、弓矢の修行を積んで相当な腕前になった者がいたが、その者を名人と呼ぼう。
その名人が、老名人を訪ねると、老名人と自分では、天地の差があることが分かった。
老名人は言う。
「お前は射の射は一通り出来るようだが、不射の射は知らない」
ここらは、荘子の言う、無為の為、無知の知といったものを思い出す。
射の射は、不射の射に遠く及ばない。

思考の思考は、無思考の思考に遠く及ばす、豆鉄砲と宇宙ロケットといったほどの違いがある。
関英男博士と矢追純一さんが、似たことを言っている。
人間が安物のパソコンなら、宇宙の英知は超高性能の巨大コンピューターのようなものだ。
安物のパソコンは、宇宙コンピューターの端末として、問題を自分で考えようとせず、宇宙コンピューターに問題を丸投げすれば良い。
それなのに、安物のパソコンが、自分の小さな能力で問題を解決しようとしているのが人間だ。
自分が、安物のパソコンでしかないという自覚がないので、そんなことをするのだ。
安物のパソコンは、ただ、超高性能巨大コンピューターの端末としての役割を果たせば良い。

「今から何も考えない」「今から頭の中でおしゃべりをしない」と決め、思考を消す。
なかなかうまくいかなくても、少しでも長い時間、思考を止めるのだ。
それだけでも、やっていたら不思議なことが起こると思う。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)李陵・山月記・弟子・名人伝(中島敦)
(2)生命と宇宙(関英男)
(3)ヤオイズム(矢追純一)
(4)超生命ヴァイトン(エリック・フランク・ラッセル)
(5)おろち(2)(楳図かずお)
(6)新釈 荘子 (PHP文庫)

神秘のヴェール
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「神秘のヴェール」
Kay

  
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