人間の脳は三重構造になっている。
下から、

・爬虫類の脳(脳幹)食欲、性欲
・哺乳類の脳(大脳辺縁系)喜怒哀楽の感情。安全の欲求。
・霊長類の脳(大脳皮質)理性、知性

と積み重なっている。
食欲・性欲だけでやっている人間は爬虫類のようだし、すぐにかっとなって切れるのはゴリラや犬のような者だ。

アーサー・ケストラー(1905~1983)という、極めて優秀なユダヤ人がいて、ジャーナリスト、小説家、政治活動家、哲学者として知られ、科学史や科学評論の著書もあり、特に名著『ホロン革命』が有名だ。
このケストラーは、こんな三重構造の人間の脳を「出来損ない」と断じた。
つまり、よく分かると思うが、我々は食欲や性欲に勝てない。つまり、霊長類の脳は爬虫類の脳に負ける。
また、かっとして(頭に血が昇って)理性を失うなど、霊長類の脳は、哺乳類の脳にも勝てない。
そりゃ、一番の土台が爬虫類の脳で、その上に哺乳類の脳があり、霊長類の脳はその上に乗った不安定なものだからだ。

ところが、教育学博士で世界的な知力研究家のウィン・ウェンガー(1938~2021)は、ケストラーとは違った捉え方をしていた。
簡単に言えば、むしろ、現代人は、爬虫類の脳や哺乳類の脳の発達が不完全なので、霊長類の脳も十分に発達していないのだと指摘した。
実際、爬虫類の脳や哺乳類の脳を発達させるトレーニングをしたら、霊長類の脳も発達し、頭が良くなることが分かったという。
一例を上げれば、現代の赤ん坊はすぐに立つようになってしまい、十分にハイハイ(四つん這いで移動する)をしていないが、このハイハイは爬虫類の脳を発達させるために必要な運動だ。そして、大人でも、ハイハイをさせたら、頭(霊長類の脳)が良くなったという。
運動をすると頭が良くなるというのも、運動が爬虫類の脳や哺乳類の脳を発達させるからだと思われる。
ウェンガー博士の娘は3歳でメンサ(高IQ団体。IQ130以上で入会出来る)に入り、これは当時の世界記録で、ウェンガーの理論を実証したようだ。

佐川幸義流四股は、腰のバランス、体幹、インナーマッスルを鍛えるが、これは特に、爬虫類の脳を鍛えると思われる。
もちろん、歩くことも爬虫類の脳を鍛えると思う。
筋肉を使ったり、心肺を活性化させる運動は哺乳類の脳を鍛えるだろう。とはいえ、無理に筋トレをしたり走ったりしなくても、スポーツや格闘技をやって、楽しく鍛えれば良い。
腕振り運動なんてのは、爬虫類の脳や哺乳類の脳を鍛えつつ、霊長類の脳と統合させていく完全運動であると思われる。

エロやグルメは、適度には良いが、のめり込むと、爬虫類の脳や哺乳類の脳ばかりが活動し、霊長類の脳が活動停止する。
『BEATLESS』(長谷敏司のSF小説。アニメ)で、15歳の性格の良い少女、村主オーリガが「人間はエロとグルメで生き抜いてきた」と言ったが、当たっている面もあるが、度を越えてはいけないのである。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)頭には、この刺激がズバリ効く! (ウィン・ウェンガー)
(2)頭脳がよくなる! (ウィン・ウェンガー) ※『頭には、この刺激がズバリ効く! 』と同じ内容
(3)ホロン革命 新装版~部分と全体のダイナミクス~(アーサー・ケストラー)
(4)佐川幸義 神業の合気(「月刊秘伝」編集部)
(5)超訳甩手功(スワイショウ、うで振り)
(6)BEATLESS(上)(長谷 敏司)

陽射し
AIアート1446
「陽射し」
Kay

  
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