庶民の子供が、初めてお金持ちの友達の家に行った時、大なり小なり、「あれ?この家、自分の家とは違う」と感じると思う。
2つか3つしか部屋がない狭いアパートに住んでいる子が、ちょっとお金持ちの子の少し大きな家に行っても、「え!これ全部が1つの家?」とショックを受けることもある。
ところで、家の大きさや調度品等だけでなく、その家がお金持ちであることを支える「規律正しさ」のようなものを実感することもあるだろう。
自分の家よりはるかに綺麗に掃除され、整理整頓が行き届いているし、とにかく何かきちんとしているのだ。
だが、もっと深刻に感じることを発見する庶民の子供もいる。
それは「知性の差」だ。
品格の差という部分もあるが、それもまた知性の差として感じることが多いと思う。
お金持ちの家の友達と、そのお金持ちの親との会話が、自分の家の場合とかなり、あるいは、全く違う。
そして、その子の親が話す言葉や立ち居振る舞いなどが、自分の親と違う。
庶民の家の子供が、頭が悪い場合は、それほど深刻ではない。頭が悪い子は、違うことは分かっても、それほど気にしない。せいぜい、「羨ましい」と思うだけだ。
しかし、庶民の子供が、それなり以上に頭が良ければ、「この違いは何だろう?」と考え、「人間の等級」みたいな考えに行きつくが、それが知性の差であることには、なかなか思い至らないかもしれない。しかし、知性の差を何となくは感じているのである。

世の中では、「豊かさの差」というものは当たり前に表現されても、「知性の差」、もっとはっきり言えば「知能の差」について表現することはタブーであるようなところがある。
それで、「金持ち、貧乏」ということは語られても、「賢い、馬鹿」については、真面目に話されることはない。

『若草物語』の4姉妹のマーチ家は、元々裕福であったが、裕福だった頃の記憶があるのは、4姉妹の中では長女のマーガレットだけであった。
それで、非常に豊かな隣人であるローレンス家に招かれて行くと、ローレンス家の息子のローリー(セオドア)と仲が良かった次女のジョーはともかく、三女のエリザベスや四女のエイミーは非常に驚く。
だが、マーチ家も元々は裕福で、知的には低くなかった。それで、変な言い方かもしれないが、驚きながらも、良い驚き方であった。

知性というか知能は、生まれつき決まっている。
裕福な家の親は知能が高い場合が多く、その子供は遺伝により、やはり知能が高い。
ちなみに、研究により、知能の遺伝率は、背の高さの遺伝率よりずっと高いことが分かっているらしい。
子供のIQ(知能指数)は、両親のIQの平均になる確率が高いようだ。それで、たとえば、非常にIQが高く金持ちの父親が、若くて可愛いがIQが低い女性と結婚して、子供のIQが「そこそこ」程度になるという話がある。

英才教育を施せば、知能の発達は速くはなるようだ。
それで、8~10歳なのに12~14歳並の知能になり、クラスの中で飛び抜けて勉強が出来るようになったりする。
しかし、12歳を過ぎるくらいになると、生まれつきの知性が高くないと、脳の成長が止まってしまい、他の子に追いつかれる。
だから、小学生の時は大袈裟にでも神童、天才と言われていたのが、中学生になると、平凡な生徒になったり、自信をなくして落ちこぼれてしまうまでになるケースも多いようだ。私も、実際にそんな例を見た。小学5年生の時はIQ130の素晴らしい優等生だったのが、高校を卒業した後は大学浪人した後、そこそこレベルの大学に入ったが、見た雰囲気でも、昔の賢かった頃の面影はなかった。

だが、人間の脳は恐ろしく高性能で、本当の能力を引き出せば、誰でも相当な知能を持てるのだと思う。
要は、頭が良いというのは、知力の発揮を妨げている要因が少ないということで、生まれつき頭が良い者は、そんな知力の発揮を妨げる何かを抑制する遺伝子を持っているのだと思われる。
頭を良くする方法を書いた本は少なくないが、それらの本は、生まれつき頭が良く、知力の発揮を妨げる要因を遺伝的に持たない優秀な人間によって書かれているので、生まれつき頭が悪い者には的はずれなことが多い。しかし、頭の良い著者も、実感がないせいで、それが分からない。

頭が悪い者の頭が良くなる方法を語れるのは、生まれつきの頭は悪いが、そんな頭を良くする方法を発見し、実際に自分の頭を良くすることが出来た者だろう。
ただ、ある限度以上に頭が悪いと、自発的に自分の頭を良くしようと思わないので、そんな風に、本質で頭を良くする方法が分かるのは、たとえば、生まれつきのIQが100から110位だが、IQ120以上まで脳力を高めたといった感じの者だろう。
まずは、「求めよ、そうすれば与えられるだろう」の通り、賢くなりたいと願うことが重要である。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)若草物語 (オルコット。角川文庫)
(2)アインシュタイン・ファクター(リチャード・ポー、ウィン・ウェンガー)
(3)頭脳がよくなる! (ウィン・ウェンガー)
(4)ご冗談でしょう、ファインマンさん(上) (R.P.ファインマン。岩波現代文庫)
(5)イーロン・マスク(上)(ウォルター・アイザックソン)
(6)言ってはいけない―残酷すぎる真実―(橘玲)

寝室の大切さ
AIアート1444
「寝室の大切さ」
Kay

  
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