引き寄せの法則から考えれば、無邪気な子供の願いが一番叶い易いと思うかもしれない。
しかし、子供の願望が何でも叶ってしまったら大変どころか、子供の願望の多くは、叶うべきでないものだ。なぜなら、子供にはまだ、良い願望を定める能力がないからだ。
だが、有名な『ザ・シークレット』のDVDで、少年が引き寄せで自転車を手に入れるという話があった。
その方法は、自転車を手に入れて、楽しく乗っている様子をイメージするというもので、その結果、その少年が自転車を引き寄せた時の様子を、このDVDで感動的に描いていたが、これは全く嘘っぽい。
子供には、欲しいものが手に入らない経験が必要である。
もちろん、当然得られるべきものが取り上げられている状況は良くないが、『若草物語(原題: Little Women)』で、4姉妹の賢明な母親が言った「物は足りない目の方が良い」と言うのは、特に若い間は当てはまる場合が多い。
ところで、ジョセフ・マーフィーも、自転車を欲しがった幼い女の子の話を取り上げていた。彼女には、マーフィー自身が自転車を手に入れる方法を教えたという。
ところが、マーフィーの場合は、その女の子に、「自転車を自分だけのものにしないこと」「自転車を皆で仲良く使うこと」が必要であると言い、その女の子は即座に了解した。
彼女は心から、マーフィーの言うことを受け入れ、実際に自転車は手に入った。
しかし、普通、子供には、自分の大事なものを共有するというのは難しい。
大人の場合も当てはまるが、大人で過度の独占欲を持つのは子供っぽいと言われても仕方がない。しかし、そんな幼稚な大人が増えている。
発達障害と言われても、共有・・・日本でも流行の英語で言えば、シェアリングの思想がある大人であれば、あまり問題はない。
だが、子供はものを独占したがる。
女の子が、自分が大事にしている人形を誰にでも貸すかを考えると分かり易い。

「ケチ」であるという言葉も、倹約好きであることを指すのであれば、限度を超えない限り良いことであるが、独占欲のことを言うのであれば、少ないほど良いのであり、これが強過ぎるのは幼いということだ。
簡単に言えば「ため込む」というのは幼稚な子供の性質なのである。

共有精神を育てるためであれば、天は子供にも引き寄せの力を解放する。
まして大人には。
1億円を引き寄せたい者は多いが、それを独占したいと思う度合いに応じて引き寄せ力は弱まる。
アインシュタインなんて、収入は誰とでも大らかに分け合ったものだ。
それで妻には怒られたらしいが、彼は妻に、
「あなた、またあのロクデナシにお金を与えたのですか?もう何度も騙されているじゃないですか?」
と言われても、
「そんなことは私だって分かっているよ。だがね、誰も伊達や酔狂で物乞いなどしないものだよ」
と、平然としていたらしい。
まあ、今は、税金を考えると気楽にお金を譲渡することも出来ない不都合な世の中であるが。

高級車が欲しいと思っても、少なくとも友達になら気楽に貸せる気持ちがないと、引き寄せが難しいかもしれない。
今は、自動車のキーが電子キー1つという場合が多いが、昔のメカニカルキーの時代には、初めから複数提供されたり、自分で新たに作ることも出来たので、貸し易かったものだ。
日本の「私のものはお前のもの。お前のものは私のもの」という美しい伝統は、引き寄せの知恵でもあったのだ。
尚、この言葉は聖書の言葉として知られているが、日本人の場合は、宗教で教えるまでもなく、当たり前のことだったのである。

アイドルオタクには、推しのアイドルが自分以外の他のファンに愛想を振りまくのを見るのが嫌で、ファンをやめたという者がよくいる。
やはりそれは幼いのであるが、一定範囲では、多くのファンが持っている感情でもある。
しかし、初音ミクファンには、それはほぼないと言える。
「初音ミクは俺の嫁」であると同時に「初音ミクはお前の嫁」であるのが、初音ミクファンの不文律である。
それがヴァーチャルアイドルの優れたところである。

ジョセフ・マーフィーは、必ずしも伝統的なキリスト教の教えを肯定するわけではないが、「1割献納」に関しては賛成している。
必ずしも教会への寄付ではなく、収入の一部を自分以外の必要な者に回すという考え方に強い抵抗を感じる者は、やはり引き寄せがうまくいかないと思う。
3000万円手に入ったら300万円は寄付するという考え方が自然になれば、引き寄せは楽になると思う。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)あなたも金持ちになれる(ジョセフ・マーフィー)
(2)初音ミクはなぜ世界を変えたのか? (柴那典)
(3)オープン化する創造の時代 著作権を拡張するクリエイティブ・コモンズの方法論
(4)若草物語 (L・M・オルコット)

坐忘
AIアート1440
「坐忘」
Kay

  
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