108さんの「不足を疑う」メソッド(メソッドではないかもしれないが)は、自分にとってマイナスなこと・・・つまり、自分が嫌だなと思うことを「ただ疑うだけ」という簡単なものだ。
あまり・・・というか、ほとんど知られていないが、極めて威力あるメソッドと思う。

『ヒマラヤ聖者の生活探求』第5巻の第11章の192ページに、こんな話がある。
著者のベアード.T.スポールディングが、ロンドンのF.L.ロースンを訪ねた時のことだ。
2人の前で、多くの岩を積んだ馬車がいたが、馬車の御者(馬車を操って走らせる人)が馬車を降り、馬車の後ろに回った時、不意に馬車が傾き、御者の上に積荷の岩が落下した。大事故である。
だが、ロースンはその時、
「神の他に何もない。ただ神だけがある」(本の中では、やや文語調の言葉だった。原文では、There is nothing, but God.)
と唱えた。
すると、御者はかすり傷1つなく、岩の中から出てきた。

普通の人は、ロースンのこんな真似をすることは難しい。
ロースンは、事故で業者が傷付くことを認めず、業者が安全であると信じた。
そして、その信念の通りになった。
だが、普通の人は、そこまでの信念を持てず、無理に信じようとしたら、逆効果になりかねない。
ロースンはある意味、現実を否定したが、それは、現実を疑ったことと同じだ。
そして、我々だって、現実を疑うことくらいは出来る。
どんなことだって、疑おうと思えば疑える。
だが、良いことを疑う必要はない。悪い・・・というより、自分が嫌だと思うことを疑えば良いのだ。
たとえば、この例で言えば、
「業者は怪我をしていないのではないだろうか?本当は大丈夫ではないだろうか?」と疑うのだ。
ただし、疑うだけで、現象を自分で変えようと思ってはならない。
私も、子供の時から、そうやって事故や被害を防いだことが何度もある。
たとえば、機械を落としてしまい、間違いなく壊れたと思ったが、「いや、壊れていないのではないか?」と疑ったら、本当に全くなんともなかった。2階から花瓶を落としても割れなかったこともあった。

2016年11月に、冨田勲さんの遺作となった、管弦楽作品『ドクター・コッペリウス』(初音ミク主演)の公演が、東京渋谷のBUNKAMURAオーチャードホールで行われ、私も観劇に行った。
『ドクター・コッペリウス』は第2部で、第1部は、冨田勲さんの交響曲『イーハトーヴ交響曲』(初音ミク主演)と、イギリスの有名な電子音楽アーチストのエイドリアン・シャーウッドによる、『惑星 Planets Live Dub Mix』だった。
ところが、その『惑星 Planets Live Dub Mix』の開始前、おそらく、エイドリアン・シャーウッド所有の電子音楽機器が、大きな音を立てて台から落下してしまった。
重大な事態で、スタッフが数人がかりでその機器を台に戻したが、壊れていたら大変である。
どう見ても無事ではないと思ったが、私は、大丈夫と言うよりは、「壊れてはいないのではないか?」と、マイナスの事態を疑った。
そして、『惑星 Planets Live Dub Mix』は圧倒的な迫力とパフォーマンスで無事演奏された。

少しずつでも「マイナスを疑う」ことを実践すると、コツを掴め、優れた効果が得られるようになると思う。
尚、疑うことに関しては、デカルトの『方法序説』が参考になると思う。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)ヒマラヤ聖者の生活探求 第5巻(ベアード.T.スポールディング)
(2)スペース・バレエ・シンフォニー ドクター・コッペリウス [Blu-ray](冨田勲。初音ミク)
(3)ドーン・コーラス[CD](冨田勲)
(4)方法序説 (岩波文庫)
(5)私は何も信じない ~クリシュナムルティ対談集~
(6)投影された宇宙 ホログラフィック・ユニヴァースへの招待

あやかし
AIアート1180
「あやかし」
Kay

  
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