昔のアメリカのテレビドラマ『トワイライトゾーン』で、自分と見分けがつかないほどのアンドロイドを作った男の話がある。
その男が言う。
「俺は、どこかなりきれないんだ・・・大人に。子供の時は皆、偉くなるとか博士になるとか言う。しかし、そのうち言わなくなる。だが俺は違った。夢を叶えたんだ」
まあ、こういうのを、今では中二病と言うのだろう(笑)。
ジョセフ・マーフィーの『人生に奇跡をおこす』の中で、マーフィーは女優になる夢を持っている若い(二十歳過ぎか?)女性に、「子供の夢は卒業しなさい」とたしなめる。
また、『誰でも小さなことで大切な願いがかなえられる』(チン・ニンチュウ)の中で、著者は、スーパーモデルになりたいと思っている女性は沢山いるが、ほとんどの人は向いていないことを淡々と語る。

偉大なことを成し遂げる者は皆、中二病(思秋期にありがちな自分を特別視し、夢想を生きること)だと言う者がいるが、それは大誤解だ。
イーロン・マスクが火星移住のことを言い始めた時や、今ですら、彼を中二病扱いする者もいるが、彼は裏付けを持って言っていたのであり、だから現実化しつつある。
よく、本田圭佑は小学校の時の文集で、「将来、サッカー選手になってセリエAで活躍する」みたいなことを書いたことが実現したので、彼は引き寄せの法則を知っていたなんて言う者がいるが、この文集の件は注目するほどのことではない。同じようなことを書いて実現しなかった人が、その何千倍、何万倍もいるのだから。

何が幼い中二病で、何が本当の夢かの違いは何だろう?
本気でなりたいかどうかだと思う人も多いだろうが、私は二十歳過ぎまでプロレスラーになろうと本気で思っていたが、今考えたら、明らかに中二病だった。
確かに、40歳近くになって本当にプロレスラーになった人もいるが、彼は中二病ではなく、学生時代は柔道をやっていて、40歳近くになっても本当に身体を鍛えていた。
私の場合も、二十歳過ぎなら、せめて柔道で黒帯を持っているとかでなくては駄目だろう。

とはいえ、特に、若い人が突飛な夢や目標を持っている場合、それが本当の夢か中二病かが区別が出来ないように思える。
しかし、そうではない。
単に、「ちやほやされたいだけか、そうではないか」だけで、ほとんど分かると思う。
『星の王子さま』で、単に「やんやとはやしたてて欲しい」だけの男が登場するが、あれが中二病で、あんなふうになってはならないというわけである。

私は、総務社員(と言っても社員数十数名の小さな会社)だった25歳の時に、毎日、深夜2時過ぎまでパソコンでプログラミングに励んでいたが、実のところ、プログラマーになろうなんて全く思っていなかったし、なれるとも思っていなかった。
しかし、そこまですれば嫌でもプログラマーになれる。3年後には、プログラマーとして大手企業に入り、すぐに開発部門のエースになった。

つまるところ、夢や目標であるかどうかは分からないが、中二病か現実的かの違いは、どれだけ時間をかけているかだろう。
超能力戦士になろうと思っている中二病は、いかに熱心に見えても、それほど時間をかけていない。
漫画家やイラストレーターに聞いたら、やっぱり子供の時から、暇があったら絵を描いていたらしい。
ある時、小学生の娘を持つ母親に、「あの子はずっと絵を描いている」と言って、将来は画家や漫画家になれるのではという話をしていた。しかし、たまたま確認する機会があったが、その子は、それほど描いていなかった。気が向いた時に熱心に描いているだけで、毎日1~2時間すら描いていない。実際、十数年後、その子は全く絵描きになっていないし、なれる見込みもない。
一方、本田圭佑やイチローは、ずっとサッカーや野球をやっているわけでなくても、サッカー選手や野球選手になるために必要なことを、1日中と思えるほどやっていたはずだ。

作家になろうとして、毎日書こうとして書けるものではない。
村上春樹は、修行時代、毎日、原稿用紙10枚をノルマに書いていたというが、10枚以上は書かなかったらしい。
だが、作家になれない者は、その10枚が書けない。
そして、村上春樹は、1日中、小説のことを考えていたのだろう。
私も、プログラマー修行中の数年程度は、本当に1日中、プログラミングのことを考えていたが、それでこそプロになれるのだと思う。
ジャイアント馬場という有名なプロレスラーは、若い頃、アメリカでNo.1(つまり世界No.1なのだが)のプロレスラーだったバディ・ロジャースに憧れ、ずっと観察していたが、ロジャースは本当に1日中、プロレスのことを考えていたようだった。
馬場さんは「そりゃ、ずっと考えている者とそうでない者では、長い間に差が出る」と言っていたらしい。
ただ、「考える」と言うよりは、勝手に想いが浮かぶと言う方が正しいのだと思う。
サッカー選手になれるのは、サッカーのことがずっと頭から離れない者で、別のことが思考を長時間奪うようでは見込みはない。
無理にサッカーのことを考えようとしても無駄である。
思考は勝手に起こるのである。
次回、出来れば、好ましい思考を起こすことについて書こうと思う。

◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)「大企業の時代」は終わったか 【Voice S】(夏野剛、猪子寿之)
(2)人生に奇跡をおこす(ジョセフ・マーフィー)
(3)誰でも小さなことで大切な願いがかなえられる(チン・ニンチュウ)
(4)星の王子さま (新潮文庫)
(5)イーロン・マスク 未来を創る男

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