私は時々、『ナ・ダーム(原題:THE HUMAN MIRACLE)』(日本教分社)という本を薦めているが、絶版になって長く、古書も高価である場合が多い。
よほどお金が余っている場合は別だが、高価なのを無理してでも買った方が良いかというと、買うに越したことはないが、買わなくても良いと思う。
読み易く、読んで楽しいという、いわゆる「面白い本」ではない。
まず、本の始めでは、事実を、誤解を生まないよう、正確、詳細に、多面的に語る・・・と言ったら、どれほど堅い文章になるか想像出来るかもしれないが、実際、冗長とも言える文章に面食らう。
現在、出版される本の大半は、売上を伸ばすために、「簡単」「面白い」「刺激的」な文章で書かれるのが当たり前で、そんなものに慣れた人には読めたものではないと思う。

この本は、人間が本来持っている脅威の力を解放することが書かれているが、スピリチュアルな本では全くなく、主に医療現場における精神治療について、研究者の立場で書かれている。
ただし、取り上げる実例は刺激的かもしれない。
医師が手術でメスを入れ、患部を開いた瞬間に、何もせず、助手の医師に縫合を指示したという酷い状態の癌患者も、完全な健康体に戻った。
その患者は、著者らの直接の指導を受けたのだが、この本があれば自分だけで同じ成果を収めることが出来ると言う。
よって、読者には、早く実践したいと思って本を手にした人も多いと思うが、そこで延々、事実、思想、理論を詳細に語られるのだが、怒る人がいてもおかしくないと思う。
正直言って、IQがあまり高くない人には、読むのが苦痛・・・と言うより、有体に言えば無理かもしれない。

そこで、私は、実践編の第6章「あなたのコントロールセンター」から読むことをお薦めするが、この第6章に「実際のやり方」が書いてあることを知らずに本を捨ててしまう人もいるのではないかと思う。
その意味、本としての構成は駄目な本と言えるかもしれない。
そのような本として、私はデーヴィッド・ハーバート・ローレンス(『チャタレイ夫人の恋人』などで有名なイギリスの作家)の『無意識の幻想』を思い出す。
この本の冒頭で、ローレンスは「君にこの本を読む権利があるなどと自惚れるな。さっさとこの本を捨てろ」みたいなことを「ちゃんと」書いてくれている。
また、アラン・ワッツの『タブーの書』(新版は『「ラットレース」から抜け出す方法』)も全く同じだ。
ただ『ナ・ダーム』は医療・精神療法をメインに実践的に書かれているところが異なると言えば異なる。

『ナ・ダーム』の実践法は瞑想である。
よって、この本には瞑想法が書かれている。
長い時間をかけて、研究・実践された検証済みの瞑想法である。

あくまで個人的な見解であるが、『ナ・ダーム』で教えられているような瞑想法を、極めて簡易化し、膨大な利益が上がる瞑想ビジネスにしたのが、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギのTM(超越瞑想)だと思う。
TMの有名な実践者が数多く知られているのも、TMのビジネス戦略の1つだろう。
たとえば、よく知られているのがビートルズで、ビートルズのメンバー4人全員が、現在も、あるいは、亡くなるまでTMを行っていたらしい。
どうしても、ビジネス戦略上、エンターテインメント関係の大物が多いが、他にTM実践者として知られるのは、クリント・イーストウッドやデビッド・リンチなどだ。
日本では、元々、TMの日本でのマーケティングに関わった船井幸雄さんや、そこから広まったと見られるビジネス界の大物達に実践者が多く(現在では高齢だったり、亡くなったりしているが)、稲盛和夫さんも、TMを続けていることを公言していたようだ。
個人的には、アントニオ猪木さんや前田日明さんが行っていたことをTM教師に聞き、実際に確認したこともある。
ただ、私は、TMは、2割の本当と8割の嘘と思っている。
稲盛和夫さんは、本当にあらゆることをやっており、たとえばSMIでは、SMI実践者としてSMIの宣伝をしている。

あくまで、あくまで個人的な意見だが(笑)、私はTMもSMIもやったが、もし、金が有り余っているわけでもないのに、自分もやりたいという人がいたら、私なら即座に「やめろ。金を無駄にするな」と言いたい。まあ、実際には言わないだろうが。
やったからって、誰もがんビートルズや稲盛和夫さんになれるわけでもなく、何の成果もなかったり、下手したら悪くなる場合だってあると思う(あくまで、あくまで個人的な意見である 笑)。

TMが『ナ・ダーム』の超簡易版と書いたが(あくまで主観であるが)、実際、『ナ・ダーム』の瞑想はTMと共通するところがある。
TMは、ある国の刑務所で一晩で全員の服役囚に教えたという話を目にしたことがあるが、それが本当なら、どれほど簡単に教えられるものか分かると思う。
『ナ・ダーム』の瞑想は、そこまでではないが、別に難しくない。そして、特殊でもない。やり方を書いても問題はなかろう。

次回に続く。

◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)ナ・ダーム ~あなたの中の不思議な力~
(2)タブーの書(アラン・ワッツ)
(3)「ラットレース」から抜け出す方法(アラン・ワッツ)
(4)無意識の幻想(D・H・ロレンス )
(5)超越瞑想TMがよくわかる本――第四の意識がすべてを変える

夜の花
AIアート1137
「夜の花」
Kay

  
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