経済学者としてではなく、エキセントリック(風変り)な言論によって若い世代を中心に人気がある成田悠輔さんが少し前、彼の「65歳以上は自決すればいい」といった発言が、曲解も含めて話題になったことがあった。
まあ、曲解されることが分かりそうな発言であった。
そのせいか、彼をインターネットのテレビ番組で見ることがなくなったような気もするが、それは私がアベマTVのような極左の番組を見なくなったせいかもしれない。
成田さんのその発言は、「老害」の悪影響というものが根本にあり、成田さんはよく「老害」という言葉を使っていた。
ところが、岡田斗司夫さんがYouTubeで、成田さんを意識したのではないのだろうが、「僕は老害という言葉を使うやつで頭が良いやつを見たことは一度もない」と言っていたが、それに関する岡田さんの説明が私には全く分からなかった。標準知能の私に分からないということは、やっぱり説得力がない主張なのだと思う。
そんな単純で明確な主張の論拠を私が全く理解出来ないはずがないし、私の知能は全体の真ん中あたりなので、私に分からなければ半分の人は分からない。
要は、岡田さんは、老害という言葉を使って逃げることが、頭が悪いことだと言っていたのかもしれない。それなら、私にも分からないことではない。

老害で思い出すのは、大作家の遠藤周作さんが昔のテレビCMで言っていたことだ。
当時、遠藤さんは老人と言える歳だったと思う。
遠藤さんは「どんどん嫌味言って、どんどん嫌われる。私はそんな爺さんになりたい」みたいなことを言っていたが、これはCM用に作った言葉ではなく、遠藤さん自身の主張なのであったと思う。
ただ、それは、遠藤さんが本当にそう思っていたという意味ではない。
それは分からない。しかし、遠藤さんは、そう言いたかったのだ。

それで、遠藤さんの真意は分からないが、私はアニメに出てくる老人に関する強い抵抗感について思い出す。
アニメに出てくる老人は、全て「いいひと」ばかりで気持ちが悪い。
老人は「いい人」でなければならない、「いい人」であることが老人だみたいな決めつけに「頭の悪さ」を感じるのだ。
そりゃ、アニメの中にだって嫌な老人は出てくる。
しかし、そんな老人も「実はいい人だった」というものが圧倒的で、本当に気持ちが悪い。
ひょっとしたら、遠藤さんは、世間のそんな老人像に対する拒絶とか嫌悪があったのかもしれないと思う。

岡田斗司夫さんが最近よく「これからの時代、いい人でないと生きていけない」と言うが、私はこれは、根本的には大正解で、正解であるだけでなく実用性も抜群であると感心する。
「いい人は舐められ易い」という欠点はあるが、それさえ克服出来れば、これ(いい人であること)ほどコスパが良い・・・というのではなく、賢い生き方はない。
本当にいい人でなくても良く、いい人を演じれば良いのだ。
ただ、私が思うようになったのは、いい人を演じられる人が頭が良いと言うよりは、少しもいい人を演じることも出来ないのは、かなり頭が悪いということだ。そんな頭が悪い者が本当に多い。
これまでずっと上がって来た人類のIQが2000年あたりから顕著に下がっているというのは本当かもしれないと思う。
老人には、確かにいい人が多い。
いや、「いい人」に見える人が多い。
しかし、老人だって、実際はそれほどいい人ではない。
だが、本当にいい人が多いように感じる。
つまり、老人はいい人を演じるのがうまく、それは実に頭が良いことなのだ。
逆に言えば、いい人を演じることも出来ない政治家の老人は本当に頭が悪いと思う。

ドナルド・トランプは、銃撃事件の直後、実に穏やかないい人を演じ、「トランプは変わった」と感じ、これまでトランプを嫌っていた人達の支持も得たように見えた。
しかし、すぐに元のトランプに戻ってしまった。
トランプは、元々、実際にいい人だったと思うが、いい人でない部分を出す頭の悪いところもあった。
その欠点が、暗殺未遂という悪い事件がきっかけとはいえ、改められる機会であったのに、それを逃した。
対して、芯から悪人で無能なカマラ・ハリスは、副大統領候補のワルツと共に、素晴らしいいい人戦略で大人気だ。
ここらは、民主党の方が頭が良いのではないかと思うようになった。
それでも11月の大統領選挙ではトランプが勝つとは思うが、負ける可能性も高くなってしまった。
上に立つ者ほど、いい人を演じることは難しい。
つまり、上に立つには、頭が良くなくてはならない。
それだけの頭の良さがない者が上に立つことは確かに害悪・災禍で、そんな老人は自決だというのは納得出来ないでもない。
また、どれだけうまくいい人を演じられるかで正確なIQが分かるような気もする。

◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)「いいひと」戦略 ~超情報化社会におけるサバイバル術~(岡田斗司夫)
(2)老いてこそ遊べ(遠藤周作)

眠りの時
AIアート1113
「眠りの時」
Kay

  
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