「気分」、「感情」、「気持ち」は区別せずに使われることが多い。
引き寄せに必要なのは、思考や感情のない「良い気分」であり、心が燃え上がる(感情が高ぶる)ことを表す「ハイな状態」「ハイテンション」「エモ(エモーション)い」のような激しいものではなく、それらはむしろ逆効果になると思う。

良い気分を視覚で表した究極のものは、アルカイック・スマイルと呼ばれている。
アルカイック・スマイルは、簡単に言えば、口元だけで微笑むことだ。
普通に微笑んでも良い気分になる感じはあるが、同時に思考や感情も起こる。
特に、目の表情は感情的なものだが、これは、脳に近い額の筋肉を動かすことにも関係するからかもしれない。
たとえて言えば、口元に良い気分を起こすスイッチがあり、眉の間あたりに、感情を起こすスイッチがあるようなものだ。
そこで、良い気分になるためには、眉の間のスイッチを押さないまま、口元のスイッチを押すわけだ。
ただし、口元のスイッチを強く押すと、眉の間のスイッチも入れてしまうので、かなりソフトに押す必要がある。
よって、本当に微かに口元で微笑むことが必要だ。

アルカイック・スマイルは、古代日本の仏像によく見られるというが、時代に関係なく、優れた仏像にはアルカイック・スマイルが見られるものが多い。
代表的なものは、京都の広隆寺霊宝殿に安置されている「宝冠弥勒」(国宝彫刻の部第一号)で、これは北朝鮮で制作されたという説が有力で、聖徳太子が保有していたという説がある。
個人的には円空(1632~1695)が創った仏像の多くが、アルカイック・スマイルであると思う。
円空の仏像は、木材を一本の刀で削って短時間で作ったものだが、仕上げには多数の彫刻刀が使われていると言われている。
円空は、生涯で12万もの仏像を作ったと言われ、5300体ほどが発見されている。
海外では、円空は現代の天才彫刻家だと誤解されていることもあるらしい。
天才の作らしく、普通の人が見たら、粗削りのラフな作品と感じ、良さが分からない場合も多いと思うが、アルカイック・スマイルというところに注目すれば、普通の人でも、その素晴らしさが分かるのではないかと思う。
円空は、人々にアルカイック・スマイルの力を教えたくて沢山の仏像を作り、誰にでも気軽に触らせたのだと思う。実際、庶民の子供のおもちゃになっていることも珍しくはない。
アルカイック・スマイルをすれば、仏になるのであると思う。

他にも、今朝も書いたが、ノーマン・ヴィンセント・ピールの『積極的考え方の力』にも書かれているように、「のどかだ」「静かだ」といった、心が落ち着いた良い気分になる言葉を静かにつぶやいたり、心で思うことだ。
ゆっくりと息を吐きながら「のどかだ」と心で唱えると効果的と思う。

これらのことにより良い気分でいれば、目標を設定したり、願望成就をイメージしなくても、望まずとも幸運に恵まれ、本当に嬉しいと感じる状態が引き寄せられるのではと思う。

◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)隔週刊 古寺行こう(22) 広隆寺と嵯峨野の名刹 ※雑誌
(2)円空と木喰 微笑みの仏たち
(3)歓喜する円空(梅原猛)
(4)積極的考え方の力(ノーマン・ヴィンセント・ピール著、月沢李歌子訳)
(5)積極的考え方の力(ノーマン・ヴィンセント ピール著、桑名一央訳、市村和夫訳)

乙女菩薩
AIアート914
「乙女菩薩」
kay

  
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