ユダヤ人が優秀であることは、おそらく確かと言って良いと思う。
ところが、ユダヤ人とは何かというと、大雑把なことを言えば、ユダヤ教の信者のことを言うらしい。
わずか1400万人のユダヤ人が政治、経済、学問などで圧倒的な支配力を持つという驚異的な優秀さである。
それなら、第一の関心事は、なぜユダヤ人が優秀なのかである。
それが分かれば、自分や自分の子供を優秀に出来るかもしれないからだ。
そして、これも大体分かるのではないかと思う。
つまり、ユダヤ人の教育方針はかなり確立されたものであり、その教育が優秀さの原因と考えて良い。
では、その教育とはどのようなものであるかだが、細かいことを言いだすとキリがないので、根本の根本だけ言えば知識である。

我々は知識を軽視することが多い。
知識を蓄えるだけならコンピューターにやらせれば良いという考え方も広まっている。
知識より知恵が大切だなどと分かったようなことを言う者が多いし、また、そう言っていれば賢そうに見えるかもしれない。
だが、知識がなければ知恵が出ないというのが確かなことのようだ。
知識の軽視の中には、アインシュタインの風説的な話も影響していると思う。
アインシュタインは暗記が苦手で学校の成績が悪く、大学受験に失敗し、また、物理学者として成功してからも「私は光の速さといった教科書を見れば書いてあるようなことは憶えない」と言ったという話が知られ、これも、「頭が良いことと知識は関係ない」という観念が広まることに影響したと思う。
しかし、本当は、アインシュタインは無駄なことを憶えないと言っただけで、間違いなく、アインシュタインは知識人であったはずだ。

私の知人の超大手教育会社のマネージャーが、アルバイトとはいえ重要な業務を行わせている、東大生の中でも際立った優秀な東大生に、東大に入る秘訣を聞いたら「簡単です。参考書を一冊、丸暗記すればいい。どの参考書も同じですからどれでもいいです」と言ったという。
まあ「どの参考書でも」に関して言えば、その東大生は東大進学率が高い高校にいたのだから、どの参考書が良いのかの情報を簡単に得ていたはずだから、やはり、ある程度は良い参考書を選ぶことも大切と思われる。しかし、そんなこと(どの参考書が良いか)は、誰でもちょっと調べれば分かることだろう。
ここでも、やはり、まず暗記、つまり、知識である。
日本が技術立国と言われていた頃は、詰め込みと批判されることがあっても、やはり基本的に大切な知識を沢山持った子供が多かったのだと思う。
それが、詰め込み批判やゆとり教育とかで、子供が知識を持つことが妨げられたことで日本人全体の知性が低下したのかもしれない。
また、日本の教育の中に、変な知識を憶えさせる動きもあるのかもしれない。

英才教育で小学校の時に優等生にすることは割と簡単らしく、それもあって英才教育は人気があるが、英才教育をしても、地頭が悪い子供は中学生になる頃には成長の限界が来て、それ以降は普通の子供になってしまうようで、これはよく見られることだ。
だが、英才教育の中にも知識軽視の傾向があるように思う。「憶えることではなく考えることが大切だ」といった感じだ。
しかし、ユダヤ教育では、「考えるにはまず知識が必要」としているのだと思う。
それでユダヤ人が何を憶えるのかというと、旧約聖書や知恵の書と言われるタルムードなどが有名だ。
特に指導的な階級であれば、旧約聖書の深い解説であるカバラーや、後に独自に編纂されたものも学ぶようだ。

どの分野でも際立って優秀な者というのは、何かの本を暗記するまで読み込んだという人が多いように思う。
そして、能力が低い者の特徴は、やはり知識がないことと感じることが多い。
成功した人達は、おそらく全て、「所詮、教養がなくては駄目」と言うのだと思う。

『古事記』『ギリシャ神話』といった古典や、ダンテの『神曲』、ゲーテの『ファウスト』などを全く読んだことがないという人をよく見るが、そういった人に賢い人はいないように思う。
一方で、間違ったところもあるかもしれないとはいえ、アリストテレスやデカルト等の著書を自在に引用出来る人は大抵、極めて秀でたところがあると思う。
まあ、子供達に教える前に、我々がしっかり教養を高めなければならず、せめて何か重要な書でも丸暗記してみようと思う。

マドンナリリー
AIアート857
「マドンナリリー」
Kay


◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)ユダヤ5000年の教え(ラビ・マービン・トケイヤー)
(2)エミール(上)(ルソー)
(3)ユダヤの世界支配戦略(山蔭基央)
(4)古事記 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)
(5)神統記(ヘシオドス)
(6)数式を使わない物理学入門(猪木正文)
(7)神曲 地獄篇 (河出文庫)
(8)ファウスト(一)(新潮文庫)
  
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