「今、この瞬間に在る」ことを実践する今今メソッドを、最も簡単に実践出来る方法を示すことが重要だと思うようになった。
これまで、様々なメソッドをやっても効果が実感できなくても、今今メソッドがうまくやれれば、即座に「ああ、これでいいんだ」と思えるからだ。
しかし、いろいろな人の今今メソッドの実践法を見ると、抽象的だったり複雑だったりで、なかなかいいものがない。
まあ、最低限の効果であれば、「今、今、今、・・・」と唱えるだけでも無駄ではないし、それをやっているうちに、良いやり方が見つかるかもしれない。

今回は、エックハルト・トールの『さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる(原題:ザ・パワー・オブ・ナウ)』から1つのやり方を取り上げる。
この本の第5章第2節『「待つこと」の本当の意味』からである。
新約聖書の福音書のイエスの教えを取り上げている。
それは、
「主人の帰りを待つしもべのようでありなさい」
である。
少し説明すると、イエスは、
「主人はいつ帰って来るか分からない。いつ主人が帰って来ても、ちゃんと出迎えるしもべは大事にされる。だが、主人が帰って来た時に眠っていたり、遊んでいたりして、しっかりと出迎えが出来なければ、主人に捨てられる。しもべはいつも主人が帰って来ないかと注意していないといけない」
といったことを教えたのである。
エックハルト・トールは、福音書の翻訳者は、この意味するところが分かっていないので、イエスの意図が伝わらなくなっていると言う。
つまり、主人の帰りを常に注意深く待つような状態が、今に在ること・・・つまり、今今メソッドであるということだ。

これに関連して、私は、コリン・ウィルソンの『右脳の冒険』に書かれていた話を思い出す。
ある男の妻が、心神喪失状態になったが、彼女を愛する夫は、彼女が意識を取り戻すのを常に見守っていた。
すると、いくらかの期間は要したと思うが、彼は精神に変革を起こし、高度な精神能力を得たのである。
彼にとっては、妻の意識回復を常に待つことが今今メソッドになったのである。

このように、待つ・・・それも、真摯に(まじめに、ひたむきに)待つということが、良い今今メソッドであるということだ。
だから、何か、価値がある待つことがあるなら、それを今今メソッドに出来るし、想像力のある人なら、待つ何かを思いつくことも出来るだろう。
1970年に、リカちゃん人形に、レディー・リカという16歳のリカちゃんが登場したことがあった。
リカちゃん人形を持つ子供にとって、16歳は大人である。
子供の女の子達の大人への憧れを狙い、レディー・リカのこんな歌詞のCMソングが作られた。
「何かが起こる。なんだか胸が震えるの、Ummちょっぴりこわいの。でも私はもう大人」
若い乙女に「何かが起こる」というのは、昔の少女漫画やアイドルソングの定番みたいなものだったと思う。
乙女でなくても、人生は予期せぬことが起こってこそ楽しいのであり、予期せぬ出来事を避けるようになれば老人である。

私の場合、
「世界が今始まった」
「今、この夢の中に入り込んだ」
と思った瞬間が、今を感じ易いと思う。
そして、世界は、常に今始まっている、あるいは、常に、夢に入り込んでいるのである。
慣れてくると、いちいち言葉で「今、世界が始まった」などと思わなくても、それを意識出来るようになる。
それが最上の今今メソッドになるのである。

ゆふぐれ
AIアート852
「ゆふぐれ」
Kay


◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)新約聖書 福音書 (岩波文庫)
(2)右脳の冒険(コリン・ウィルソン)
(3)さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる(エックハルト・トール)
(4)左脳さん、右脳さん。(ネドじゅん)
  
このエントリーをはてなブックマークに追加   
人気ランキング参加中です 人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ