無意識に入れば、無意識の強大な力を味方につけることが出来る。
無意識に入る方法について、最も学ぶべきは魔法使いのようだったと言われるアメリカの精神科医ミルトン・エリクソンだが、私は、無意識の偉大な力を見せてくれた例として、ジョー・ジラード(1928~2019)を第一に思い出す。
15年間で13001台の自動車を売ったセールスマンだ。
そのジラードの1台目の販売の話だ。
その日の朝、彼は妻に言われた。
「ねえ、子供達が食べる物を買うお金を頂戴」
35歳の彼は無職で、家にお金は全くなかった。
彼は新聞の採用広告で仕事を探し、自動車の販売員としてその日から働くことになった。
彼が勤務することになった営業所では、客が入って来る度に、販売員が交代で応対した。
そして、車が売れたらコミッション(販売手数料)をもらえる仕組みだった。
当然、大半の客が、見に来ただけで、今すぐ買う気はない。
ある客が店に入ってきた時、ジラードは客の前に出て行った。自分の番ではなかったが、そんなことはどうでも良かった。
当時、ジラードは、自動車のセールスなどやったことはないし、その客もただの冷やかし客かもしれない。
しかし、彼は、「その客を買わずに帰すわけにはいかなかった」。
彼は、客に何を言ったか全く憶えていないらしい。
だが、気が付いたら客は契約書にサインしていた。
本来、コミッションは給料日にもらうことになっていたが、ジラードはマネージャーに相談し、その日に先払いしてもらい、妻子が待つ家にお金を持って帰ることに見事成功した。

彼の熱意だけがセールスを成功させたわけではない。
同じように切羽詰まった状況で熱意を持って立ち向かった者は無数だが、大半は失敗しているはずだ。
彼は思考を消し無意識に入ったのだ。
そして、無意識は冷やかし客も見込み客に変え、そして、彼に売れるセールストークをさせたのだ。
彼はその後、数多くのよく知られ、真似をされたセールステクニックを開発したが、それらは付け足しに過ぎないと思う。
彼は、この最初のセールスで極意を掴み、それを忘れなかった。
だから彼は、「最初は誰もが優秀なセールスマンとしてスタートする」と言ったのだ。
だが、これは違っていた。
ジラードが優秀なセールスマンとしてスタートしただけだ。
セールスマンは、無意識に入る方法を掴んだ時に、優秀なセールスマンとしてスタートするのだ。

私も、新人セールスマンだった時、セールスコンテストの最終日に無意識に入り、大逆転で強豪セールスマン達を押しのけて優勝した。
その時の経験から、無意識に入るコツがなんとなく分かる。
無意識に入るには、思考の流れから飛び出すのだが、そのためには、次の3つのもののうち、ピッタリするものになれば良いと思う。
1.死人(まあ、ゾンビだろう)
2.ロボット(プログラムで動く自動人形)
3.操り人形(操るのは神か魂か無意識・潜在意識)

『コッペリア』というバレエがあるが、これに、コッペリアという名の自動人形の少女が登場する。
これは喜劇なのだが、原作小説はホフマンのホラー小説『砂男』で、これにも、オリンピアという名の自動人形の少女が登場する。
ホフマンは、やはり有名なバレエ『くるみ割り人形』の原作『くるみ割り人形とねずみの王様』の作者だ。
コッペリアもオリンピアも、心がないからこそ人を魅了する。
それは初音ミクさんと同じだ。
これらの美少女達を見て、あなたも無意識になる感覚を学べばどうだろう?

生きた人形
AIアート848
「生きた人形」
Kay


◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)セールスに不可能はない(ジョー・ジラード)
(2)最強の営業法則(ジョー・ジラード、スタンリー・H・ブラウン)
(3)英国ロイヤル・バレエ《コッペリア》 [Blu-ray Disc, 日本語解説]
(4)ボリショイ・バレエ《コッペリア》[Blu-ray Disc]
(5)<パリ・オペラ座バレエ学校公演>コッペリア*バレエ音楽 [DVD]
(6)砂男(上) (扶桑社BOOKSミステリー)
  
このエントリーをはてなブックマークに追加   
人気ランキング参加中です 人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ