今朝は、精神科医のミルトン・エリクソン(1901~1980)が不良高校生を一言の会話で更生させた話を紹介したが、今回は、エリクソンの父親の話をする。
エリクソンの「魔法を使って治している」とまで言われた治療能力は、精神医学よりも、学歴のない父親から譲り受けたものかもしれない。
(実際、エリクソンは大学で精神医学を学んでいないらしい)
『私の声はあなたとともに』よりである。
エリクソンの父は、16歳で無一文で家出をした。
だが、全く不安はなく、田舎道を歩いていて、たまたま会った男に「有能な若者を雇いませんか?」と言い、すぐに彼の家に住むことになった。
これに私が解説を加える。
エリクソン父は優秀なセールスマン、あるいは、ナンパ師だ。
エリクソン父は、その男に、「有能な若者を雇ったらどんな気持ちか」を想像させたのだ。
いい気持ちに決まっている。
そして、その男は、実際、エリクソン父を雇った後で、そんな気持ちを味わうことになる。
これは、「願いが叶った時の気持ちを想像したら願いが叶う」という、ネヴィル・ゴダードの「想定の法則」の通りである。
エリクソン父は、この男に自分の願いを叶えさせる形で自分を迎えさせたのだ。

ところで、駄目なナンパ屋は「ねーちゃん、茶行こ」と言う(さすがに古いが、まあ、今もこんな感じだ)。
しかし、優秀なナンパ師は、「美味しいものを食べに行きましょう。とても雰囲気のいいお店があります」と言う。
これにより、ナンパされた女の子は、雰囲気のいいお店で美味しいものを食べることを想像してしまうのだ。
それにより、女の子自ら願いを叶える形で、ナンパが成功してしまう。
もちろん、女の子がちゃんと想像出来るよう、落ち着いた雰囲気で話さないといけない。

さて、エリクソン父を雇った男の家には13歳の娘がいた。
これは、可愛いうさぎのいる家に狼を連れ込んだようなものだ。
そしてもちろん、エリクソン父は娘と2人になると、「君は今日から僕のものだ」と彼女に言った。
本には、これだけしか書かれていないので、私が補足する。
エリクソン父は、彼女に、俺のものになったら楽しくなるのだということを想像し易いことを言ったはずなのだ。
それで、彼女は、エリクソン父のものになった幸せな自分の気持ちを想像し、実際、想定の法則により、彼女はエリクソンの母親になった。
ただし、エリクソン父は、彼女の初対面の好感度が高くなるよう注意したのは間違いない。
それがなければ、なかなかうまくはいかないものだ。
だから、普通のナンパでも、女の子に好感度を持たせる努力は必要だ。
それともう一つ、エリクソン父は、13歳の純情な少女に「君は僕のものだ」と衝撃的なことを言うことで、彼女を軽い無意識状態にしたのだ。
催眠術でも、不意をついて驚かせて意識のバリアを破るテクニックがあるが、エリクソン父は、経験的にそんなやり方を知っていたのだと思う。
それで、エリクソン父は、より容易く彼女の心をコントロール出来たのだと思う。

ここで学ぶべきことは何かをまとめる。
ネヴィル・ゴダードの想定の法則とは、
「願いが叶った時の気持ちを想像すれば、その願いが叶う」
という、実にシンプルなものだ。
ところで、一般の引き寄せの法則のテクニックでは、願いが叶った時の感情(エモーション)を感じるように教える。
それだと、感情が思考を起こし、意識は願いが叶った未来に飛ぶ。
しかし、想定の法則で気持ち(フィーリング)を感じれば、願いが叶った今を感じる。
引き寄せの法則では、意識が今になければ願いは叶わない。
言い換えれば、いつも過去や未来のことばかり考えている者には引き寄せは出来ない。
感情(エモーション)と気持ち(フィーリング)の違いは、簡単に言えば、騒がしいのが感情、静かなのが気持ちだ。
要は、静かな気持ちを想像すれば願いは叶う。
「やったー!ひゃっほー!」と騒がしい感情を起こせば、願いは決して叶わない。
また、静かな気持ちを感じれば無意識に入るが、騒がしい感情を起こせば無意識(潜在意識)は遠のき、意識(顕在意識)が強くなる。
引き寄せは静かに行う・・・これが秘訣である。

急ぐ娘
AIアート846
「急ぐ娘」
Kay


◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)私の声はあなたとともに ~ミルトン・エリクソンのいやしのストーリー~
(2) 想定の『超』法則(ネヴィル・ゴダード)
(3)神経言語プログラミング(リチャード・バンドラー)
(4)トーチェ氏の心の法則(C.K.トーチェ、J.M.トーチェ)
  
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