何度か書いたことがあるが、精神科医のミルトン・エリクソンが不良男子高校生を更生させた話が極めて印象的だ。
並の不良ではなかったと思われるが、その不良高校生が連れてこられた時、エリクソンはその不良高校生に、
「君が真面目になったら、皆驚くだろうね」
と言い、不良高校生は、
「そりゃ驚くだろうね」
と応えた。
そして、エリクソンは「もういい」と言って彼を下がらせた。
エリクソンはこの不良高校生を見放したと思われた。
ところが、この不良高校生はすぐに真面目な高校生になった。

この話は、リチャード・バンドラーの神経言語プログラミング(NLP)のどれかの本(多分『神経言語プログラミング』)に書かれていて、バンドラーは何が起こったか説明していたが、私は納得出来なかったので、どんな説明だったか憶えていない。
私も数年に一度は、この話の説明を試みているが、どう説明したのか憶えていないのだから、それほど腑に落ちてはいなかったのだろう。
ただ、バンドラーの説明は納得いかなったとはいえ、バンドラーは、この不良高校生が、無意識では変わりたがっていたはずだと推測していたが、これは正しい推測だと思う。このバンドラーの推測は私も腑に落ちたらしく、憶えていた。

おそらく、エリクソンは無意識に「君が真面目になったら、皆驚くだろうね」と言ったのだ。
無意識は全知全能で、何を言えばいいか知っている。
そして、このエリクソンの言葉で何が起こったのか?
この不良高校生にとって、自分が立派な人間になることは、無意識では願っていた。
その願いが叶ったことを、この高校生は想定したのだ。
すると、「そりゃ驚くだろうね」という想いが浮かび、その時の気持ちは悪い気持ちではなく、良い気持ちだった。

これは、結果的に、ネヴィル・ゴダードの「想定の法則」が働いたのだ。
想定の法則とは、「願いが叶った時の気持ちを想像すれば叶う」である。
この不良高校生は、「そりゃ驚くだろうね」と言いながら、心の願いである、自分が真面目な高校生になったことを「想定」し、その時の自分の気持ちを想像したのだ。
つまり、この不良高校生は「そりゃ(皆が)驚くだろうね」と言いつつ、心の中では「そりゃ嬉しいだろうね」と想像したのだ。

では、あなたの願いを叶えるための応用である。
たとえば、あなたの願いが1億円とする。
それなら、
「私の銀行口座に1億円あったら安心だろうね」
と問い、それに対して、
「そりゃ安心だろうね」
と答えつつ、そうなった時の気持ちを想像するのだ。
あるいは、意中の人がいたら、
「彼(彼女)が私の恋人だったら嬉しいだろうね」
と問い、それに対して、
「そりゃ嬉しいだろうね」
と答えつつ、そうなった時の気持ちを想像するのだ。

試してみる価値はあると思う。
尚、昨日書いた、ドクター・マッコイのセリフを応用した呪文、
「それは簡単だ」
のように呪文化するなら、
「それは嬉しいだろうね」「それは楽しいだろうね」
などになるだろう。

夜の薔薇
AIアート845
「夜の薔薇」
Kay


◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)神経言語プログラミング(リチャード・バンドラー)
(2)私の声はあなたとともに ~ミルトン・エリクソンのいやしのストーリー~
(3) 想定の『超』法則(ネヴィル・ゴダード)
  
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