昨夕のこのブログで書いた、1985年8月12日のJAL(日本航空)123便墜落事故のことを、Webの記事やYouTube、さらには、本まで読んで調べていたら、ぞっとすると言うか、何とも重々しい気分になった。
この事故は日本の航空史上(おそらく世界でも)最悪の事故であるから、今でも話題にはなるが、一般には忘れられてきたと言って良いと思う。
2022年に東京地方裁判所が、この事故で亡くなった方々の遺族が日本航空にボイスレコーダー等の記録の開示を求めた訴えを却下したニュースが注目されたが、これは重大なニュースであったに関わらず、その意味が分かる人も少なくなった。
ところで、この事故の報道で、特に昔、非常によく使われた映像が、記憶にある人も多いと思うが、4人の生存者の中の1人である12歳の少女が自衛隊員に抱えられてロープで上空のヘリコプターに救助される場面だ。
完全に脱力した、すらりとした可愛い女の子の救助シーンは絵になり、特に当時の人々の記憶に焼き付いたが、この映像は、狙いがあったかどうかはともかく、日本政府にとって非常に都合の良いものだったと思う。
それはこんな事情だ。
当時は今では信じられないほど自衛隊のイメージが悪いことが、軍事予算を拡大したい政府の悩みだった。
日本国憲法では日本は軍隊を持ってはならないはずが、自衛隊はどう見ても軍隊であることで、自衛隊の存在すら否定されることも多かったのだ。
日本では、軍事予算はGDPの1%以内とされ、当時、世界のGDPの20%を占める日本のGDPの1%は大きなものであるが、日本政府もだが、アメリカも、日本は軍事費をもっと上げるよう期待し、おそらく、このことでの日本に対するアメリカの圧力は大きかったと思われる。
軍事予算を上げるためには、国民の自衛隊に対するイメージ向上が必要で、政府もそのことで努力していたが、当時、敗戦の記憶がまだまだ生きていた日本でそれは難しいことだった。つまり、「日本を再び戦争への道に進ませてはならない」論が正論とされ圧倒的に支持されていたのだ。
ところが、12歳の美少女の自衛隊による救助シーンは自衛隊のイメージを一挙に上げた。
だが、このシーンの裏側は酷いものだった。
あくまで、結果的に「いい映像」が出来たに過ぎず、それが利用されたというのかもしれない。
何も知らない人はこの映像を見て、「おお!可愛い女の子が救助された!良かった」と思うだろうが、この救助場面は、123便墜落から、何と24時間後のことだった。
さらに説明すると、墜落から12時間も自衛隊そのものが来なかった。
報道では、墜落場所が不明であったとされているが、それが嘘であることは確実と思う。
現場の村では、自分達の通報がテレビニュースに反映されず「墜落場所はいまだ不明」とか、さらには、全く別の場所が墜落場所であると報道されることに戸惑い、実際、その「嘘の報道場所」に報道陣が集まる始末だった。
だが何と、墜落直後に米軍ヘリが現場に到着しており、救助を開始しようとしたが、日本政府の救援拒否により、ヘリの米軍は納得出来ないまま帰還させられ、さらに帰還した米軍基地で「このことは決して話すな」と厳しく命令されたことは、そのヘリのパイロットの内部告発で明らかになっている。
ようやく現場に到着した自衛隊は、実は生存者の救出を行わなかった。
自衛隊は123便の機体調査や部品回収等に全力を上げるばかりで、重症の4名の女性ばかり(8歳の子供を含む)の生存者は、真夏の炎天下の中、放置状態だったらしい。
もちろん、医者は来ており、治療を行っていたが、すぐに病院に運ぶ必要があるのは明らかなのに、自衛隊はそれをしないので、仕舞には医者が自衛隊に食ってかかり、ようやく救出が行われたというのが事実のようである。
だが、報道では、いかにも自衛隊は即座に生存者の救出を行ったように見える報道をしたわけだ。
もちろん、自衛隊員も生存者の救助をしたかったと思うが、その命令はなく、123便の調査とそれに関する何らかの作業が優先されるよう命令されたのだと思う。自衛隊も軍隊同様(事実上の軍隊だが)、命令されたこと以外のことは出来ない。
つまり、生存者の救助よりも優先させなければならない事情があったのだろう。
上記のことは、123便墜落事故のことをよく知っている人にも認識がないことと思われるので、改めてご紹介した。

AIアート837
「ダフネ」
Kay
◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る (河出文庫)
(2)疑惑 JAL123便墜落事故 このままでは520柱は瞑れない
(3)書いてはいけない(森永卓郎)
(4)言論統制というビジネス―新聞社史から消された「戦争」
(5)母なる夜(カート・ヴォネガット)
この事故は日本の航空史上(おそらく世界でも)最悪の事故であるから、今でも話題にはなるが、一般には忘れられてきたと言って良いと思う。
2022年に東京地方裁判所が、この事故で亡くなった方々の遺族が日本航空にボイスレコーダー等の記録の開示を求めた訴えを却下したニュースが注目されたが、これは重大なニュースであったに関わらず、その意味が分かる人も少なくなった。
ところで、この事故の報道で、特に昔、非常によく使われた映像が、記憶にある人も多いと思うが、4人の生存者の中の1人である12歳の少女が自衛隊員に抱えられてロープで上空のヘリコプターに救助される場面だ。
完全に脱力した、すらりとした可愛い女の子の救助シーンは絵になり、特に当時の人々の記憶に焼き付いたが、この映像は、狙いがあったかどうかはともかく、日本政府にとって非常に都合の良いものだったと思う。
それはこんな事情だ。
当時は今では信じられないほど自衛隊のイメージが悪いことが、軍事予算を拡大したい政府の悩みだった。
日本国憲法では日本は軍隊を持ってはならないはずが、自衛隊はどう見ても軍隊であることで、自衛隊の存在すら否定されることも多かったのだ。
日本では、軍事予算はGDPの1%以内とされ、当時、世界のGDPの20%を占める日本のGDPの1%は大きなものであるが、日本政府もだが、アメリカも、日本は軍事費をもっと上げるよう期待し、おそらく、このことでの日本に対するアメリカの圧力は大きかったと思われる。
軍事予算を上げるためには、国民の自衛隊に対するイメージ向上が必要で、政府もそのことで努力していたが、当時、敗戦の記憶がまだまだ生きていた日本でそれは難しいことだった。つまり、「日本を再び戦争への道に進ませてはならない」論が正論とされ圧倒的に支持されていたのだ。
ところが、12歳の美少女の自衛隊による救助シーンは自衛隊のイメージを一挙に上げた。
だが、このシーンの裏側は酷いものだった。
あくまで、結果的に「いい映像」が出来たに過ぎず、それが利用されたというのかもしれない。
何も知らない人はこの映像を見て、「おお!可愛い女の子が救助された!良かった」と思うだろうが、この救助場面は、123便墜落から、何と24時間後のことだった。
さらに説明すると、墜落から12時間も自衛隊そのものが来なかった。
報道では、墜落場所が不明であったとされているが、それが嘘であることは確実と思う。
現場の村では、自分達の通報がテレビニュースに反映されず「墜落場所はいまだ不明」とか、さらには、全く別の場所が墜落場所であると報道されることに戸惑い、実際、その「嘘の報道場所」に報道陣が集まる始末だった。
だが何と、墜落直後に米軍ヘリが現場に到着しており、救助を開始しようとしたが、日本政府の救援拒否により、ヘリの米軍は納得出来ないまま帰還させられ、さらに帰還した米軍基地で「このことは決して話すな」と厳しく命令されたことは、そのヘリのパイロットの内部告発で明らかになっている。
ようやく現場に到着した自衛隊は、実は生存者の救出を行わなかった。
自衛隊は123便の機体調査や部品回収等に全力を上げるばかりで、重症の4名の女性ばかり(8歳の子供を含む)の生存者は、真夏の炎天下の中、放置状態だったらしい。
もちろん、医者は来ており、治療を行っていたが、すぐに病院に運ぶ必要があるのは明らかなのに、自衛隊はそれをしないので、仕舞には医者が自衛隊に食ってかかり、ようやく救出が行われたというのが事実のようである。
だが、報道では、いかにも自衛隊は即座に生存者の救出を行ったように見える報道をしたわけだ。
もちろん、自衛隊員も生存者の救助をしたかったと思うが、その命令はなく、123便の調査とそれに関する何らかの作業が優先されるよう命令されたのだと思う。自衛隊も軍隊同様(事実上の軍隊だが)、命令されたこと以外のことは出来ない。
つまり、生存者の救助よりも優先させなければならない事情があったのだろう。
上記のことは、123便墜落事故のことをよく知っている人にも認識がないことと思われるので、改めてご紹介した。

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(1)日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る (河出文庫)
(2)疑惑 JAL123便墜落事故 このままでは520柱は瞑れない
(3)書いてはいけない(森永卓郎)
(4)言論統制というビジネス―新聞社史から消された「戦争」
(5)母なる夜(カート・ヴォネガット)
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航空機単独の墜落による犠牲者数で計るならば、
世界でもこの事故で正しいです。
衝突事故を含むと、「テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故」(1977年)が犠牲者数で上回ります。
>2022年に東京地方裁判所が、この事故で亡くなった方々の遺族が日本航空にボイスレコーダー等の記録の開示を求めた訴えを却下した
2023年には東京高裁も控訴を棄却してますね。
ご参考(上毛新聞):
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/293161