幼稚な願いが叶わない理由 : ITスペシャリストが語る芸術

引き寄せが出来ないのは、願いが叶った時の気持ちを真面目に感じようとしないからだろう。
逆に言えば、願いが叶った時の気持ちを真面目に考えれば、それだけで願いは叶う。
ネヴィル・ゴダードの「想定の法則」は、願いが叶ったと想定し、その時の気持ちを感じれば想定通りになるというものであると思う。

たとえば、自動車や家が欲しいといった場合、一般的な引き寄せでは、自動車や家の視覚情報や手触りといった物質的な情報をイメージしようとするが、未来のことを正確にイメージすることは出来ない。
また、自動車を運転している気分や、新しい上に住んでいる気分を感じようとすることもあるが、それは大抵、現在の気分である。
必要なのは、自動車を持っていない現在の気分ではなく、自動車を持っている未来の気分である。

願いが叶った未来へトリップ（旅行）しなければならないが、身体や心は未来にトリップ出来ない。
それが出来るなら、まるでタイムマシンを使ったようなタイムトラベルが出来ることになってしまう。
未来にトリップ出来るのは意識だけである。
未来にトリップした意識が、現在の身体や心と融合した時に、物質的に現実になる。
感情といった荒っぽいものは現在のものだ。
たとえば、美味しそうな料理を見たり、好みのタイプの異性を見て歓喜する感情は現在のものだ。
それが想像上の料理であっても、湧きたつ感情は現在のものである。
意識は静かな気持ちとして感じることが出来る。
英語でも、感情はエモーション、気持ちはフィーリングと区別されている。
使えない引き寄せ法では、感情（エモーション）を感じようとするが、本当の引き寄せでは気持ち（フィーリング）を感じることが大切だ。
だが、駄目な引き寄せ法では、感情と気持ちを混同している。
感情は荒っぽく激しいものである。
精妙で静かな感情もあると言いたい人もいるだろうが、十分に精妙で静かなら、それは感情ではなく気持ちである。
逆に、「私の気持ちはどうなるの？！」などと言う時は、それは気持ちではなく感情である。

現代は、静かな気持ちというものが無視され、荒っぽく激しい感情ばかりが有難がられる。
そんなものに慣れてしまったら引き寄せは出来ない。
静かな気持ちを大切にしなければならない。
たとえ歓喜するような願望が実現したとしても、歓喜しているのは心で、意識は静かに精妙に光っているのである。

願いを叶えたければ、願いが叶ったと想定（仮定）し、その時、どんな気持ちになるかを静かに想像するのである。
真面目に気持ちを想像すれば、深い静かな満足や幸福感を感じるはずである。
人によっては「子供の時に帰ったような気持ち」と言うが、実際、静かな気持ちは、子供の時の偏見のない気持ちに似ている。
静かな気持ちを感じることが出来ないなら、それは今の自分には相応しくない願いである。

昔、何かのテレビCMで、小学生の女の子が「人の心を動かす歌手になりたいです」と夢を語ったが、沢山の人にちやほやされていい気分で歌う自分の偽物の姿を感情としては感じることが出来るが、静かな気持ちとしては全く想像出来ないはずである。
つまり、実際は、その子にとって、それは正しい願いではない。
その子がもし、歌というものを本当に分かるようになれば・・・そのためには、音楽的な訓練と共に、様々な経験を積まないといけないが、それを成し遂げた時に、「人の心を動かす歌手」になった自分の気持ちを静かに想像出来るようになり、夢の実現に進むのである。

ジョセフ・マーフィーの『人生に奇跡を起こす』という本の中の話で、マーフィーは女優になりたいという若い女性に対し、「幼い夢からは卒業しなさい」とたしなめた。
きっと、その女性は、女優になった自分の気持ちを静かに感じることが出来るような人ではないことが、マーフィーには明瞭だったのだろう。
ほとんどのニートが大金を引き寄せようとしてもうまくいかない理由も同じである。
「一億円あればずっと遊んで暮らせるぜ！ヒャッホー！」といった雑な感情を感じることは出来ても、一億円持っている自分の気持ちを静かに感じることは出来ない。それが出来るようになるためには、嫌でも働いてお金を稼ぐ経験を十分にしなければならない。
辛い思いをしてある程度のお金を作ったら、やっと「好きなことをして沢山お金を稼ぐ」ということの本当の意味が分かり、それが実現したことを想定し、その時の気持ちを静かに感じることが出来るのである。
まあ、真面目に気持ちを想像出来ることから叶えていけばいいだけである。