国会中継を見ていて、イライラするとか怒りを感じると言う人は多いと思う。
最近では、裏金問題に関して顕著であるが、不正なことが行われていることが明らかであっても、責任者である総理大臣を含む大臣が、見え透いた誤魔化し、論点ずらし、理屈の通らない弁明をのらりくらり繰り返して時間切れで逃げ切る。
ところが、ユーチューバー達が、そんな国会答弁の映像をYouTubeに投稿する際、いかにも、悪いことをしている大臣らが追い詰められているかのようなタイトルをつけていることが多い。

資本主義社会においては、それら屁理屈でのらりくらり逃げ切る大臣は正しいのである。
もっと低位の政治家(県議会議員等)が、県議会や、あるいはジャーナリストからの追及で、自分が悪かったと認めることがあるが、あれは政治家としては三流なのである(あくまで政治家として)。
日本人が国際的に幼いのは、そういうことが分からないからだというのは、戦後から言われているが、今でも、それほど進歩していないように思える。
日本人には、自分が悪いことを認めて謝ることが「潔い」「誠実」と感じ、また、素直に謝れば赦されるという感覚がある。
しかし、資本主義契約社会では、謝るということは、自分に非があることを認め、契約で定められた賠償を行うことはもちろん、場合によっては「殺されても文句は言わない」ということであり、謝って許されるというのは、甘いと言うより、あまりに馬鹿げているのである。
日本は、外国に対し、自分が悪かったと謝ってしまうことがよくあるが、謝られた方は、それを決して見逃さず、赦すどころか追加で無理難題を押し付けてくるのは当たり前なのである。
一方、大昔から契約で社会が成立している国(それが大半)では、いかに自国が悪くても絶対に謝らないのが当たり前である。
特に昔は、謝ったら、領土を取られ、政治家はもちろん国民は殺されたり、連行されて奴隷同様にされるのが当たり前だからだ。
たとえば、アメリカの戦闘機が民間旅客機を撃墜したことが、アメリカ政府が認めていないものも含めいくらかあるが、レーガン大統領時代に韓国の民間機をアメリカの戦闘機が撃墜したことは隠しようがなかった。しかし、それでもレーガン大統領は決して謝らず、「あれは避けようがなかった」と一貫して「仕方がなかった」「アメリカは悪くない」と断言し続けた。
それが、契約で成り立つ資本主義社会では完全に正しく、それが分からない日本人に対し、「日本人は契約についてもっと学ばねばならない」とよく言われたものだが、昔であっても、日本でも国際企業は、その感覚をちゃんと掴んでいた(でないと海外でビジネスが出来ない)。だが、そんな国際企業も、日本国内では日本流でやっているので、国民や、それに政治家も進歩しない。
だが、現在、インターネットで情報を集めている人達に嫌われている岸田総理や河野大臣の態度は、実は海外においては正しいのである。
一方で、参政党や日本保守党などは、日本人らしい感覚の人々に支持され熱狂すら呼んでいるが、国際的には通用しない。これらの政党には、国際的な識者もいるのかもしれないが、もし彼らに国際的感覚があるとしても、日本人相手には、それは隠すのである。

だが、日本的感覚が時代遅れで幼稚であり、欧米を中心とした契約思想が正しいのかというと、それは違う。
むしろ、日本思想は進歩し過ぎとすら言えると思う。
契約思想が優勢であるから、政治は堕落し、世界は地獄のような状態に進んでいるのであり、もうずっと前から、海外でも優れた人々は、日本的感覚の素晴らしさに気付いているのである。
だが、契約思想が優勢な世界では、日本的感覚は力を持たないように思われている。
しかし、それは、ほとんど全ての人々が、契約思想に洗脳されているからだ。
20年以上前の作品で、今でも続編が作られるほど人気があるCLAMPの『カードキャプターさくら』という漫画・アニメでは、日本で最も愛されるヒロインの1人である桜が「契約により命じる」などということを堂々言い、国民の洗脳に大いに貢献してしまった。
キリスト教もユダヤ教もイスラム教も、神と人間の契約によって成り立っているのだと思う。
しかし、日本の神道はそうではない。神と人間は一体である。
そして、引き寄せというのは、実は日本的であり、欧米では、それを契約論的に歪めて使うので、実は問題がある。
長くなったので、それはまた別に話すこととする。

レトロなお部屋
AIアート789
「レトロなお部屋」
Kay


◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)[新訳]禅マインド ビギナーズ・マインド
(2)目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画(クライブ・ハミルトン)
(3)白人侵略 最後の獲物は日本 ─なぜ征服されなかったのか 一気に読める500年通史
(4)人は話し方が9割
(5)とっさの詭弁術: 相手の虚をつく発想法
(6)ソクラテスの弁明(プラトン)
  
このエントリーをはてなブックマークに追加   
人気ランキング参加中です 人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ