前にも書いたかもしれないが、ドナルド・トランプ前アメリカ大統領が、副大統領候補を選ぶ際、どんな資質を副大統領候補に求めるのかと質問され、大前提として、自分(トランプ)に何かあった時に自分に代わって大統領を務めることは出来る能力がある人物であることとした上、人間的に最も重要なことを、翻訳では「常識がある」こととした。
私はこれに非常に感激したが、おそらく、この「常識」はコモン・センス(common sense)のことだが、日本語の「常識」はやや癖がある言葉だ。
日本社会でも「常識がある」「常識がない」という言い方をよくするが、これが当を得た意味である場合もあれば、まことに下らない意味で使われることもある。
下らない意味で使われる場合とは、権力者、支配者、立場が強い者の、「自分達に都合の良い慣習」を「常識」と言うものだ。
たとえば、ある会社の社員旅行では、「宴会では、新入社員の女子の席は部長の隣にするのが常識」と言ったりである。
病院によっては、女性の看護師(以前は「看護婦」という名称だった)は、風呂で医者の背中を流すのが今でも常識であるらしい。
今、例にあげた「下らない常識」はセクハラ防止の条例的なものにより、なくなりつつはあるが、強い者が弱い者に強制する常識は、ますます増えている。
一方で、子供が電車の中で大声を上げ、それを親が止めないことが増えているように、「かける必要のない迷惑を他人にかけない」とか「他人の権利を尊重する」といった美しい常識が廃れる一方であるように思う。
正しい意味での「常識」はコモン・センスの訳の1つである「良識」に当てはまるようにも感じるが、「良識」の場合は、立場が強い者の慣習という意味は薄れるが、伝統的な慣習という意味合いが強くなる場合がある。
たとえば、「お世話になった人にお歳暮を贈るのが良識」といった感じで、一見善く感じるといった程度のものである場合が多い。
会社で上司が、若い部下を長々説教し、「どうだ?俺の言うことが分かるか?」と部下に確認する。
つまり「俺が言うことが正しいだろ?だから従え」と言いたのだろう。
その内容は、それこそ「社員旅行の宴会では新入社員の女子は部長の隣に座るのが常識だ」かもしれないし、「ホウレンソウ(報告、連絡、相談)が常識」といった、一見正しいようなことかもしれない。
そこで部下が「ケースバイケースですね」と言うと、上司は凄く嫌な顔をする。
その上司にとっては、「部下は上司に逆らわない」が常識なのに、部下は「それは俺の常識でないっす」と言ったのだからだ。
その部下は、「本当に新入社員の女子が楽しければ部長の隣に座るのもいいですし、必要な時はホウレンソウも必要です。でも、気が進まないなら宴会で部長に近付く必要はないし、ホウレンソウをしなくていい場合もある」と、それこそ「常識的」なことを考えているのかもしれない。
しかし、上司にとっては、そんな部下の常識が、常識として通用するのは都合が悪いので認めるわけにはいかない。
トランプが言った常識とは何だろう?
それは簡単で、ある意味、コモン・センスの直訳でもある「当たり前の感覚」である。
昔、こんな実験が行われた。
人通りの多い道路で、一人の人(中年の男性)が、のたうって苦しんでいる演技をする。
それを、多くの通行人は何もせずに通り過ぎ、かなりの時間が経ってから、やっと1人の人が、その苦しんでいる演技をする人に声をかけ助けようとした。
もちろん、子供や急いでいるなどで、必ずしも助ける必要がない場合もあるが、そんなふうに苦しんでいる人を見過ごさない人を、良い意味で「常識がある人」と言うのであり、それを「当たり前の感覚を持った人」と言うのだろう。
まあ、この例では、声をかけ難いことも理解出来るが、もっと簡単には、電車の中で、少なくとも老人や身障者や妊婦がいればシルバーシートを譲るといったことが「当たり前の感覚」である。
トランプは、副大統領候補は、そんな当たり前の感覚を持った人を選ぶと言ったのだと思う。
『あたりまえのアダムス』という本がある。
私も昔、一度読んだだけなので詳しい内容まで憶えていないが、こんな話である。
アダムスという、特に高い能力を持っているわけではないビジネスマンがいた。
だが、彼は「当たり前の感覚」を大事にして行動することで大成功する。
普通の人は、「当たり前の感覚」より、立場が強い者に都合が良い常識や、伝統的慣習しての常識などの「世間一般の常識」に従う。
そんな中で、人間としての「当たり前の感覚」に従うアダムスの考え方や行動は、時に人々には奇妙に見えたり、滑稽に感じたり、あるいは、間違っていると批判される。
しかし、アダムスは、その「当たり前の感覚」を大事にすることで、それこそ「当たり前に」「自然に」成功する。
当たり前の感覚・・・本当の意味での常識こそが最も強いのである。

AIアート767
「片隅の花」
Kay
◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)あたりまえのアダムス
(2)稼ぎたければ、働くな。(山田昭男)
(3)努力不要論(中野信子)
(4)医学常識はウソだらけ(三石巌)
私はこれに非常に感激したが、おそらく、この「常識」はコモン・センス(common sense)のことだが、日本語の「常識」はやや癖がある言葉だ。
日本社会でも「常識がある」「常識がない」という言い方をよくするが、これが当を得た意味である場合もあれば、まことに下らない意味で使われることもある。
下らない意味で使われる場合とは、権力者、支配者、立場が強い者の、「自分達に都合の良い慣習」を「常識」と言うものだ。
たとえば、ある会社の社員旅行では、「宴会では、新入社員の女子の席は部長の隣にするのが常識」と言ったりである。
病院によっては、女性の看護師(以前は「看護婦」という名称だった)は、風呂で医者の背中を流すのが今でも常識であるらしい。
今、例にあげた「下らない常識」はセクハラ防止の条例的なものにより、なくなりつつはあるが、強い者が弱い者に強制する常識は、ますます増えている。
一方で、子供が電車の中で大声を上げ、それを親が止めないことが増えているように、「かける必要のない迷惑を他人にかけない」とか「他人の権利を尊重する」といった美しい常識が廃れる一方であるように思う。
正しい意味での「常識」はコモン・センスの訳の1つである「良識」に当てはまるようにも感じるが、「良識」の場合は、立場が強い者の慣習という意味は薄れるが、伝統的な慣習という意味合いが強くなる場合がある。
たとえば、「お世話になった人にお歳暮を贈るのが良識」といった感じで、一見善く感じるといった程度のものである場合が多い。
会社で上司が、若い部下を長々説教し、「どうだ?俺の言うことが分かるか?」と部下に確認する。
つまり「俺が言うことが正しいだろ?だから従え」と言いたのだろう。
その内容は、それこそ「社員旅行の宴会では新入社員の女子は部長の隣に座るのが常識だ」かもしれないし、「ホウレンソウ(報告、連絡、相談)が常識」といった、一見正しいようなことかもしれない。
そこで部下が「ケースバイケースですね」と言うと、上司は凄く嫌な顔をする。
その上司にとっては、「部下は上司に逆らわない」が常識なのに、部下は「それは俺の常識でないっす」と言ったのだからだ。
その部下は、「本当に新入社員の女子が楽しければ部長の隣に座るのもいいですし、必要な時はホウレンソウも必要です。でも、気が進まないなら宴会で部長に近付く必要はないし、ホウレンソウをしなくていい場合もある」と、それこそ「常識的」なことを考えているのかもしれない。
しかし、上司にとっては、そんな部下の常識が、常識として通用するのは都合が悪いので認めるわけにはいかない。
トランプが言った常識とは何だろう?
それは簡単で、ある意味、コモン・センスの直訳でもある「当たり前の感覚」である。
昔、こんな実験が行われた。
人通りの多い道路で、一人の人(中年の男性)が、のたうって苦しんでいる演技をする。
それを、多くの通行人は何もせずに通り過ぎ、かなりの時間が経ってから、やっと1人の人が、その苦しんでいる演技をする人に声をかけ助けようとした。
もちろん、子供や急いでいるなどで、必ずしも助ける必要がない場合もあるが、そんなふうに苦しんでいる人を見過ごさない人を、良い意味で「常識がある人」と言うのであり、それを「当たり前の感覚を持った人」と言うのだろう。
まあ、この例では、声をかけ難いことも理解出来るが、もっと簡単には、電車の中で、少なくとも老人や身障者や妊婦がいればシルバーシートを譲るといったことが「当たり前の感覚」である。
トランプは、副大統領候補は、そんな当たり前の感覚を持った人を選ぶと言ったのだと思う。
『あたりまえのアダムス』という本がある。
私も昔、一度読んだだけなので詳しい内容まで憶えていないが、こんな話である。
アダムスという、特に高い能力を持っているわけではないビジネスマンがいた。
だが、彼は「当たり前の感覚」を大事にして行動することで大成功する。
普通の人は、「当たり前の感覚」より、立場が強い者に都合が良い常識や、伝統的慣習しての常識などの「世間一般の常識」に従う。
そんな中で、人間としての「当たり前の感覚」に従うアダムスの考え方や行動は、時に人々には奇妙に見えたり、滑稽に感じたり、あるいは、間違っていると批判される。
しかし、アダムスは、その「当たり前の感覚」を大事にすることで、それこそ「当たり前に」「自然に」成功する。
当たり前の感覚・・・本当の意味での常識こそが最も強いのである。

AIアート767
「片隅の花」
Kay
◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)あたりまえのアダムス
(2)稼ぎたければ、働くな。(山田昭男)
(3)努力不要論(中野信子)
(4)医学常識はウソだらけ(三石巌)
人気ランキング参加中です |
![]() ![]() |