生活している場所や時代、あるいは、その他の要因により、何を善いと思うかとか、何を美しいと感じるかには大きな違いがある。
手塚治虫さんの漫画短編集『ザ・クレーター』の中の『巴の面』で、武家の名門、長宗我部氏(ちょうそかべし)の姫である巴姫は、今でいう超ブスな容貌のため、悲惨な人生を送ったが、この漫画が描かれた数十年後の、丁度今(2024年)くらいと思われる時代には、巴姫のような顔が流行の可愛い顔とみなされていた・・・というお話であった。
少し前のギャグ漫画で、こんなものもあった。
2人の日本人の女子大生がアフリカで未開民族人に拉致され、神への生贄にされようとしていた。
その女子大生の1人は大変に可愛く、もう1人は酷いブスだった。
未開人達が「神への生贄は美しい娘だけだ。醜い娘を捧げると神のお怒りを買う」と言うのを聞き、ブスな方の女子大生は、こんな顔に生んでくれた親に初めて感謝した。
ところが、未開人達が迷わず生贄に選んだのは、日本的なブスの方で、彼らにとっては、彼女は大変な美人であったのだ。

岡田斗司夫さんの昔の書籍『東大オタク学講座』で、こんな話が書かれている。
夕焼けは日本では、多くの人が美しいと感じるが、アフリカでは夜行性の猛獣が目覚める恐怖のサインでしかないという。
まあ、だからといって、彼らが夕陽を美しいと感じないわけではないのではとも思うが、とにかく、同じものでも、見方は人それぞれという意味では印象深い話である。

だが、心地よく感じる音感は、時代、地域によらず、案外に共通するのではないかという説もある。
確かに、虫の声を楽しめる日本人と違い、西洋人は、これを騒音としか感じないといった違いはあるが、楽器演奏や歌といったものに関しては、あるグループで美しいと感じるものは、その他の多くのグループでも美しいと感じるようである。
また、宗教的な祈り言葉も、特に変わった雰囲気のものは別として、穏やかに唱えるような美しい祈り言葉は歌に似ていて、やはり、共通して美しいと感じることが多いのだと思う。
それと関連すると思うが、神の名や呪文に関しても、同じような感性が働くのではないかと思う。
阿弥陀仏はインドの古い言葉ではアミターバ、あるいは、アミターユスと言い、日本語でも「アミ」の部分が残されている。
日本の神様でも、アマテラスオホミカミやアメノミナカヌシノカミ等で、アマ、あるいは、アミがAMという音で共通する。
キリスト教の「アーメン」もAMで始まるが、英語の密教的に重要な唱え言葉である「GOD AM I(私は神である)」は、GODを略し「AM I」と言うらしい。
脳科学者の中野信子博士の『脳科学からみた「祈り」』に、マ行の音の脳への肯定的効果について書かれていたが、山蔭神道の山蔭基央氏の『神道の神秘』によれば、「ミ」という言葉が神道で最も高貴なのであるらしい。それで、日本の神は「ミ」の語を持つ神が圧倒的に多い。
このように、AM、あるいは、マ行の音を持つ神仏の名や呪文・マントラが良いものであることを感じる。
もちろん、「南無阿弥陀仏」や「南無妙法蓮華経」も大変良いのである。

ところで、観世音菩薩は古代のインドの言葉では、アヴァローキテーシュバラで、AM、あるいは、マ行の音が全くない。
ところが、大日如来はマハーヴァイローチャナだし、「般若心経」の中で、観自在菩薩(観世音菩薩と同じ)が行じて悟りを開いたというマントラ行のマントラの最後は「ボーディ・スヴァーハー」であるなど、「ヴァ」の音が共通するが、他にも「ヴァ」がある神仏の名やマントラは沢山ある。
それに「ヴァ」の音は、何か頭がすっきりする感じがある。
だから、アヴァローキテーシュバラやマハーヴァイローチャナ、あるいは、大日如来真言である「オン・バザラ・ダド・バン」も肯定的な効果がありそうだ。
尚、大日如来真言の最後の「バン」も、古代インドの言葉では、やはり「ヴァン」である。
だが、「バン」でも良いと思うし、日本語ではほとんど変わらない。
こだわるなら、(金剛界)大日如来の真言は、古代インドの言葉では「オーン・ヴァジュラ・ダートゥ・ヴァン」である。
私も、般若心経の呪文「ガテー・ガテー・パーラガテー・パーラサンガテー・ボーディ・スヴァーハー」はよく使う。
唱えれば、速やかに無思考に導かれ、不思議なこともよく起こるように思う。

草の上
AIアート686
「草の上」
Kay


これらの神仏の名、あるいは、マントラを唱えると良い効果があると思う。

◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)ザ・クレーター(2巻)(手塚治虫)
(2)東大オタク学講座(岡田斗司夫)
(3)脳科学からみた「祈り」(中野信子)
(4)神道の神秘(山蔭基央)
(5)密教の聖なる呪文
  
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