引き寄せが出来る出来ないということはなく、誰でも常に引き寄せを行っている。
引き寄せと言うよりは、世界を常に創造し続けているのである。
問題は、引き寄せた世界、創造した世界が、自分にとって楽しいものか苦しいものかだが、普通の人は、沢山の苦しい世界と少しの楽しい世界を引き寄せ、あるいは、創造しているように思える。

良い気分が良い世界を引き寄せるとよく言われるが、それならば、悪い気分が悪い世界を引き寄せるのである。
そして、悪い気分とは、心が荒れていることである。
心が荒れているとは、自我が安定していないということであるが、心理学者の岸田秀さんの著書に、「自我が安定している人間などいない」と書かれているのを見て非常に合点がいったのを憶えている。
どれほど心が強い人間に見えても、そんな人間だって、実は自我は不安定なのだ。
自我と心は同じもので、「心」は「コロコロ」から来ていると言われるように(これは嘘なような気がするが)、心とはコロコロ動く不安定なものなのである。

ところが、良い引き寄せは、この心がコロコロ動かず静かに安定している時に起こる。
ニサルガダッタ・マハラジが言っていたらしいが、コップの水のように、かき混ぜたらいつまでも動いているのが不安定な心で、ハチミツのように、かき混ぜても動かないような安定した心でないといけないのである。

以上でお分かりのように、引き寄せの秘法があるとしたら、それは心を安定させる秘法である。
そして、心を安定させる有力な秘法は深呼吸である。
心が安定すると、あらゆる引き寄せが可能だが、それは富や楽しい恋愛を引き寄せるだけでなく、目の前の現象にも現れる。
たとえば、良い深呼吸に熟達した弓の名人、阿波研造(オイゲン・ヘリゲルの『弓と禅』に登場する弓の名人)が、全く力を使わずに、普通の男が全力を出しても引けない弓を軽々と弾いたり、真っ暗闇の中で遠くの的の中央に矢を命中させたりといったものである。
深呼吸、恐るべしで、深呼吸を努々あなどってはならない。
とはいえ、世の中には、馬鹿げているほど難しい深呼吸のやり方を教えたり、本に書いている人が多くおり、しかも、その内容が、指導者ごと著者ごとに細かい部分でバラバラで、全く信用ならない。
深呼吸はあくまで深呼吸で、単に、深い呼吸であり、普段より沢山空気を吸うだけのことだ。
「吐き切ることが大切だ」と言う者も多いが、そんな不快なこと、私ならやらない。
「息を吐くことは気持ちいい」と言う者がいたが、それは、沢山吸った後で吐く時のことで、十分吐いた後でさらに吐くのが気持ちいいはずがない。少なくとも、私なら気持ち悪い。
無理に沢山吸ったり吐いたりする必要はない。
気持ちいい範囲で、普段より多く吸ったり吐いたりすれば良いだけである。

深呼吸であれば、志賀一雅博士の「よかった・ありがとう呼吸」(「よかった」と思いながら吸い、「ありがとう」と思いながら吐く)か、「ナ・ダーム呼吸」(「ナ」と心で唱えながら吸い、「ダーム」と心で唱えながら吐く)をお奨めする。
私の場合、「ありがとう」という言葉に抵抗があるので、「よかった・ありがたい呼吸」にしている。
また、「ナ・ダーム呼吸」は、「ナ」は短く、「ダーム」はやや長くであるが、自分が気持ち良くやれる長さ、短さでやれば良い。
とはいえ、「4の呼吸」(W.E.バトラーの『魔法入門』で解説)でも、三角あるいは四角呼吸(パム・グラウトの『人生を思うように変える呼吸法』で解説)なども悪くない呼吸法なので、自分が楽で気持ち良くやれるものをやれば良いのである。

春待ちフェアリー
AIアート631
「春待ちフェアリー」
Kay


ただ、難しい顔で深呼吸をしても楽しくならない。
無理にでも笑うことだが、大笑いする必要はなく、軽く微笑む程度で良い。
金持ちになるなら金持ちらしい微笑、モテモテになるなら、モテモテらしい微笑が大切である。

◆当記事と関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)人生を思うように変える呼吸法(パム・グラウト)
(2)弓と禅(オイゲン・ヘリゲル)
(3)魔法修行(W.E.バトラー)
(4)神さまの周波数とシンクロする方法 人生を変える奇跡の呼吸法(志賀一雅)
(5)ナ・ダーム―あなたの中の不思議な力
(6)ものぐさ精神分析(岸田秀)
(7)心はなぜ苦しむのか(岸田秀)
  
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