天才とは、他の大多数の人が出来ないことが出来る人だ。
しかし、なぜそんなことが出来るのかというと、他の大多数の人が出来ることが出来ないからである。
つまり、天才とは、特別な何かを持っている者というより、むしろ欠陥がある者だ。
具体的な例で言えば、天才的な絵が描けるが話せない7歳の少女の話がある。
検査したところ、彼女は脳の言語中枢の発達が非常に遅れていた。
そのせいで、脳の別の部分が発達し、それが絵を描く能力を引き出していたようだ。
そして実際、言語中枢の発達に伴い、絵を描く能力も消えていった。

このブログで何度も引用した、私の敬愛する植島啓司氏(宗教人類学者)の、週刊文春2012年3月22日号の記事にもこう書かれている。

 ゲイであることを公表しているポップスターのジョージ・マイケルは、自分の持つ特殊な才能について聞かれたときに、こう答えた。「君にはわからないよ。スーパースターをつくる何か特別なものがあるわけじゃない。むしろ、何かが失われているんだ。」(クライブ・ブロムホール『幼児化するヒト』)

そして、植島氏は、初音ミクに欠けているものは「成熟」であると言う。
初音ミクは成熟に欠けているからスーパースターなのである。
植島氏は、初音ミクを見ていると、普通の女の子が不純に見えてくるというが、だから、初音ミクでないといけないという人(男性に限らない)がいるのだろう。
もっとも、奥さんや恋人がいる男性ファン(あるいは女性の恋人がいる女性ファン)も沢山いるのだから、初音ミクさんの魅力も一通りではないのだろう。

アメリカ初のキャリアウーマンと言われるローラ・インガルス・ワイルダーの自伝小説を元にしたアメリカの人気テレビドラマ『大草原の小さな家』の中にこんな話がある(ただ、原作にはない話で、脚本家が作ったと思われる)。
ローラの学校にオルガという名の10歳くらいの少女がいたが、彼女は脚の長さが左右で異なるせいで、走ったりの運動をすることが出来ず、歩き方もおかしいことで馬鹿にされることがあり、それをローラがかばっていた。
ローラがそのことについて父親のチャールズに相談すると、チャールズは、それがどうしようもない現実であることを諦めつつ、
「足りないものがある人は、他のことで特別な才能があるんだ」
と言ってローラを慰める。

あまり良いたとえではないが、ジャニーズ事務所を創ったジャニー喜多川氏が大成功した要因が、彼の美少年趣味によるものであったことは確かだと思われるのも、大きな欠陥が大きな能力になった例と言えるかもしれない。

ステンドグラスとスカート
AIアート199
「ステンドグラスとスカート」
Kay


さて、あなたには、自分には徹底的に欠けていると思われるものがあるだろうか?
言っておくが、怠惰や臆病のせいでちょっと不得手といったようなものではない。
こんな話(自分が抱えた欠陥は何か)をすると、「そんなこと、自分でなんとか出来ることだろ!」と言いたくなるような下らないことを持ち出す凡人が多いのだ。
また、欠陥があり、それを補うような才能があっても、それが生きるとは限らない。
「それを自分で生かさないといけない」と言う者もいるが、それは違う。
自分に才能を生かすことなど出来ない。
そうではなく、思考を消せば、才能は勝手に生きるのである。
いずれにしろ、我々に出来る唯一のことは思考を消すことだけである。








  
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