西尾維新の小説・アニメ『刀語(かたながたり)』に、こんな、一見、荒唐無稽な話がある。
七実(ななみ)という名の、病弱でか弱そうだが、極めて美しい娘が、超人的な忍者の男に襲われる。
だが、七実は悠々と忍者の攻撃をかわしたばかりか、その忍者が長年の苦しい修行の上に習得した秘術を、そっくり真似して見せる。
これが七実の秘儀「見稽古(みげいこ)」で、七実は一度見さえすれば、どんな高度な技も自分のものに出来る。
主人公で七実の弟、七花(しちか)が、日本一と言われる剣豪と真剣勝負をし、運が味方し奇跡の勝利を収めたが、七花は、その剣豪の実力を称賛し、自分が勝ったのは単なる偶然と謙虚に認識していた。
ところが、その七花が言う。
「だけど、姉ちゃんほどじゃなかったな」
七実の実力は人間界の道理をはるかに超えているのだ。

一度見さえすれば、どんな技も身に付ける七実の特殊能力・・・これは単なる漫画だろうか?
だが、TEDでも講演を行った神経科学者ジェームズ・ファロンの著書『サイコパス・インサイド』に、こんな話がある。
ゴルフクラブなど見たこともない未開の村の人々の前で、ファロンだったか別の人だったかは忘れたが、一回だけ、彼らにナイス・ショットを打って見せた。
その後、彼らにやらせたら、子供から老人まで、全員が同じようなショットを放った。
ファロンによれば、これは脳のミラー・ニューロンの働きで、最近ではいろいろな脳科学者が、このミラー・ニューロンを話題にしている。
上の七実は、ミラー・ニューロンの働きが極めて優れているのだろう。

夏に起こること
AIアート149
「夏に起こること」
Kay


では、どうすればミラー・ニューロンを強化出来るだろう?
これは容易に予想がつく。
ファロンの話にあった未開の民族の人達は、頭を使わず自然のままに生活しているのだ。
そして、七実も、見ても考えることがなかったので、ミラー・ニューロンが働き、そっくり真似ることが出来るのだ。
つまり、ここでも、鍵は「思考を消す」ことである。
思考を消すことは、このように、いかなることにおいても万能である。
※映画『燃えよドラゴン』の有名なセリフ「考えるな、感じろ」は「感じろ」が余分である。

よって、いつも通り、「私は誰か?」と自分に問うたり、「私は何も考えない」あるいは「われ思わず」という世界コマンドを唱えれば、美しき七実の秘儀「見稽古」はあなたのものである。
ひろさちやが『空海入門』で書いていた「ブッダの真似をすればブッダ」も、このことを言っているが、思考を消さなければ駄目である。
私は、植芝盛平のDVDを入手し、神に近い人間を真似ている。
また、見稽古同様、聞き稽古も有効だ。
思考を消し、福音書を読めば、あなたはキリストである。












  
このエントリーをはてなブックマークに追加   
人気ランキング参加中です 人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ