久々に運動の話をしようと思う。
私がやっている運動は、
(1)腕振り運動:甩手(せいしゅ)、スワイソウ、スワイショウなどと言う。
(2)四股:佐川幸義流四股、大東流合気柔術式四股などと言う。
の2つである。
ところで、つくづく思い知ったが、この2つの運動は、それほどはっきりしたやり方がないことだ。
それもあってか、動画サイトで、これらの運動を紹介している動画を見たら、あまりにもデタラメなやり方なので憤慨したこともあった。
しかし、本人が楽しくやっているなら、それで良いのではないかと思うようになった。

佐川幸義流四股と言っても、誰も佐川幸義が四股を踏んでいるところを見たことはなく、佐川本人がどんな四股を踏んでいたかは誰も知らない。
ただ、佐川から四股の指導を受けた弟子がいくらかいて、そんなお弟子さん達のやり方なら紹介されている。
しかし、そのやり方が、必ずしも最も優れているとは限らない。

書籍や武道雑誌などで、よくこんな話を見た。
佐川幸義は、弟子に「毎日四股を千回踏め」みたいなことをよく言ったらしい。
しかし、その時、四股のやり方は教えないので、言われた弟子は、相撲の四股だと思って、「千回などとても無理」と思いつつ、真面目な弟子は必死にやろうとする。
ところが、かなりの期間が過ぎ、やっと佐川に四股の指導を受けると、
「そんなに腰を落とすな」
「そんなに身体を傾けるな」
と言われ、足踏みと大して変わらないと知る。
「足踏みそのもの」と言う弟子もいる。

天の園
AIアート61
「天の園」
Kay


私も、いろんな本などを調べながら5年ほど四股をやっているが、それらの本などを参考に自分で工夫しているうちに、佐川本人がやった通りかどうかは全く分からないが、最も気に入る形の四股が出来るようになり、効果も抜群であると思う。

自分勝手にやれば良いというのではないが、自由にやれば良いのであり、そのためには、真摯(まじめ、ひたむき)で謙虚な姿勢が必要である。
結局、最も大切なことは、形ではなく、真摯であること、謙虚であることなのだと思う。
あるいは、リスペクト(敬うこと。尊敬すること)と言っても良い。
ルー・テーズという最高のプロレスラーは、十代の時に、ジョージ・トラゴスという名レスラーの弟子だったが、コーチとしてのトラゴスの評判は最悪で、弟子入り前には、テーズに、トラゴスへの弟子入りを思いとどまるよう説得する者も多かった。
しかし、いざテーズが指導を受けてみると、トラゴスの指導が素晴らしいばかりか、トラゴスはテーズを車で送迎までしてくれた。
この理由については、テーズ自身、「私が、レスリングやトラゴスに対するリスペクトを持っていたからだろう」と言っていた。

四股も、腕振り運動も、これを考案、研究し、普及させた人がおり、これらは秘術と言えるほど優れたものだ。
この運動の考案者や普及者、あるいは、この運動自体へのリスペクト、真摯さ、謙虚さを忘れなければ、必ずや、最高の形で実践出来るようになる。
これは、西洋流のスポーツその他のコーチングにはない、真のコーチングである。
オイゲン・ヘリゲルの『弓と禅』にも、そんなことが見て取れると思う。

尚、四股と腕振り運動に関しては、一応、下に紹介した本(前2冊)の通りにやりながら、各自で工夫すれば間違いないと思う。








  
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