今回は『老子』第68章である。
この章を一言で言えば「相手にしない」である。

短いが究極的な秘法が説かれた章である。

よく、下劣な人間に対しては「相手になっちゃ駄目」とか言うだろう。
しかし、こっちが相手になりたくなくても、向こうが盛んに来るかもしれない。
特に、あなたが美人や美少女の場合は、夏のハエのごとく、嫌な者達がやって来るに違いない。
あるいは、金持ちになると、嫌な知り合いが増えるものらしい(笑)。
そして、不幸なことに、その相手にしたくない者が上司や担任教師の場合もあれば、夫や妻や親ということもある。

だが、皆、「相手にしない」ことが下手なのだ。
2021年末までドイツ首相を務めたアンゲラ・メリケルは大の犬恐怖症だった。
そこで、モスクワでの首脳会談では、プーチン大統領は、メリケルとの2人きりの対話の場所を設け、そこに大型犬を放してメリケルを震え上がらせ、交渉を有利に進めたという、嘘か本当か分からない話があるが、プーチンなら、その程度はやりそうだ(笑)。
ところで、私も、小さい頃は犬が怖かったが、ある日、突然怖くなくなった。
誰かが私に、「犬は知らんふりをしたら近付かない」と言ったので、やってみたら、本当にそうだったので私は驚いた。
そこで私は、「犬だけでなく、人間も同じようにして遠ざけられる」と思い、やってみたら、まさにその通りで、以降、私は嫌な奴に絡まれたことがない。
だが、大切なことは、「相手を本当に心から消す」ことだ。
そして、嫌なものを心から消すのではなく、心そのものを消せば、嫌な人間だけでなく、嫌な出来事や、嫌な運命も、一切、近寄ってこれないことが分かった。

白い衣装の初音ミク
AIアート15
「白い衣装の初音ミク」
Kay


老子は、この章で「争わない者は一番強い」と述べている。
優れた武将は相手を威嚇せず、優れた戦士は敵とぶつからない。
しかし、凡人がその真似をしても、相手はかかって来る。
いかに相手を無視しているフリをしても、相手のことが心の中にあるからだ。
そして、心の中から相手を消すことは難しい・・・いや、不可能だ。
だから、心そのものを消せば良い。
そうなれば、無敵であり、いかなる悪いことも近付かず、良いものだけがやって来る。
そのためには・・・つまり、心を消すためには、もちろん、いつも言う通り、「私は誰か?」と自分に問えば良いのである。
そうすれば、心は速やかに消え、やがて、心が現れ難くなる。
そうなれば、自分が人間であるという観念が薄れていき、本当の自分が分かって来る。
本当の自分、それは、全知全能の無限の魂(=神)である。








  
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