SF作家アーサー.C.クラークと共にストーリーを作り、スタンリー・キューブリックが監督・制作した映画『2001年宇宙の旅』で、木星探査宇宙船に搭載された人工知能コンピュータHALは、なかなかの人気キャラクターだったと思う。
映画の中の場面だが、記者会見で、HALについて質問があった時、宇宙計画の推進者側が、「HALは、造った者にも完全には理解できない」と言ったのが、私には、ぞくぞくするほど惹きつけられたものだった。
それで、私はコンピュータ・ソフトの開発技術者になり、仕事ではなかったが、人工知能を独学し、人工知能型プログラミング言語と言われる、Lisp、Prolog、Smalltalkなどというプログラミング言語を勉強した。
結果、私の頭では無理だと分かった。いや、これらの言語で、売上げ管理をするシステムを作るというのなら、その気になれば出来る。しかし、これらの言語の特性を本当に活かした使い方をすることが出来ない。
だが、やがて思うようになった。
HALのようなもので、Lisp言語を開発したジョン・マッカシーだって、Lispの本当のところは分かっていない。
およそ、人間の発明というものは、自然の模倣なのだ。自然を観察しているうちに、閃きは、エジソンの表現を借りれば、「空間の向こうからやって来る」。閃きを、自分の頭が考えたことだと思っている人がいるが、そうではない。正に、どこかから来るのだ。
人間の頭ってのは、そんなに良いものじゃない。天才といったって、神とか進化した宇宙人から見れば、せいぜいが利口な猿だ。
HALでなくったって、ちょっとしたコンピュータシステムになると、作った本人だって、それを完全に理解していることはまあ無い。一級の開発者の私が言うのだから間違いない。ただ、試作品の段階で、ある程度の試験をして、満足な結果が出たということで、「諦めて」運用に回すだけのことだ。NASAの宇宙船の制御システムや、核ミサイルの誘導システムだってそうなのだ。そして、実際に落としてみるわけにもいかない核ミサイルなんて、本当に撃ったらどうなるかなんて、本当は誰にも分からないのだ。
もっと身近なことで言うと、スマートフォンや携帯電話の設定で、「位置情報を発信してよろしいですか?」といった、何らかの、こちら側の情報を発信しても良いかなんてメッセージが出て、ちょっと困った経験がないだろうか?そんな時、何も考えずに「はい」と設定するだろうか?確かに、そんな時、情報を発信しないと不利益があるような気分にさせるメッセージが出るので、多くの人は「はい」とすると思う。そして、それがどんな意味があるかなんて、誰も分かっちゃいないのだ。
それは、携帯やスマホの中の情報を引っ張り出して良いかという質問なのだ。
位置情報程度なら、まあ良いかもしれないが、別の情報を、プログラムから引っ張り出される可能性もあるのだ。そして、それを許可したも同然なのだ。いまや、誰でもスマホのプログラムを作って売れるということをご存知だろうか?それで、悪意を持ってスマホの情報を引っ張り出して悪用する事件が多発しているのである。悪意が無いとしても、スマホのプログラムの開発者の大半は、スマホの機器やOSの本当の仕組みなんか分かっちゃいない。意図せずに事故が起こる危険もあるのだ。
私など、位置情報なんて決して発信しない設定にしているし、きっちり理解できない限り、クレジットカードなど、いかなる情報も登録しない。スマホも持っていない。正直、恐くて持てない。しかし、いまや、SNSのみならず、携帯やスマホの設定でも、うまく個人情報を登録させてしまうような流れを、心理学や人間工学を駆使して作っているのかもしれない。
結果の責任は、あなた自身が負わねばならないが、あなたは、本当のところなんて、何も分からないまま行動させられているのだ。
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映画の中の場面だが、記者会見で、HALについて質問があった時、宇宙計画の推進者側が、「HALは、造った者にも完全には理解できない」と言ったのが、私には、ぞくぞくするほど惹きつけられたものだった。
それで、私はコンピュータ・ソフトの開発技術者になり、仕事ではなかったが、人工知能を独学し、人工知能型プログラミング言語と言われる、Lisp、Prolog、Smalltalkなどというプログラミング言語を勉強した。
結果、私の頭では無理だと分かった。いや、これらの言語で、売上げ管理をするシステムを作るというのなら、その気になれば出来る。しかし、これらの言語の特性を本当に活かした使い方をすることが出来ない。
だが、やがて思うようになった。
HALのようなもので、Lisp言語を開発したジョン・マッカシーだって、Lispの本当のところは分かっていない。
およそ、人間の発明というものは、自然の模倣なのだ。自然を観察しているうちに、閃きは、エジソンの表現を借りれば、「空間の向こうからやって来る」。閃きを、自分の頭が考えたことだと思っている人がいるが、そうではない。正に、どこかから来るのだ。
人間の頭ってのは、そんなに良いものじゃない。天才といったって、神とか進化した宇宙人から見れば、せいぜいが利口な猿だ。
HALでなくったって、ちょっとしたコンピュータシステムになると、作った本人だって、それを完全に理解していることはまあ無い。一級の開発者の私が言うのだから間違いない。ただ、試作品の段階で、ある程度の試験をして、満足な結果が出たということで、「諦めて」運用に回すだけのことだ。NASAの宇宙船の制御システムや、核ミサイルの誘導システムだってそうなのだ。そして、実際に落としてみるわけにもいかない核ミサイルなんて、本当に撃ったらどうなるかなんて、本当は誰にも分からないのだ。
もっと身近なことで言うと、スマートフォンや携帯電話の設定で、「位置情報を発信してよろしいですか?」といった、何らかの、こちら側の情報を発信しても良いかなんてメッセージが出て、ちょっと困った経験がないだろうか?そんな時、何も考えずに「はい」と設定するだろうか?確かに、そんな時、情報を発信しないと不利益があるような気分にさせるメッセージが出るので、多くの人は「はい」とすると思う。そして、それがどんな意味があるかなんて、誰も分かっちゃいないのだ。
それは、携帯やスマホの中の情報を引っ張り出して良いかという質問なのだ。
位置情報程度なら、まあ良いかもしれないが、別の情報を、プログラムから引っ張り出される可能性もあるのだ。そして、それを許可したも同然なのだ。いまや、誰でもスマホのプログラムを作って売れるということをご存知だろうか?それで、悪意を持ってスマホの情報を引っ張り出して悪用する事件が多発しているのである。悪意が無いとしても、スマホのプログラムの開発者の大半は、スマホの機器やOSの本当の仕組みなんか分かっちゃいない。意図せずに事故が起こる危険もあるのだ。
私など、位置情報なんて決して発信しない設定にしているし、きっちり理解できない限り、クレジットカードなど、いかなる情報も登録しない。スマホも持っていない。正直、恐くて持てない。しかし、いまや、SNSのみならず、携帯やスマホの設定でも、うまく個人情報を登録させてしまうような流れを、心理学や人間工学を駆使して作っているのかもしれない。
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