SIerという言葉をご存じだろうか?
最初に言っておくが、私は知らない。
SIer(エス・アイ・イー・アール)と書いて、「エスアイアー(エスアイヤー)」と読むらしい。
System Integrator(システム・インてクレーター)を略した言葉で、和訳すれば、「システム統合者」という意味だ。
しかし、SIerという書き方をした場合、これは、「システム統合者」という個人を指すのではなく、会社を指すらしく、「システム統合会社」になる。
まあ、「システム」という言葉も曖昧だが、コンピューター、ネットワーク、ソフトウェアが統合されたものを漠然とシステムと言うことが多い。
そこで、SIerとは、「コンピューター、ネットワーク、ソフトウェアなどをまとめて面倒見る会社」といった意味になると言って良いのだと思う。
私は、そんな会社を、「システム開発会社」とか、状況に応じて、「ソフト会社」「コンピューターソフト会社」「IT企業」などと言い、SIer(エスアイアー)なんて言葉を使ったことはない。
ひょっとしたら、SIerと言われる会社の中では、よく使われているかもしれないが、一般に認知されているとは思えないのだが。
確かに、雑誌やWeb記事で、説明もなしに、SIerという言葉が使われていることもあり、私も最近では「ああ、コンピューター関係の会社のことね」程度に思いながら読むが、それでも違和感があり、SIerという言葉を見たら、検索することもある。
ちなみに、グーグルアシスタントに「えすあいあーってどういう意味?」と尋ねると、どうしても「Sir(サー)」の説明をされてしまった。
こんなSIerが「知らないと恥ずかしい言葉」なんて書かれているものを見たが、私は、知ってる方がよっぽど恥ずかしいと思うのだが。
ところで、以前は、IT技術者個人が「システム・インテグレーター」を名乗ることもあったが、SE(システム・エンジニア)とほとんど同じ意味で言っていたと思う。いや、今でも、そういう意味で使っている人もいるかもしれない。そんないい加減な言葉なのである。

私が他に「知っていると恥ずかしい」と思う言葉に「SDGs(エスディージーズ)」がある。
まあ、世間では、「いまどき知らないと恥ずかしい言葉」になっているようだが、私はマジ知らない。
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略なのだそうだが、「え?何それ?」としか言いようがない。
以前は「とっても注目されていた」そうだが、中身のないつまらないもの、あるいは、特定の国(主にその政府)や団体が利権を得るための仕組みだったことが、分かっているらしい。
まあ、これに含まれる概念や仕組みには重要なものもあるのだが、SDGsと言ったら、単に変なものになってしまうように思う。

このような、人々を混乱させるだけの意味のない言葉は、世の中にとても沢山あり、一時的に流行っても消えていくものが多い。
それをあたかも、「今や常識」「知ってて当たり前」から、「知らないと恥ずかしい」という言い方をするのが好きな人が、世の中に沢山いるのである。
私のようなIT業界の立派な社会人(?)が、SIerやSDGsという言葉を知らないなど、とんでもなく恥ずかしいということになるが、知らないものは知らないのである。
本当に「知らないと恥ずかしい言葉」というのもあるかもしれないが、それでも、私は知らないなら知らないと言いたいと思う。
そもそも、この世界に「知らないと恥ずかしい言葉」など1つもないと私は思っている。

昔、私は、朝の8時頃、時間を潰すために喫茶店に入って「ホットコーヒー」を注文したが、「ホット」と略しても「ホットコーヒー」を意味することは、私は「余計な知識」として覚えている。
で、その時、店員の女性が「モーニングで?」と尋ねてきたのだが、私は意味が分からなかった。
知らない人はあまりいないかもしれないが、朝食セットのことをモーニングと言う。多分(笑)。
毎日、喫茶店で朝食を食べる人が、いちいち「朝食セット」と言うのが面倒だということだろうか?私は、それが少しも面倒な気がしないのだが。

私にとって、SIerやSDGsは、「ホット」や「モーニング」のようなもので、まあ、一応は知っているが、必須知識とは程遠い、どうでも良いことなのである。

そう言えば、IoTなんて言葉もあり、これは、IT関連の記事や本を読む時、知らないわけにはいかなかったので覚えたが、もう使われていないような気がする。
そもそも、IoTを Internet of Thingsの直訳で「もののインターネット」と言うのは本筋から外れていると言われながら、やっぱり「もののインターネット」が訳として定着したこともあって、IoTはかなり曖昧な概念の言葉になったし、私は、こんな言葉は別になくても良かったと思っている。
それに、昔言われていたように、実際に、エアコンや冷蔵庫をインターネットに接続して使っているだろうか?
それと関連するが、スマートスピーカーに向かって、「電気つけて」とか「ビートルズを聴かせて」などと言っても、すんなり意図した通りのことが起こったりしない場合が多い。
IT関連の略語なんて、私には、「ひらかたパーク」を「ひらパー」と言うくらい、どうでもいいことである。
私はRPAなんて言葉も知らないが(まあ、本当は知っているが)、それが恥ずかしいと言うなら、別に恥ずかしいで構わない。本当は、知っている方が恥ずかしい場合が多いからね。
そもそも、他に知るべき重要なことが沢山あると思う。