日本は世界でも稀な平和な国なのだと思うが、もしそうなら、誰かの努力によるものである。
学校、企業、マスコミ、政治などは欠陥だらけに見えるが、過度の欠点がないということで、世界的にいえば、随分マシなのかもしれない。
ただ、本当は、日本の平和というのは、江戸時代に幕府が農民を支配していた手法をそのまま踏襲しているのではないかと思う。

平和が破られるのはどういう時かというと、原則は決まっていて、大衆の「不満の感じ具合」なのである。
何に対する不満かというと、自分の待遇である。
平和を乱す者の代表に過激派集団があるが、彼らがなぜ恐ろしく暴力的であるかというと、本当のことを言えば、自分の待遇に対する大きな不満を抱えている者達が集まっているというだけのことなのである。
人間は、信念だの理想のために破壊的になったりなど、絶対にしない。
単に、自分の待遇に不満だから、何かを攻撃せずにいられないのである。

大衆の不満を抑えるためにはどうすればいいかというと、最も単純で、最も多くの支配者が行ってきたことは、恐怖で押さえ込むか洗脳するかである。
だが、江戸幕府は巧妙で、農民達に対し、彼らよりはるかに悲惨で不幸な者たちを作って、その非人間的な有り様を見せ付け、「お前達はまだ恵まれている」と思わせたのだ。
農民達は、事実、そんな哀れな連中を見ることで、「俺はこいつらよりずっとマシ」と思っていたのだから、洗脳というのではない。

マスコミがホームレスやワーキンギグプア、貧困家庭などを盛んに採り上げるのも、案外に、政府がそんなものを沢山報道するよう奨励しているのかもしれない。
あそこまで悲惨な人達に比べたら、中間層の者達は、自分はまだマシだと思い、不満はあるにしても、爆発させるほどではなく、政府や首相に口で文句を言うだけで、行動には及ばないように、国民をうまく調教しているのである。
会社でも、追い出し部屋を作り、哀れな中高年の社員の様子を見せることで、他の社員の不満を抑えるという効果は十分にあるのである。
今は難しいが、昔の会社では、いびられいじめられる社員を部署の中に1人は置き、他の社員の不満を緩和していたのである。
今でも、精神的に惨めな立場の派遣社員や契約社員を置くことで、ひょっとしたらもっと効果的に社員達に、不満から心を逸らさせているということも、おそらくあるのだろうと思う。

世界の様々な過激な武装派組織の者達は、皆、「俺はもっと良い待遇を受けるべき人間だ」という強い不満を持ってるので、どんな残虐なこともやるが、表向きは宗教的な理想を掲げているのである。
宗教が人を残虐にするのではない。
あくまで、自分の待遇に対する不満がそうさせるのである。

日本のように、支配者が庶民の不満をうまく押さえ込むテクニックに精通した国は、大きな争いが発生しない点で平和である。
時々、甘やかされて育ったせいで、自分の待遇が悪いと過度に思い込んだ者が、小規模な暴力行為を起こすことはあるが、連鎖を起こして広い範囲に及ぶことは滅多にない。
だが、それでも皆、不満を必ず抱えている。
自分はもっと良い扱いを受けるべきだと思っている。
その思いが老化を招き、病気を作る。
また、人々の不満は家庭に向けられ、仲の良い家族は非常に少ない。
それで、長寿ではあっても、50代にもなれば活力のない老人になり、政府にとって非常に扱い易い国民になる。
失言をした大臣が国民の声で更迭されたように見せるのは、単に国民の不満を抑えるためのパフォーマンスである。
だが、あなたは、自分が良い待遇を受けることを諦めることで、若さと活力を持てるのである。
良い待遇を受けたいという望みを本当に持たないなら、知恵や力、そして、神秘な力を得て、自由自在になる。
それを知る者と知らない者の差はあまりに大きいが、知って覚える者があまりに少ないのである。
頭の中で、不満のおしゃべりが起こったら、聖なる真言を称え、そのおしゃべりを消すことで驚くべきことが起こる。
やってみるか、馬鹿らしいと思って試してもみないかは個人の自由である。









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