世界は心が作り出した幻影、あるいは、夢のようなものであるという説は、太古と言って良い昔からあり、今もある。
近代に入ってからは、(当時の)現代事情にも詳しかった、ラマナ・マハルシやパラマハンサ・ヨガナンダといったインドの聖者達は、世界は映画のようなものだと言っている。
つまり、世界は本物のように見えるが、実は、スクリーンに映った映像のようなものに過ぎない。
もっと具体的には、フィルムは潜在意識の中の想いで、それが投影されたものが世界だ。
今なら、世界は、舞台上に3次元映像で現れて歌って踊る初音ミクさんのようなものと言った方が、より的確かもしれない。
アメリカで、ミクさんのライブに来ていたアメリカ人が「僕たちは、ただのスクリーンを見に来ている訳じゃない」と言っていたが、初音ミクさんが現実かどうかを決めるのは心であるということだ。
そして、我々が現実と呼んでいる世界も、それを非現実と思っている人にとっては夢や幻でしかない。
初音ミクさんを映し出す装置は比較的理解し易いが、我々が世界と呼んでいるホログラフィック・ワールドとでもいうものを映し出す装置は、さっぱり理解出来ないほど高度なので、リアリティが違うのだろう。
中国の『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』という映画の、冒頭に流れる歌は、「人生は夢の中で旅をしているようなものだ。だから、そよ風だってため息のようじゃないか」と歌うが、なかなか良い表現だと思う。

そこで、普通の人の興味としては、世界は潜在意識の想いが作り出す幻だと言うなら、なるべくなら、楽しいと思える幻にしたいということだろう。
寝る前に「どうせならいい夢を見たい」と言うようなもので、未来の希望を夢と表現するのだから、「未来は良い夢を見たい」と思うのも、根本的には変わらないかもしれない。
それなら、現実世界よりは、自由に変えやすいと思える夜の夢を変える練習をすれば良いのではないかという発想もあり、実際、そんな訓練jがあるらしいが、本格的に訓練したって、なかなか好きな夢を見ることは難しい。
そこで目をつけられたのが覚醒剤で、これは、面白い世界を比較的簡単に生み出せるのだから、これで現実を変えるヒントを得ようという考え方と思う。
無論、覚醒剤には危険性もあるが、多種の覚醒剤の中には、注意して扱えば危険性が低いものもあり、アップル創業者のスティーブ・ジョブズがLSDを使っていたことはよく知られているし、ビートルズのメンバー達もそうだったという話がある。
物理学者のフレッド・アラン・ウルフは、インディアンに伝わる覚醒剤によるトリップを、それに慣れた人の指導の下で行い、驚くべき体験をしたことを書籍にも書いているが、それは、単なる幻覚ではなく、客観的現実世界に影響するものであるといったような記述をしていると思う。
そして、問題なのは、スティーブ・ジョブズ、ビートルズ、フレッド・アラン・ウルフといった人達の傑出した業績には、覚醒剤の(良い意味での)影響があったに違いないということだ。
ただ、サルトルは、覚醒剤を自分で試してみて、制御が効かないことを理由に否定的な見解を示し、コリン・ウィルソンもそれに同意しているようである。
そこで、多くの人達が、もっと安全な精神覚醒法を紹介しているのだが、そのどれが良いのか分からないから困るのである。
コリン・ウィルソンもいろいろなやり方を著書で紹介してはいるが、はたして、どれほど効果があるのか分からない。
だが、精神覚醒法を趣味のように考えている者には、案外にうまくやっている者もいると思う。
こういったことも、深刻にやってしまうと、それが世界に投影され、世界は深刻なものになる。
きっと、初音ミクさんが、この幻の世界とリアル・ワールドをつないでくれる・・・そのくらいに思った方が良いかもしれない。













当ブログ著者、KayのAI書。
数学、プログラミング、AI理論が解らなくても、Excelを使える程度のスキルがあれば、誰でも自分で実用的なAIを作れるようにまることを目指しました。
同時に、「モンティ・ホール問題」や「囚人のジレンマ」を簡単なシミュレーションプログラムで解明し、AIに解かせるというのは、著者にとっても画期的で楽しいものでした。これまで、他の人がやったのを見たことがありませんでしたので。
他のコンピューター書とは一味違う(ある意味、素人っぽい)面白い本だと思います。