日本と韓国が竹島を、日本と中国が尖閣諸島の領有権を主張し合っている。
ところで、手塚治虫さんの『マグマ大使』という、1965年に連載開始された作品の中に、これらの問題と似た印象深いお話がある。

『マグマ大使』というのは、簡単に説明すると、次のようなお話だ。
太古の昔、アースという名の神のような存在が地球を造った。そして、アースは地球の守護者として、2人のロケット人間の夫婦を創った。夫のマグマと妻のモルである。ロケット人間とは、ロケットと人間の両方の機能を持つ者で、普通は人間の姿をしているが、ロケットに変身して宇宙空間も飛べる。特にマグマは多くの戦闘能力を持っている。
ところが、マグマとモルは、マモルという名の人間の少年を見て非常に好きになり、自分達も子供が欲しいとアースにねだる。そこで、アースはマモルによく似た、ガムという名の子供のロケット人間を創り、マモルとガムは親しくなる。
だが、アースと同等の存在であるゴアという名の、やはり神のような者が、美しい地球を見て、どうしても欲しくなり、力ずくで奪おうとして策略を巡らし、マグマはゴアの配下の宇宙怪獣と戦う等、果てしない争いが繰り広げられる。
その中で、ついに、アースはゴアにこんな申し出をする。
「地球が誰のものか、カオス様に決めてもらおうじゃないか」
ゴアはぎくりとする。カオスとは、宇宙創造神であり、アースやゴアとも比較にならない存在である絶対神であったからだ。
しかし、ゴアはアースの申し出を受けた。
そして、いよいよ、カオスの前にアースとゴアが並ぶ。
アースは、自分が地球を造り、大切に育んだこと。それをゴアが謀略によって強奪しようとしていることをカオスに訴えた。
「ゴアよ、お前に言い分はあるか?」
とカオスに尋ねられたゴアは、
「大ありです。私とて、アースが地球を造ったことくらい知っています。しかし、だからといって、地球はアースのものでしょうか?」
と疑問を提示し、アースを慌てさせる。
そして、ゴアはたとえ話をする。
「二人の子供が砂場で遊んでいて、一人の子供が砂の城を作ったとします。作った子供は、『この城は僕のものだ』と主張します。しかし砂はみんなのものではないのですか?地球だってアース一人のものじゃありません」

カオスが出した結論は面白いものだった。
「ゴアが正しい。地球はアースのものではない」
文句を言うアースに対し、カオスは、「宇宙にある原子は全て私のものではないのか?」と言い、アースは黙るしかない。
喜ぶゴアにも、カオスは、「だが、地球はお前のものでもないぞ」と戒める。
なおも争うアースとゴアに、カオスは、「こんなちっぽけな星のことでいつまでも争うなら、地球を無に帰してやる」と言うと、二人は慌て、「それだけはご勘弁を」とカオスに乞うた。二人とも地球を愛することでは同じだった。
そこでカオスは、「では、力で決めよ。アースの配下のマグマと、ゴアの配下のガロンが戦って、勝った方が地球を治めよ」と言い渡した。

日本と韓国の竹島問題のようではないかと思う。
日本政府は、「竹島は日本固有の領土であり、それを主張していく」と言うが、竹島が日本の領土であるという根拠を示すことはない。それは韓国政府も同じだ。
私も少し調べたが、竹島が日本の領土であると断言する理由は、おそらく無い。だからといって、韓国の領土であるというのはかなり無理がある。
カオスは、アースとゴアに「力で決めよ」と言ったが、二人が直接戦えとは言わなかった。
では、日本と韓国も、お互い得意なサッカーの試合ででも決めたらどうだろう?正しい方に、神が味方してくれるさ。(無論、冗談であるが)
H.G.ウェルズが述べたように、世界政府というものでも出来ない限り、こんな問題は解決がとても難しい。いや、世界政府が出来たところで難しいほどだ。
そもそも、地球のいかなる場所も、誰のものでもない。
だから、その地の人間や生物、自然、環境などに対し、より多くの貢献をした者を一応の統治者とするしかない。
例えば、日本が、アメリカのフロリダ州を日本の領土だと主張するのも勝手ではあると思うが、フロリダ州に対しては、日本政府よりアメリカ政府の方がはるかに多くの良いことをしているのだから、この場合の日本の主張は退けられるだろう。
では、福島に対してはどうだろう?もし、他の国が、日本政府以上に、福島の人々や動植物を健やかに、幸福にし、その地の自然を浄化し豊かにするなら、それをした国が統治をすれば良い。無論、日本政府は、これまで、福島に対し、良いこともしただろうが、原発事故や、その原因となった大震災の対応で、必ずしも統治者としての責任を果たしているとは言えないことから、他国がやれるなら、日本国に所有を主張する権利はないだろう。
これらも1つの考え方でしかないが、現在の、日本、韓国、中国の主張では、問題はいつまでたっても解決しないであろう。









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