1963年の『こんにちは赤ちゃん』というヒット曲で、最後に「私がママよ」と歌うが、当時、母親のことを「ママ」と呼ぶことは、日本では実際にはあまりなかったと思われる。
しかし、何かのきっかけでママという言葉を使うと、庶民の子供でも、案外に馴染んだと思う。それほど、ママという言葉は語感が良い。なぜ語感が良いかというと、M音(マ行)の音で始まることが関係し、英語、フランス語、あるいは、ギリシャ語でも、母親という言葉はM音で始まる。
語感が良いので、日本では、変なところで「ママさん」なんて言葉が使われ、外国人をぎょっとさせるが、これまた、外国人の間でもすぐ慣れてしまうのである。
同じく、食べ物を表す言葉も、M音が多く、これに関しては、日本でも「マンマ」なんて、赤ん坊から大人まで言う。「おマンマの食い上げだ」みたいにね。

人気脳科学者の中野信子さんが著書で、祈り言葉にはマ行(M音)の言葉が含まれることが多いと述べている。彼女の場合は、「南無妙法蓮華経」を取り上げていたが、この言葉の中には2回、M音がある。
あるいは、古神道家の山田雅晴さんは著書で、重要な祈り言葉はAMで始まるものが多いと言い、「アーメン」「ナムアミダブツ」「アマテラスオホミカミ」を取り上げていたが、最も重要な真言と言われることも多い「オーム」も、正確には「アウム」であり、ほぼAMだけである。
『ヒマラヤ聖者の生活探求』で、イエスが、最も重要な言葉は神(英語の原文ではGOD)だと述べるが、日本語の神はKAMIで、母音で言えばAMで始まるが、英語の場合はGODで、AMもM音も含まない。
だが、英語では、I AM GODとかGOD AM I 、あるいは、聖書に従って I AM THAT I AMが最重要な言葉とされることがあり、直接的ではないが、AM自体が神を示している。神とは「在りて在るもの」だからだ。
ついでに言えば、日本語では「神様」という言葉の中にAMが2回現れ、非常に有難い言葉ということになる。
「神様の奇跡が起こる」と唱え続け、1憶円の宝くじを2回当てたホームレスの男がいたらしいが(著名な教育学者の七田眞さんが著書で、誓って真実であると延べている)、それもあり得そうに思えてくる。

つまり、上に挙げたような、M音を含む、さらには、母音だけでもAMで始まる言葉で、好きなものを、思い出すごとに唱えることで恵みがあると思われる。
まあ、どんな言葉でも、恵みがあると思えばあるのだが、その効果がさらに大きいと思う。
ところで、ここでは詳しく述べないが、密教の大日如来の真言アビラウンケンは、実は非常に効果がある。
あるお婆さんが、「油売らんか」と覚えて唱えていたが、これでも効果があった。
これは、バ行と言うよりヴ行(V音)とも言える音の威力で、大日如来真言は「オン バザラダド バン」で、やはりV音が多い。これは中国語からきているが、元のサンスクリット語は、もっとV音が多いし、V音らしい言葉である。
たとえば、「アビラウンケン」は「アヴィラ フーン カン」で、「オン バザラダド バン」は「オーン ヴァジェラ ダートゥ ヴァン」といった感じだ。
よって、密教系の方は、これらの真言を使うと良い。

祈り言葉や真言は、ずっと座って唱えるというのは難しいし、まず長年月は続かない。
それで、毎日、お気に入りのものを、気が付く度に1回でもいいから唱えると効果があり多ければ多いほど良い。
それは、宗教的な意味もあるだろうが、音に関して科学的な根拠もあるのだと思う。
ママやマンマのように、世界各地で、無意識的に祈り言葉や真言が使われるようになっているのだと思う。
飲食店の女主人をママとかママさんと呼ぶ人には、それなりにうまくいっている人しかいないのも偶然ではない。
芦田愛菜さんなんて、抜群の名前であると思うが、名前にM音を含む人は確かに得で、小説や漫画などの登場人物にも多いのである。