従来は、現象世界を心で直接制御する仕組みやノウハウは、宗教的、魔術的、あるいは、オカルト的でしかなかったが、現代では、科学的と言えるようになっている。
もちろん、伝統ある科学の中にだって、恣意的(主観的、自分勝手)な部分は少なくないように、心の科学と言われるものの中にも信用ならないものがある。
ただ、たとえ従来の科学でも、本当に純粋な部分は、人間にはほとんど何も解らないというのが事実なのであり、敬虔な姿勢を持って、生きるのに役立たせることを考えるしかないのである。
現象世界を動かせる心の状態を調整する作業を「修行」という言い方をしても、別に非科学的と言う訳ではない。
ただ、古い科学の癖がついた人には、やっぱり、それは科学ではないのだろうが、そんな者達を相手にする場合にまで、「科学」の名を持ち出す必要はないし、そもそも、偏見のある者は、出来るだけ相手にならないに限るのである。

さて、「修行」の目的は、つまるところが、自我の安定なのであるが、そもそもが、自我は安定しないものであるということは、フロイトにだって解っていた。
そこで、フロイトは、自我を騙すというアプローチを使ったが、その目的は人間の問題を消滅させるのではなく、単に低減することを目指したのだと思う。
だから、真面目なフロイトが、長時間、熱心な治療を行ったことに対し、「成果は全くなかった」と考えることが出来るし、実際、そう評される場合が多い。
しかし、フロイトは確かに、患者の問題を低減させたし、彼の研究を引き継いだ者も、そのような意味での成果を発展させたと言えるのである。

けれども、自我は安定させるものではなく、消滅させるのが正しいアプローチであることが解ってきた。
ところが、この方法の問題は、言うまでもないが、人間は自我なくして生きられないことである。
事実、宗教的には、自我を消滅させ、「解脱した」「悟りを開いた」と言われる聖者だって、生きている限りは、自我は存在することが分かっている。
そこで、理想的状態になるには、自我の完全消滅ではなく、自我の最低限必要な部分を残して消滅させれば良いと考えることが出来る。
しかし、そこで矛盾ある実例を見出してしまう。
つまり、解脱した聖者だって、普段の生活の中では、その心の状態は、必ずしも清浄なる高貴なものとは言い難い、あまりに俗っぽい場合も少なくない・・・ひょっとしたら、聖者とはいえ、実態はそのようなものではないかと思われるフシもあるということだ。
だが、こんなことを、いつまも考えていてもキリがないし、利益もない。
そこで、とりあえず、世界を支配出来る精神状態とは、自我の影響を受けない・・・喩えて言えば、自我は、高いところを吹く風か、蜃気楼のようなものと見なし、その程度の影響力しか持たないようにすれば良い。
それが出来れば、世界は思うままである。

では、自我の影響力を削ぐにはどうすれば良いかというと、自我を強めるものと反対のことをやれば良い・・・と実に簡単である。
しかも、危険なやり方を取らず、安全に行いたければ、自我の性質の中でも、「即物的」であることを利用すれば良い。
即ち、自我は欲求を即座に叶えようとする。
食欲を満たしたければ、目の前にあるものを食べようとするので、美味しいものを売る者は、それを即座に入手出来るよう工夫すればボロ儲けが出来る。
性欲に関しては、風俗店に行ったり、性的娯楽を愛好する者は、精神的レベルの低さ云々ではなく、世界を動かす力が極めて弱いことが欠点なのである。
そこで、自我が好むことと反対である、果て無き反復を行えば良い。
悟りを開いたセールスマンは、売上を上げることではなく、訪問することが目的になっている。
野球の超人バッターは、首位打者やホームラン王のタイトルを取ることではなく、バットを振ることが目的になっている。
そのようなことをすれば良い。
確かに、命と引き換えに一瞬で自我を蜃気楼にする方法もあるかもしれないが、それでは、かなりの割合で実際に死ぬ。
よって、果て無き反復を選ぶ方が良い。
例えば、本であれば、もう何でも良いので、無限に繰り返し読むことを決定するのである。
お経や祝詞であれば、やはり、無限に繰り返し唱えるのである。
よく、「般若心経を1万回唱えました」なんて人がいるが、そんなことを言っている時点で、数が全然足りないのである。
逆に言えば、そんな下らない成果(読んだ回数)に興味をなくせば、千回で悟りを開けるかもしれない。












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