逆境を抜け出したり、成功するには、チャンスが必要だ。
そして、意欲的に成功を目指す者は、チャンスを求めてあらゆる場所に行き、多くの人と交流するという。
それこそが成功の秘訣と言う成功者も多い。
だが、本当だろうか?

東浩紀さんの『弱いつながり』で知ったが、アメリカの社会学者マーク・グラノヴェターの「弱い絆(ウィークタイ)」という有名な概念がある。
彼は、1970年代に、ボストンに住む300人弱のホワイトカラーを調査したところ、その多くの人々が、人とのつながりによって職を見つけているが、その職に関して高い満足度を得ているのは、職場の上司や親戚とかではなく、「たまたまパーティーで知り合った」といった「弱い絆」をきっかけに転職した人の方だった。
つまり、深い知り合いより、弱い知り合いとの関係の方が成功のチャンスにつながっていたのだ。

実際、ほとんどの成功者達も、たまたまのきっかけで成功している。
著名な事業家で投資家のマックス・ギュンターの『運とつきあう』に豊富な事例が載っているが、正直な成功者というのは、ほとんど全員が、自分が成功したのは「たまたま」だと言うのだ。
そうでない方が例外なのである。

アニメ『美少女戦士セーラームーン』の大ヒットの一因には、主題歌『ムーンライト伝説』の素晴らしさがあったと思う。
原作者の武内直子さんも、驚くほど作品の世界観を表現していると言っていたらしいが、この曲の作詞者、小田佳奈子さんは、詳しくは述べないが、タダ者ではないようだ。
この曲の2番に、
「偶然もチャンスに換える生き方が好きよ」
という歌詞がある。
素晴らしい言葉だが、偶然をチャンスに換えるのは、決して、人間の思考ではなく、天の采配と言える。
だが、それを呼び寄せる何かが人間にあるのだ。
その実例の1つが、飽きるほどご紹介した、七田眞さんの本にある実話で、ホームレスの男性が「神様の奇跡が起こる」とずっと唱え、1億円を2回当てたものだ。
彼のやり方は正しかったのである。

小説・アニメ『灼眼のシャナ』で、こんな場面がある。力を奪われ幽閉され何も出来ないシャナだったが、彼女の心の炎は消えず、こう思い続けた。「必ず何かが起こる。それを待つんだ」
そして、チャンスは来たのである。

涙が出るほど古い曲で恐縮だが、小林麻美さんがとても若い時に歌った『恋のレッスン』の中に、
「今に何かが起こる」
という歌詞があるが、少女は、こんな予感を抱くのが普通である。
ちなみに、作詞者は、超沢山のヒット曲がある名作詞家の橋本淳さんだ。

昔、リカちゃん人形には、レディ リカという、大人のリカちゃんがあった。
大人といっても16歳の設定だが、リカちゃんで遊ぶ子供達から見れば、立派な「オトナのオンナ」である。
Webで調べたら、ブックレットには「土曜の夜、何かが起きる? ご用心 ご用心」なんて、意味深なことが書かれていたようだ。※当時は週休1日が普通で、「明日が休み」は土曜であった。
そして、レディ リカのテレビCMの歌は、
「レディ リカ レディ リカ 何かが起きる」
と歌われた(そうだ)。
これは、16歳のリカ自身が、心の中では、何かが起こることを求めていると思って間違いないだろう。

前向きな、あるいは、ワクワクする期待を込めて、「何かが起きる」と思えば、必ず、素晴らしいことが起こる。
これは、あの「神様の奇跡が起こる」と同じ原理なのだ。

「神様の奇跡が起こる」
「何かが起きる」
「予期せぬことが起こり、道は開ける」
「時は来た」
このような言葉を口癖にして唱えたり、心で思い続ければ、不思議なこと、驚くべきことが起こり、あなたを未知の世界に連れて行く。
あんなことや、あんなことも起こる(笑)。期待して欲しい。

身をまかせて 空を見上げ 時を待とう
~『Shooting Star』(作詞・作曲:KURIS・YUICHI NAKASE、編曲:TeddyLoid。唄:IA)より~
【IA OFFICIAL】Shooting Star / TeddyLoid feat.IA (MUSIC VIDEO) -YouTube-