昨年(2021年)9月、アニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』が中国で上映されたのは、私には驚くべきことだった。
というのは、『ルパン三世』のヒーロー、ルパンとその仲間達というのは、あくまで法を犯す犯罪者で、警察に追われる身だ。
中国の独裁政党である中国共産党が、法を犯す者を許すはずがなく、法を犯す者はいかなる場合でも敵と見なし、法を犯す者を称賛するようなものの公開を許可するとは思えないからだ。
あくまで、日本という「思想的に遅れた国」の作品として容認し、しかも、内容に対し、吹替段階その他で、大幅に修正や切り捨てが行われたのであろうか?
無論、外国作品の映画、アニメ、小説、漫画など、何であれ、中国共産党の思想を否定、あるいは、揶揄するようなものは、公開禁止か、あるいは、一部を削除・修正してでないと公開が許可されないことは間違いないが。

いや、それよりも私は、昨年、『ルパン三世』の新シリーズ『ルパン三世 PART6』が、放送開始(もちろん日本国内で)されたことにも違和感を覚えるほどなのだ。
日本は、本当は既に独裁国家であることを、隠すまでもないにしろ、民主国家であるという幻想を国民に与える目的でもあるのだろうかと思ったほどである。
いずれは、日本でも、国家の圧力で、『ルパン三世』のような非合法なヒーローが活躍するものは公開禁止になることは間違いないと思っていたが、中国で『ルパン三世』の映画が公開されることに私は驚いたのである。

昔の話かもしれないが、中国を含むアジア諸国で日本のアニメが放映されたり、漫画が出版される時、それが、日本の著作権者の許可をとっていない、いわゆる海賊版であることはよくあった。
その際、内容が大幅に書き換えられ、オリジナルの内容と全く別物になっていることもよくあったと思う。
また、特に男性の長髪が禁止されている国では、オリジナルアニメでヒーローなどが長髪の場合には、ショートカットに修正されるという、一見笑えるが笑えないことも実際に行われた。
最近でも、韓国でアニメ映画『鬼滅の刃』が公開された際、炭治郎の耳飾りが修正されたことが記憶に新しい。
さて、『ルパン三世 カリオストロの城』はどうだったのであろうか?少なくとも、全く無修正・無削除ということはあり得まい。

今日、陰謀論とされていること(例えばmRNAワクチンの危険性や、米国選挙で投票機を不正操作する等の大規模な不正が行われている等)を作品の中で言えば、日本でも中国でもアメリカでも、放映や公開はされないはずだ。
いかに架空の話としていても駄目であろう。
もちろん、どんな時代でも、道徳や倫理に反すような内容のものは放映や公開に制限が課せられるのは当然であるが、何が道徳で何が倫理であるかの基準がおかしくなることが、独裁化、専制化の兆候であり、国民はそれを監視する義務があるが、国民を欺くことは、いともたやすいことであろう。
そして、中国やシンガポールを見ると、経済的には、独裁制色が強いほど有利であることも分かってきた。特に今後の世界(AI等デジタル技術が進歩した世界)では、民主国家は独裁国家に勝てないのではないかと考える者も多い。
それで言えば、ある程度の独裁化は止む無しと唱える者もいるが、独裁とは強化されるものであり、「ある程度」で済むわけがない。
とは言っても、独裁国家が強くなれば、民主国家は占領(昔のような意味ではなく、見かけ上は平和に見えることも多い)されてしまうことも確かで、日本も中国に占領される可能性が高いが、それが必ずしも不幸ではないという意見だってあると思う。

『ルパン三世』がいつまで新作が作られるか、作られるとしても、その内容におかしなところがないか?
そのあたりも気を付けていただきたいと思う。
まあ、気をつけてもどうなるものでもないかもしれないが、見過ごしてはいけないと思う。