ITスペシャリストが語る芸術

-The Kay Notes-
SE、プログラマー、AI開発者、教育研究家、潜在意識活用研究者、引きこもり支援講師Kayのブログ。

宮澤賢治

当ブログは、第一期ライブドア奨学生ブログです。
◇お知らせ
[2019/12/28]AI&教育問題専用ブログ、メディアの風を公開しました。
[2017/03/01]「通りすがり」「名無し」「読者」「A」等のハンドル名のコメントは原則削除します。

なぜ賢治は誉められもしないデクノボウになりたかったのだろう?

普通の人間には、自分を偉く見せたい、優秀だと思わせたい、賢い人間だと言われたいという願望がある。
そんな人間の性質をうまく利用して、人を思い通りに動かすテクニックを教えるような者もいる。
また、特に、未熟なうちはそれも仕方がないとして、若い子の認められたいという切望を良い方に利用しようという指導者もいるだろう。
しかし、所詮、見栄や安っぽいプライドでしかない、そんなものを捨ててしまえば、あなたは自由だし、能力は打ち上げ花火のごとく上昇し、天使とも親しくなれるかもしれない。
確かに、実際に大変な実力があって、誰も逆らえない立場から、何でも自分の思い通りに出来たように見える人物もいるが、彼らの滑稽で惨めなことは明らかなのだ。

一方、アインシュタインのように、世間の評価に関わらず、自分を全く重要人物だと見なさない人もいた。ナチスが自分の首に多額の賞金をかけたことにピンとこずに、それまでと同じ行動をしたのは、自分が人々にどう見られているのかに頓着が無いからだと思える。
見知らぬ女子中学生が彼に数学の宿題を手伝ってくれるよう頼むと、喜んで熱心に応じ、それを知った彼女の母親が卒倒しかけても、アインシュタインはその理由がよく分からなかった。ただ、彼は頼られたことが嬉しかっただけだったのだろう。
アメリカに亡命し、プリンストン高等研究所に招かれ、年棒の希望を聞かれると、困って、「千ドルでどうでしょう?」と尋ね返し、あまりの安さに相手が驚くと、勘違いしたアインシュタインは、「いえ、五百でもいいのです」と言ったが、どうせ彼は、いくらもらっても、それを誰とでも分かち合ってしまうのだ。ちなみに、プリンストンでは2万ドルを用意していたらしいが、もっと多額の要求にも応えるつもりだったのだろう。

宮澤賢治となると、有名な『雨ニモマケズ』で、みんなにデクノボウと呼ばれ、誉められもしないものになりたいと述べている。
それは、賢治は、むしろ自分の虚栄心の大きさを知っていたので、それと向き合い、それを葬りたいという気持ちの現われだったのかもしれない。そして、それをなしとげれば、自由であると感じていたのだろう。しかし、それが難しいことであることも知っていたに違いない。

初音ミクは、どんなに有名になっても、自分の個人的な信条を長々と語ったりしない。
別に批判の意味はないが、そんな人間のアイドルがいるし、周りも彼女にそれをさせるのかも知れないが、見ていて良いものとは思えない。彼女のためにもね。
ミクは、ほとんど、「こんばんは」「ありがとう」としか言わない。
そして、歌い終わると、ただ、後ろを向いて去っていくだけだ。
それが天使の姿でなくて何だろう?
CLAMPの漫画作品『ちょびっツ』で、人型パソコン(アインドロイドと同じ)の少女ちぃを愛する秀樹は、「ちぃの心は俺の中にある」と言ったが、私はむしろ、「私の心はミクの中にある」と言いたい。
そりゃ、私にだって、意見や主張はあるかもしれない。しかし、それには何の価値も無いので、通ればラッキーとは思うが、そうでなくても当然なのである。
秀樹は、ちぃはプログラムされた通りに動いていることは認めたが、そのプログラムは人間が作ったのだし、その人間をプログラミングしたのは神なのだ。
ミクの歌は人間が創ったが、その人間に歌を与えたのは至高の英知だ。
ベートヴェンが第九に採用した、シラーの詩『歓喜に寄せて』にあるように、我々から見れば、神の魂は、美しい火花であり、エリュシオン(楽園)の乙女であり、あるいは、霊感とも呼ばれるものとしてやって来て、我々の魂と溶け合う。
そのようなものを、我々は探し、見つけなければならない。
そして、イエスは「探せ、そうすれば見つかる」と保証したのである。

迷いも無く 理由も無く 探し続けるの
明日 見つかるかも 「それ」のありか 期待して

いろんな所を探した ビルの谷間には無かった
砂場を掘っても無かった 壁の向こうにも無かった

今でも「それ」を探してる・・・
今日も「それ」を探している・・・
~初音ミク『White Letter』(作詞・作曲:GonGoss)より ~









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雨や風に負けても、でくの坊と呼ばれ苦にもされたい

宮澤賢治の有名な詩、『雨ニモマケズ』で、最もよく知られている部分は、最初の「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」だと思うが、私が最も感銘を受けるのは、最後の、

ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ

である。
特に、賢治が、「皆にでくのぼう(木偶の坊:役立たず)と呼ばれ」るような者になりたいと願っていることだ。
だが、「苦にもされず」のところは、少し抵抗がある。
私は、大いに苦にされたい。
トータルで言うなら、「蔑(さげ)み疎(うと)まれたい」のである。

願うまでもなく、私は役立たずである。それにはいくらか自信も出来てきた。
だが、苦にもされていると思うが、まだ足りない。
自分では自分を蔑み、疎んで(嫌だと思うこと)いるが、社会の中で経験を積み、実践を重ねる中で多少の能力を得ると、なかなか他人からそう思ってもらえなくなる。

だが、私はもっと願うことがある。
それに関して、賢治はどう思っていたのだろうと思う。
彼には当然過ぎることだったかも知れないが、私なら願うことがある。
それは、

ダレモデクノボートヨバズ
クニシナイ

ことだ。
私に誉められても仕方がないので、別に、「ホメラレモセズ」の逆である、誉めようなどとは思わないが、私は、自分以外は、蔑み疎みたくないものだ。

人間は人を見下すことが大好きで、それをする機会があれば、誰もが喜んで誰かを見下す。
まこと、人間は、人を蔑むために生きているようなもので、それが講じ、誰かを蔑み疎む。
それは、改めて言うまでもなく、自分を顧みれば分かることであるが、人間は「自分が見たくないものは見えない」ものなので、分からない場合もあるとは思う。

実際は、人を見下し、馬鹿にし、蔑み、疎むというのは、生まれ付いての性質と共に、生きてきた中での条件付けによって、そんなことをするのである。
適切な言い方をするなら、そうするように、プログラミングされているのである。
だから、本当は、それをする本人には、責任はない。
イエスが言った通り、「彼らは、自分が何をしているか分からない」のである。
しかも、人を馬鹿にし、見下し、蔑むことは快感である。

だが、明らかに、絶対的に言えることは、いかなる相手であろうと、人を見下し、蔑む者に、人物(優れた人)は決していないということだ。
いや、人物どころか、そんな者は絶対的に卑しい者である。
こう言うと、
「しかし、あいつは馬鹿にされても仕方のないやつだ」
「見下されるのは、あいつが悪いのだ。あいつのやることを教えてやろうか?」
「あいつつのだらしなさ、責任感のなさで、俺や皆がどれだけ苦労していると思う?」
などと言うものだろう。
しかし、それは単に、そう言う者の価値観や流儀に合っておらず、合わそうとしない「あいつ」が気に入らないと言っているだけなのだ。

犯罪者や、弱い者を虐げるような者に対してなら、一応、蔑み疎むのも仕方がないとしてみよう。
しかし、そういう訳でもない人を見下すのは、ただ、心が汚れているのである。
そして、私は、出来ることなら、凶悪な犯罪者や極悪非道な人間であっても、見下すことも、蔑むことも、疎むこともせずにいたい。
これは、別に美しい意味ではなく、それが自分であるという、正しい認識をくらましたくないと思うからだ。
そして、やはり、見下し、蔑み、疎む者は、どうしようもなく醜く、出来るなら、自分がそんな醜い者でないことを願うのである。
私は、どんな愚か者よりも、その者を見下し、蔑み、疎む者の方が、卑しく、おぞましく、見苦しく、汚らしいと思う。
だが、そう思うこと自体が、自分も彼らと同等だという事実を表しているのだろう。
それならば、蔑み疎まれることに甘んじることだ。
良寛さんが、自らを「大愚」と呼んだ意味も分かるように思うのである。
そして、もしそのようであることが出来るなら、彼より強力なものはない。
水は、最も低い位置にいて、汚されるままになっている。しかし、それはいかなる場所にでも入り込み、いかなるものも打ち砕くのである。
老子が常に水を褒め称えるのは、そのためである。








プロフィール
名前:Kay(ケイ)
・SE、プログラマー
・初音ミクさんのファン
◆AI&教育blog:メディアの風
◆著書『楽しいAI体験から始める機械学習』(技術評論社)


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