砂上の楼閣という言葉がある。
楼閣とは、高い立派な建物という意味で、そんなものを砂の上に建てても、すぐに崩れてしまう。
楼閣どころか、小さな小屋を建てても、土台が砂ではどうしようもない。
つまり、土台が大切という意味だ。
スポーツで、いくら技を磨いても、体力が無ければ大した選手になれないし、いくら知識を頭につめ込んでも、人格や体力が無ければ役に立たない。
スマートフォンが一見格好良くても、知識がないので、ウイルス対策もせずに使うという恐ろしいことを平気でしているのも、ITの基礎知識という土台なく、ITの上っ面だけ見ているからである。
今の日本や日本人がまさに砂上の楼閣である。

古事記を読むと、不思議なくらい、宮殿を建てる際、磐石の岩に太い柱を立てるということが、繰り返し言われるのであるが、日本人は昔から、土台が大切だという知恵を重んじてきたはずなのである。
新約聖書の福音書の中でも、イエスは、大きな岩の上に断てた家のような人間でなければならないと言っているのである。
これらの大きな磐石の岩とは、どっしりとした、落ち着いた人間性のことであることは言うまでもないだろう。
それを持つことなく、学歴だ、ファッションだ、車だ、スマホだ、富だ、地位だと言っても、仮にそれらを一瞬得ても、すぐに土台からひっくり返る。
逆に、土台さえあれば、何でも望まずとも得られる。
そして、人間の土台とは、腹なのである。
日本人は昔から、腹が出来ているとか、腹を割るといった表現を使い、愚かではあるが、最大の誠意を示すために腹を切るといったこともやったのである。
岡田虎二郎は、金に窮している者に「腹を鍛えれば金はいくらでも出来ますよ」と言い、ある霊覚者は、「腹が出来れば、剥げ頭に毛も生える」とまで言ったのである。

腹を鍛え、腹を造るにはどうすればいいだろう?
腹は、テクニックで造れたりしない。
呼吸法だのイメージ・トレーニングで腹を鍛えようなんて言う者が多いが、「片腹痛い」のである。
普段の姿勢が腹を造る。
神道の祝詞である大祓詞(おおはらえのことば)に、
「下つ磐根に宮柱太敷き立て」
とあるように、大きな磐(岩)のような不動の腹を根とし、太い柱のように背筋を真っ直ぐにするのである。
ただし、胸を張るのではない。肩の力を抜き、自然に背筋を真っ直ぐにするのである。
学校では、戦後から、「胸を張り、腹を引く」といった姿勢を教えているが、これは最悪の姿勢である。
心の座である胸が、魂の座である腹から離れ、落ち着きのない、そして、自我主体の傲慢な人間を作る姿勢である。
今の子供や若者は、そんな教育通り、皆、落ち着きが無く、自己中心的で傲慢である。
心が魂に従い、魂に溶ける姿勢をしなければならない。
電車の中などで、ふんぞり返って座っている人をよく見るが、あれは、魂を捨ててしまっている姿勢である。土台が最初からひっくり返っている姿勢だ。
だが、無理に背筋を伸ばす必要もない。肩をいからせて胸を持ち上げている姿勢は、立っている時であれば、後ろからぽんと押されたら、たやすくつんのめってひっくり返る。
相撲の四股を踏むのは、なかなか良いトレーニングであるが、一般人、まして、女子であれば、なかなか出来ない。
しかし、我々には、腕振り運動がある。腕振り運動をする時、下腹に意識をやれば、自然に腹が出来てくるようになる。
まさに、腕振り運動は万能である。
腕振り運動のやり方は、当ブログ内の次の記事の中にある。
座禅や瞑想よりも腕振り運動が効果的な理由

また、特別な呼吸法は必要ないが、普段から複式呼吸を心がけると良い。
そして、姿勢が整っていることが前提であるが、ヨガのクンバク呼吸法を1日3回でもやると良いだろう。
息を下腹に吸い込み、肛門を引き締めて10秒ほど息を止め、ゆっくりと息を吐き、また肛門を閉める。
ただ、あまり力み過ぎないように注意して欲しい。
肛門を引き締めることを、腹の中の気を漏らさないためであると言う者もいるが、馬鹿を言ってはならない。
肛門を閉めたくらいで、精妙な気を閉じ込められるはずがない。気(プラーナ)は、どんなものでも(鉄板ですら)通り抜けるのである。
肛門を引き締めるのは、下腹の気を活性化させるためである。肛門を閉めるとヘソも締まり、腹に力が出来るのである。
腕振り運動で、腹に気は溜まっているので、肛門を引き締めて、それを活性化させるのである。
普段から、気が付けば肛門を閉めると良いだろう。若いか年を取っているかは、肛門が締まっているかどうかである。
しかし、最も大切なのは、やはり姿勢である。
これについては、自分でも、色々研究すると良い。
床の雑巾がけなどは、腹を鍛えるのに、実に良いことが分かる。
本当に姿勢が良い人の礼は、立ってする場合も、、座ってする場合も見事である。良い礼が出来るようになってこそ、腹が出来ていると言えるのである。









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