就職において、終身雇用を希望する学生が多いらしい。
ところで、何度も転職を経験すると、会社の募集広告と会社の実態が全く異なるということを強く感じるようになる。
まあ、給与や休日といった部分もそうなのかもしれないが、それよりも、職場の雰囲気だとか、社員の人間性といったことだ。1日の大半を占める会社での生活や仕事そのものも人間関係で決まるのだから、新しく入る人間には関心の高いことだろう。
しかし、会社の広告チラシに書いてあることと、本当の姿は全く異なるのである。
それは当たり前のことだ。

ある規模以上の会社では、募集広告を担当するのは総務関連の部署だ。
しかし、総務が会社の実態をよく知っているということは、まず無い。総務の社員自体、そんなものに興味はない。
さらに、募集広告を企画したり書くのは、総務の社員ですらない。リクルート会社の企画担当者だ。
会社の実態をあまり知らない総務担当者から聞いて、その会社のことを全く知らないリクルート会社の担当者が広告を作るのだから、広告に会社の実態が反映されるはずがない。
そりゃ、総務担当者にも、情熱があって、会社の真の姿(良い意味でだ)を分かってもらおうと思う人もいるかもしれないが、そんな企画は、せいぜい部長か、早ければ課長のところで止められる。課長としては、部長に、「何だね!この広告は」と言われるのが恐いし、部長は、役員から、「この広告を許可したのは誰だ!?」などと言われるのは恐い。だから、広告には、何より無難さを求めるのだ。
リクルート会社だって、そのあたりはよく心得ているので、無難で、「上の方の人達」にうける企画を持ってくる訳だ。
そもそも、斬新な企画を出されても、リクルート会社の担当者だって困る。彼らは、パターン通りの(無難な)広告の製作を数多くこなさないといけないからだ。

会社の募集広告を見て、一瞬で、「馬鹿らしい!」と思わない方が、感覚がおかしいのだと思う。
実際、どれも馬鹿らしいものだからだ。
だが、馬鹿らしい広告の会社ほど、給与、休暇、安定性などが高いのだから、皆、そっちに行く。
その際、その広告を馬鹿らしいと思う、まっとうな感覚を否定し、馬鹿らしいものを受け入れるのである。そこでまず、人間としてのレベルを一段落としてしまう。
それは、入社してからも同じで、人間が本来持つ、直感という貴重なものを否定し続けていくのが会社生活だ。
それが積み重なり、やがて、自分の歪んだ感覚や、浅ましい人間性が嫌になって、賢者の書を紐解いてもどうにもならない。それと正反対の言動を続けるのだから、むしろ、精神の分裂という、より苦しい事態になりかねない。

どうすればいいのかというと、働かない訳にはいかないだろうが、なるべく直観に従うことだ。
そのためには、まず、給料は安くていいと思わなければならない。そして、高い給料を必要とする生活をせず、また、しようと思わないことだ。
欲望が強いなら、本当に自分のためになることは何も出来ない。
これは、決して、お金を節約したり、けちったりすることではない。
節約なんてのは、まだ、世間に煽られて不要なものを求めている証拠である。
なるべく小さな会社に入るべきだ。出来れば、自分で会社を作ると良いだろう。
いずれにしろ、直観を殺さず、それを大切にすることが、人間にとって大切なことである。









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