どんな考え方を持っていても構わない。
だが、ものの言い方は想像以上に大切なのだ。しかし、この大切な、ものの言い方が、さっぱり駄目な人が本当に多い。
ものの言い方が酷ければ、成功はおろか、この世でうまくやっていくことすら出来ない。

自分にとって、自尊心というのは邪魔者である。
しかし、それを他人に強要することは全く出来ないのだ。
他人の自尊心には、最大に配慮しなければならない。

昔見た、アメリカのプレイボーイ誌の翻訳だったと思うが、非常に印象に残った記事があった。
ある高級娼館(しょうかん=遊女屋)を取材したものだった。
そこでは、娼婦が客の男性に言って良い言葉は3つだけで、それが徹底して教育されていた。
その言葉とは、
「ハンサムですね」
「ご立派ですね」
「愛すること(性行為のテクニック)がお上手ですね」
だったと思う。まあ、細かいことはどうでもよく、とにかく、客の自尊心を最大に尊重するということだ。
この娼館の経営者は、どうやって学んだかは知らないが、商売をよく知っている。
1人の客の自尊心を傷付ければ、商売は終わりと心得なければならないことをよく理解しているのだ。
娼婦の中には、頭の良くない者もいるだろう。
だから、厳選した3つの言葉を選び、教えたのだろう。

ジョー・ジラードという、世界一の自動車セールスマンがいた。
35歳で自動車セールスを始めた初日に一台売ってコミッションの前払いを受け、妻子の餓えを救ったところから、彼の自動車セールスのキャリアはスタートしている。
このジラードの、有名な「ジラードの250人の法則」というものがある。
これは、1人の客(見込み客を含むと考えて良いだろう)を怒らせたら、250人の客を怒らせるというものだ。
ところで、「六次の隔たり」という有名な仮説がある。
世界中の人間は、六人以内の人間関係で全て結ばれているというものだ。
これは、1967年にスモールワールド実験という有名な実験によって確認された他、沢山の実験が行われ、ほぼ実証されていると考えて良い。
ジラードは、おそらく、「六次の隔たり」なんてものは知らなかったと思うが、経験と直観でそれを見抜いたのだろう。
また、上記の娼館の経営者も同様であろう。
甘えが決して許されないビジネスの世界には、本当に有益な実践的な知恵が溢れているのである。
娼館がビジネスと言ったら嫌な顔をする人は多いだろうが、道徳的なことは別として、実に厳格なビジネスである。
また、自動車セールスのような泥臭いビジネスの世界こそ、すぐに役立つ人生の知恵の宝庫であろう。

この狭い世界で、うまくやっていくには、ものの言い方を必ず磨く必要がある。
ちゃんとしたものの言い方が出来ない者は、親に保護されなければ生きて行けない幼児のような甘ったれである。
実際、自立していくことは出来ないだろう。
豊臣秀吉は「人たらし」と言われ、どんな人も自分の味方に出来た。
それも、まず大切な基本は、ものの言い方である。
そこが駄目なら、天下人や一国一城の主どころか、自分の居場所はどこにもない。
ものの言い方には、テクニックも勿論ある。
しかし、根本は、人に対する敬意なのだ。
あるいは、人が大切にしているものへの敬意である。
世界は狭い。
どんなみすぼらしい人間でも、必ず重要な人間とつながっているのだ。
だからというのではないが、現実の問題としても、どんな人間に対しても敬意を持ち、決して軽んじたり、見下したりしてはならない。
せっかく、ある程度成功した者が急転落する原因は、誰かを軽んじたことから始まっているのである。









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