真の男とは、片時もゆるまない男だ。
真の男は、引き締まるために酒を飲み、偽物の男は、ゆるむために酒を飲む。
酒を飲んで酔っ払うような男は本物の男ではない。

ブルース・ウイルス主演の映画『ラストマン・スタンディング』で、ウィリス演じる凄腕ガンマンのジョン・スミスが、バーで、ウイスキーだろうか、酒をグラスに注がせては、何度も一気に飲み干す場面があるが、その度にジョン・スミスの顔が引き締まっていくのを私は印象深く覚えている。
『ラストマン・スタンディング』のラストマンとは、「最後の本物の男」という意味ではないかと思うが、まさに、本物の男の酒の飲み方はこうである。

アニメ『エル・カザド』でも、殺し屋のリカルドは、仕事(殺し)の前に、ショットグラス(強い酒を原酒のまま飲むための小グラス)に注がれた酒を一気に飲み干すと、その顔は完全に引き締まった殺し屋のものになり、目が妖しくも強く輝いていたのに私は惹き込まれた。

『OK牧場の決斗』では、伝説の英雄である保安官ワイアット・アープが、クラントン一家との決闘に赴く直前に、グラスの酒を一気に呷(あお)って、一層表情が引き締まる場面があったと思う。
こういうのを見ると、酒を飲む男を本当に格好良いと思うのである。

ロナルド・レーガンが大統領時代、中国を訪問した時に、北京の長城飯店(グレート・ウォール・ホテル)において、晩餐会の席で、ウォッカ並に強い酒である中国のマオタイ酒を、男らしく一気飲みしたことを、私は、アーマンド・ハマーの自伝『ドクター・ハマー』で読んだ。当時でも、レーガンは70歳をかなり超えていたはずである。酒に強そうな顔ではあるが。
もちろん、レーガンは、より引き締まり、見事に中国要人達との交友を果たしたに違いない。
私は、個人的に長城飯店は思い出深い場所で、何だか、レーガンの一気飲みの場面が目に浮かぶようである。
私も、金持ちのボンボンが、彼は慣れているのだろうが、目の前で、マオタイ酒を一気飲みするのを見て、負けてなるかと、同じようにマオタイ酒を一気飲みしたことがある。
隣で、友人だったIT企業の社長が悲鳴を上げるのが聴こえた。
私は、普段はほとんど酒を飲まないに関わらずであったが、気力が充実していれば、さしたることはない。
まあ、よく死ななかったものだと、後で思ったが。

ところが、時々、お会いしたことがあった政木和三さんが、海外で、相当なアルコール度数の酒を一気飲みし、全く平然として、周囲の人達を驚かせたらしい。
政木さんは、普段は、赤玉スイートワインを寝る前に、小さなグラスで一杯飲むだけと言われた。
政木さんは、「信念のある者は酒に酔わない」と言われていたが、「信念のある者」は、決してゆるまず、ゆるまない者だけが信念を持つのである。
そして、ゆるまない者・・・心が引き締まった者は酒に酔わないのである。
それは、上に挙げた、「本物の男達」の例から分かると思う。
ただし、私はそれほどの男ではないので、かなりきつかったが、それでも、ちゃんと電車に乗り、さらに、駅から1.6kmをしっかり歩いて帰ったのだ。
幸い、その時は、私も、それなりに引き締まり、ゆるんでいなかったのだろう。そうでなければ、いまごろ、こんなことをしていなかったかもしれない。

酒とは、引き締まるために飲むべきである。
だが、ゆるむために酒を飲む愚か者が多い。
普段からゆるんでいる者が、酒を飲んでさらにゆるみ、人様に迷惑をかけているのだ。
私は、様々な酒を原酒のまま、ぐいっと飲み、ゆるんでいないことを確認することが時々ある。
私は、普段、あまり飲まないので、強い酒はやらないが、最近は25度のカンパリ(リキュール)を気に入っている。
日本では、ジンのような酒でもそうだが、リキュールといえば、何が何でも何かで割らないといけないと思い込んでいる者が多いが、これら見事に調合された酒は、本来、原酒で飲むものである。特にイタリアあたりで、本当に酒の分かる人達は、リキュールでもジンでも原酒で飲むと聴くが、その通りだろうと思う。
私は、ジンは香りが特に好きで、やはり原酒のみ飲む。私が飲むのはイギリスのゴードンズだ。これは、250年近く、同じ製法で作られている伝統あるジンである。
とはいえ、普段は、1本500円前後の安価な赤ワインを、寝る前に一杯飲むだけである。

とにかく、酒に酔うようなやつは、ゆるんでいるのであり、そんなのは本当の男ではない(女性も同じと思うが)。
私は、楽しみのために酒を飲むことは全くないが、心の引き締まり具体を試したり、あるいは、心を鍛えるために、たまに飲むのは悪くないと思う。









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